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酒は飲まないと言い続けるだけの人生をきみに

きのうはtoibooksで澤西祐典さんと「芥川賞受賞予想イベント」をした。とてもたのしくしゃべれてよかった。お越しくださったみなさま、ほんとうにありがとうございました。

澤西さんもいっていたのだけれど、このイベントは回を重ねることに意味があるとおもうので、今後も半年に一度開催できるようにがんばります。やってみておもったのだけど、「5作品に評をつけること」と「5作品をひとつの時間の対話で評すること」はぜんぜんちがう。けっこう準備はしてきたつもりなのに細かいところがかなりこんがらがってしまい、とくに細部をうまく話せなかったのは個人的な反省点だった。あと、千葉雅也さんの「デッドライン」の話を掘り下げる(特に作品を〝作り込まない〟こと)には、ちょっとぼくの勉強不足があったかもしれぬ。イベント後にドゥルーズを大学時代にかじったことのある友だちにこっそり示唆をいただけた。たいへんよかった。動き過ぎてはいけないけれど、動き過ぎなくてもいけない…!とおもった。

さて、イベントといえば打ち上げ…ということで、澤西くんが「びんたくんが食べたいものを食べよう!」と店選びの権利を与えてくれた。ふだん、外食というものができず、家族で出かけるにしても下の子が1歳になったばかりで、もう普通食ではあるけれど食べれるものもまだまだ限定的。たまにする外食は平日の昼。近所の王将でラーメンとチャーハンと餃子でこの世の春を感じている的なエピソードを語ると、澤西夫妻はたいそう哀れんだのだった。そこでぼくは焼肉屋に行きたい!とちびっ子的な提案をした。おいしかった。

さてさて、焼肉といえばビールである。ぼくもふつうに飲んだ。じつは去年はお酒を外でのまない宣言をしていたのだった。去年もtoibooksの磯上さんや澤西くんに「あれ、きょう飲まないの?」的なツッコミを何度も受けていて、「飲むと無意味な会話しかしなくなるから」「家から徒歩20分圏外ではお酒を飲むと帰りがしんどい」とかそんなことをいっていて、それで「飲まない理由、毎回変わってない???」といわれた。

さてさてさて、ここで「お酒を辞めることのメリット5選!」というカスライターのカスコンテンツでも「いかがでしたか?」と締めくくるかたちで作ればnote的にウケるのだろうけど、あいにく今回の日記ではそうはいかない。このままダラダラ続く。

さてさてさてさて、飲まない方がいいケースがある一方、確実に飲んだ方がいいケースもある。酒が入らないと本音が言えないのかどうかとかそういうわけではない(むしろ素面でもガンガン言い過ぎてしまう自分の傾向について、この身体や魂と三十数年も連れ添っていればさすがにわかる)のだが、たとえば佐川恭一と会うときはビールなければやってらんない気持ちが強い。佐川さんは毎回メニューを見るとビールをピッチャーで注文しようかどうかひとしきり悩み、そのたびにぼくは「もうそういう飲み方をする年齢でもなくない?」といってふつうに飲む。佐川さんとふつうに飲んでいたらぼくの「外で飲まない宣言」は脆くも決壊、さいきんではどこでもひとに会えばカパカパ飲んでる始末である。きのうはもう磯上さんからも澤西くんからもビールを飲んでいることをつっこまれなかったのである。

きのうはすこぶる体調がよく、終始ご機嫌のわたくし!ではあったものの、日ごろめちゃめちゃ飲むなんてないとはいえ飲酒をきっかけに体調を崩しがち。さすがにもう「お酒がきっかけのトホホな体験」的な大学生みたいなことはしないけど、お酒を飲まなかったらいいじゃん?と折に触れておもう。でもきっとひとに会えば機嫌良く飲み続ける気がする。酒を飲まないと言い続けるだけの人生が続くのだ。

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