微住の「微」に込めた思い/台湾から学ぶ“差不多“な未来の考え方
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微住の「微」に込めた思い/台湾から学ぶ“差不多“な未来の考え方

微住.comの田中です。

私は2011年から、台湾と日本とつなぐ編集者・プロデューサーとして活動し、
カルチャーマガジン「離譜」の発行をはじめ、“台日系カルチャー”と題し、両国を行き来しながら文化の発信をしています。なぜ台湾だったのか。

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私はもともと学生の頃からアジアに興味があり、その中でも台湾に特に惹かれました。日本と歴史的にも関係が深い台湾は、文化や暮らしにおいて日本人と考え方や好みがとても似ています。その反面、台湾ならではの暮らしの風景や人の考え方には日本にはない“アジア感”があり、その共通点と違いのバランスが絶妙で、心地よくハマったのがその理由です。

日本人と台湾人は共通点が多いとお伝えしましたが、
その反対の日本人と台湾人の根本的な違い、日本人が感じるアジア感の根源は何かご存知でしょうか?

日本人の皆さんにお聞きします。皆さんにとって生活の基本の原則はなんですか? 答えは「衣食住」です。
しかし、台湾をはじめ中華圏では「衣食住行」の4つが生活の基本なんです。
そう、台湾には日本にはない「行」という考え方があります。
この「行」は「移動や交通」を意味しますが、
私はもう少し大きく解釈し「変化に対する適応」と捉えています。日本では変化を意味する「行」が生活の基礎には存在しません。
例えば「お変わりないですか?」という言葉が「お元気ですか?」と使われるほど、日本での暮らしや社会の価値観として「変化しないこと」がある種良しとされています。

「台湾の良いところを教えてください」とこれまで何度も聞かれましたが、
一言でいうならば、この「行」こそが台湾の魅力です。

この言葉にこそ全て凝縮されているといっても過言ではありません。
変化をしていく、そしてそこに適応していく。これが台湾人の基本スタンスです。
私もよく使いますが、台湾人の口癖で「差不多」という言葉があります。
「だいたい」という意味の言葉で、台湾人は色々なシーンでこの言葉を使います。
「だいたい」と聞くと日本人の性格としては中途半端な感じがしますが、
むしろ本来この世の全ては差や違いがあるのは当たり前という考え方と私は認識しています。
日本ではその誤差やズレをできる限りになくすことで、「安定」を目指しました。
安定しているときはそれでいいのですが、いざ不安定、変化を問われるときその弱点が露呈されます。
そんな日本人の弱点である変化の中で物事や状況を臨機応変にアップデートさせていく力が「行」です。そしておまじないが「差不多」。
また、台湾人のこの「行」の考えや「差不多」な感覚こそ、様々な場面でそこに余白をうみ、新たな接点やつながりが生まれていきます。台湾人は日本人よりも人と人の距離が近く感じるのはまさにこれが理由です。台湾では仲間や友人との距離感も近く、日本人と比べて、プライベートなことを割とたくさん隠さずに話します。それはお互い同一だからという考えではなく、むしろその逆でお互い最初から違うもの同士だから、お互いの違いや隙間が接点に距離が縮めやすいのだと思います。
この「行」という考え方、コロナ対策でも台湾と日本の差は歴然としています。
今日本に必要な力はそんな「行」の力です。

<参考>アフターコロナの台湾の旅は〇〇!? 台湾人気雑誌編集長が考える『台日間の旅の行方』

さて、よく「台湾の夜市ってお祭?」と聞かれることがあります。さらに「毎日やっている」と答えると驚く方も多いです。

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これは台湾では日常の暮らしの一部です。
日本人の我々が驚く理由として、街並みと同じく、日本人の暮らしは人との関係も内と外がはっきりしているからです。
家の中はプライベート、外は公とはっきり線引きされています。
もちろんそこには日本独自の良さもあります。きっちり分けることで責任の所在もはっきりします。


台湾では内と外の線引きが、それこそ「差不多」。台湾では公と私の境界線が緩く、外でも自分の空間や領域を作るのが上手なんです。道端で麻雀をやったりしていて、それこそ夜市などの露店文化もそこから派生したものです。

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そのためむしろゆるく常に繋がっている「みんな」って感じが、街並みからも感じます。台湾では“みんな”のことを「大家」と書きます。それこそ”大きなファミリー”なんです。
有事の時は政府も国民も一体となって、お互い一緒にその大きな家を守るんです。
それは普段からお互いの距離が近く、コミュニケーションがあり、文句も含め素直に言い合える関係性を持っているからです。

本来この世のものは「差不多」な個。そしてそこで生きる白でも黒でもないグレーな領域を持つ地域や社会、「行」の考えで変化や有事に対応する力。

うーん、今世界の大国と言われるところの状況はこの対局ではないか。今そこに対して大きなズレが生じてしまっている。差が許せなくなってしまっている。今こそ我々日本人は台湾から未来を学ぶべきではないでしょうか。
そしてそのキーワードこそお話した「行」。

「微住」の「微」という文字には、この「行」の意味や思いが込められています。“絶対”なんてない「差不多」な未来だからこそ、求心し合えるコミュニティーや地域を国境を超えて作りたい。それが微住の目的です。


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