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【福井微住日記】(日本語版)

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普段の暮らしと微住的“日常”の接点さがし/大野微住

文:K.Yamashita 大野に新しくオープンした荒島旅舎にて1週間の微住を行った。今回は、ここで「在宅ワーク」をしながら、異日常を体験してみた。大野は、何度か訪れたこともあり、水のおいしい豊かな街であること、魅力的な建物や美しい街の風景にも惹かれていた。今回、この土地に、月曜日から1週間身を置き、働きながらじっくりと大野を味わってみようと企んでいた。ワーケーションというとバカンス色が濃いが、バカンスというよりは、生活の場を変えるといった方がいい。大野での生活をプチ体験し

微住がいざなう、郷里とつながる異日常の世界

文:K.Yamashita コロナ禍の中にあって、耳にすることが増えたマイクロツーリズム。 そこには、感染リスクを回避しながら、同時に地域への再発見、経済循環がある。 観光の地産地消とも言える。「地方の時代」と言われて久しいが、 このコロナ禍を経て、観光事業においても大きな「飛躍」の時を迎えていると感じている。 そんな中、「完全に移住定住して生活するのでなく、旅のスタイルの一つとして福井のローカルな生活を体験する」福井微住として、初めての東郷に訪れた。 それまで、「東郷」は

目から鱗が落ちる落ちる!? 初めての県内微住(東郷)

文:伊藤ゆか 7月23日から26日まで、3泊4日で東郷は初めての県内微住を企画した。 東郷は、これまで主に台湾の人たちを受け入れてきたが、福井県内の人を微住者として受け入れるのは初めてだ。 募集の企画、文面を考える段階で、あれこれ意見が出て、時にはぶつかって話し合いもした。 実際に県内微住者が東郷にやってきて、過ごしてみると─── 今までの微住とは勝手が違う! 次々に明らかになる改善点! ということで、初めての県内微住で気づいた点と次回に向けた改善案(反省会で出たアイ

微住生活は不自由。 だからハマる!/大野微住:後編

文:伊藤 ゆか 微住に来ていた台中の大学生メンバーに、微住中の生活について聞いてみた。 「大野は田舎だけれど、生活に必要なものはだいたい市内に売っていて、思ったよりも便利だった」という声が聞かれた。 しかし同時に「東京に旅行に行った時と比べて、たいへん」という声も。 その感想はもっともだろう。大野の人は、海外の観光客に慣れていない。 商店の方も、英語や中国語で接客できる人は多くない。荒島社メンバーや微住のサポートをしてくれる方々も、精一杯の英語や中国語でコミュニケーショ

商店街でアレを”採集”しよう/大野微住:中編

文:伊藤 ゆか 2019年11月、編集者であるAJさんが微住に来てホステルの構想を考えた。そして年をまたぎ2020年2月、今度は建築家であり大学講師であるBibiさんと、彼が教える学生さんたち四人が大野へ。いよいよホステル作りが本格始動となった。 AJさんの構想をもとに、微住者たちは商店街を回って看板を探し始めた。 ただ貰い受けるのではなく、その看板にまつわること、お店のこと、店員さんのことなど、たくさんの話を聞いていく。 中にはお仕事の様子を見せてくださる方もいた。写

遠回りに見える近道を探して/大野微住:前編

文:伊藤 ゆか 冬の大野にやって来たのは、AJさんと、息子のハーハ君。 二人がやってきたことで、大野の熱い一角が、それまで以上に熱を帯び始た。 現在大野で微住に参加している「荒島社」メンバーは、大野市の中心の商店街にツイタチビルという拠点をもっている。(荒島社について詳しく知りたい方は、下のリンクを参照してほしい。) 400年以上前に大野城が築かれ碁盤目状の城下町が形成された市街地は今もその風情を残しており、北陸の小京都とも呼ばれている。しかしその市街地にある商店街も、

私たちは"タメ"をつくり合う/東郷微住:後編

文:伊藤 ゆか 東郷や、ちょっと足をのばして大野などへも行って微住を楽しんだリンちゃんたち。帰国が近づいてくると、リンちゃんたちは「東郷の皆さんに、台湾スイーツをご馳走したい!」と伝えてくれた。それを東郷の人々がサポートする形で、希望はイベントとして実現することになった。 福井市のスーパーや直売所で食材を買ってきた四人。台湾の野菜とはちょっと違うので、みんなで考えながら調理をしていく。「実は(買って食べるけれど)自分では作ったことがないスイーツで、作り方を調べたの」とマル

再見物語/東郷微住:前編

文:伊藤 ゆか 2019年10月6日、台湾から4人の微住者が東郷へとやってきた。彼女たちが東郷を知ったきっかけは、2018年11月に台北の誠品書店で開かれた「青花魚」出版記念イベントだ。 台湾のカルチャーの最先端である誠品書店南西店で開かれた「青花魚展」には多くの人が訪れていた。(イベントについて詳しくは微住メンバー伊藤の下の記事を読んでみてほしい。) 写真は青花魚展の愉快な仕掛け人たち。日本からは、東郷と大野のメンバーも参加した。「青花魚の編集チームが日本に来てくれ

“持ち帰らない”ことで拡張するものづくり体験/河和田微住

文:田中 福井県鯖江市、河和田地区は、1500年の歴史を持つ越前漆器や、 眼鏡づくりの産地として知られる「ものづくりのまち」。 微住のグッズづくりをこの土地ならではの漆を使って作ることにした。 “これからは「コト体験」が大事だ!”と、農泊や伝統工芸など様々なジャンルで体験型のツアーなども良く目にするようになった。僕自身もこれまで全国様々な場所でガラスのコップや陶器のお皿などなど作ったことがある。作ったところまでは楽しいのだが、実のところ自分で作ったその“世界で1つだけの”

地域間サブスク化の可能性、点から面への絆コスト/大野微住(後記)

文:田中 出鼻を挫かれた。 本来今月4月にwebサイト『微住.com』をオープンし本格的に微住者受け入れの窓口として動くはずだった。コロナの影響で2年前からやっている「アジア微住」のライフワークも、そして微住者の受け入れも一旦ストップしてしまった。 大打撃...!!と思いきや、「移動」というものが奪われたこの状況下だからこそ、微住でやるべきことや意義がこれまで以上に浮かび上がってくる。「微住」は一見すると自由な移動にともなうものと思われるかもしれないが、その逆でコ

どのような人が微住に来たの? 台湾微住メンバーをご紹介!/河和田微住

文:蔡 奕屏(yiiping) 攝影:Jerry Wang 翻訳:伊藤ゆか 微住発起人の田中さんは、1月のはじめにFacebookで募集を出し、2月のはじめにはもう台湾微住メンバーたちが福井で顔を合わせることになった! どうあれ、全員が微住に惹かれ「行くと言ったら行く」行動力の持ち主。ここで紹介する一緒に福井微住した6人は「古民家雙層公寓(古民家テラスハウス)」の台湾微住メンバーだ! BuBu(魏 曉恩) 桃園出身。台湾農業推進少女で、目下のところ文学雑誌の編集をメインの

聞いてみたら、台湾に帰った後、みんな変わったって!?/河和田微住

文:蔡 奕屏(yiiping) 攝影:Jerry Wang、曾 祈惟(太一) 翻訳:伊藤ゆか 微住が終わって2ヶ月が経ったが、今もまだ時折まぶたの裏にinstagramで見た、メンバーたちがシェアした微住中の写真を思い描く。うっかりアプリを開けると、あの時の古民家や、突然降ってきた雪を見てしまって、ついつい思い出の中に沈み込んでいってしまう。 後になってから皆んなとゆっくり話して気づいたのだが、時々思い出の中に没入してしまうのは私だけではなく、微住の記憶は皆んなの心の中に

いったい何故?河和田にはこんなにも若者い移住者が多い!/河和田微住

文:蔡 奕屏(yiiping) 攝影:Jerry Wang 翻訳:伊藤ゆか 台湾の田舎町でも日本の田舎町でも、どこも同じように深刻な高齢化と若者人口の流出という問題に直面している。けれど人口約4,500人の河和田はというと、ここ数年で100人以上の移住者が外から移住してきており、間違いなく特例中の特例と言える町なのだ! 「この100人は、どんな人なんだろう」「河和田はいったいどんな凄まじい魅力をもっているのか」……これは私たちの心の中に浮かんだ、是が非でも解き明かしたい謎で

河和田微住エピローグ/河和田微住

文・攝影:Jerry Wang 翻訳:伊藤ゆか 大阪と京都を通るのは3度目だったか、5度目だったか。そこを通り過ぎるということは、濃厚な地方文化へ迫っていくということだ。微住というものは、その土地の人々と一緒に、心ゆくまで遠慮なしに自分の才能を発揮するもの。青春は短く、存分に楽しまねばならない。微住に参加することで、互いの関係はぐっと近づく。 地方を知るのには、たくさんの段階がある。河和田の微住プランでは、最初に「地方の生活をリアルに質感として味わって」と言われ、日本のメ