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BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記事を再編集して順次掲載。バックナンバーの… もっと読む
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2020年7月の記事一覧

Future of Enduro 本当のエンデューロとは何か。

広い草原にコーステープを張り巡らせたクロステストで、クリストフ・ナンボタンが職人的な仕事をしても、それで感動するのは、相当のエンデューロファンだけで、一般の人にはなんのことかさっぱりわからないのである。 2003年からFIMエンデユーロ世界選手権のプロモーターとして活動し、一定の成功を収めてきたフランス企業のABCコミュニケーションが、長く続いたプロモーター契約を今季限りで終了することを発表した。これは途中解約ではなく、契約期間の満了に伴うものとのこと。 ABCによるプロ

Look Back 2017 ISDEフランス大会 - 鈴木健二らが挑んだ6日間

2017年のISDEほどファンに感動を与えた6日間はなかった。なかでもオーストラリア、フランスが最後までしのぎを削ったワールドトロフィ争奪戦は、ISDE史上に残るものといっていい。日本チームは、鈴木健二、前橋孝洋、内山裕太郎、滑川勝之という顔ぶれ。鈴木健二はファイナルクロス直後のインタビューにこう応えている「今のままでは参加する意味もない」。ますます拡がっていく世界との差に、日本のライダーはどう応えるか。 7年ぶりに出場した日本代表チーム 熾烈を極めたワールドトロフィ争奪戦

秘密の多いエクストリームエンデューロスター ウェイド・ヤング

今もShercoの看板ライダーとして活躍を続けるヤングスターは、南アフリカ出身ということもあって欧州中心のこの世界では謎に包まれた存在と思われがちだ。2017年とちょっと前のインタビューだが、読んでいただく価値のあるインタビュー。 Hard enduro is a dog-eat-dog world. It’s a sport which takes no prisoners and one where only the strongest of the strong su

「アドベンチャーマシン新世紀」 連載 TIME TO RIDE  Vol.4 大鶴義丹

 最近、私の周りでよく見られることだが、最新エンデューロマシンをハードに乗りこなしているような猛者たちが、ここに来てアドベンチャーマシン遊びにハマるケースがある。それもEDレースなどを根詰めてやっていたような輩に限って、バイク遊びの原点回帰を感じるようである。  この流れの構造は、私自身も最新のエンデューロマシンを遊びに使っているのでよく理解できる。  レースなどをメインにやっていると、あまりに当たり前のことに忘れがちだが、EDマシンとトランポというのは、空母と戦闘機のような

第3回ノースアイランドラリー - この仲間とならどこまでも行けるんだろうか。

この種のラリーのことを「レイド」と呼ぶことがある。それは何を意味するのか。ノースアイランドラリーを終えて思っていること。 文 / 春木久史  以前にも書いていることだが、このノースアイランドラリーというのは、2014年と2015年に、北海道とロシアのサハリンをつなぎ、サハリン側をメインのステージにして開催したものだった。ラリーという形式をとっているが、速度や時間を競う要素はない。この形態は、モーターサイクルライダーの希求する自由を損なうことがなく、安全に、旅をガイドする優

彼方へ - Go Beyond - 連載 Vol.27

著 / 山田徹 第六章 最終章 其の三 RRM二〇〇二 熱波のなかの試走ルートはウランバートルから、一気に南下する。ゴビへ一直線でむかうのである。そう今回は「ドリーミング・ゴビ」がテーマだ。ボクタチがこの十年間恋焦がれ、通い続けた「ゴビ砂漠」だ。それは時に、かつてのパリ・ダカールへの憧憬をしのぎ、強烈な好奇心はいても立ってもいられないほどの衝動を呼び起こした。 例のマンダルゴビ、そこが一日目のビバークの予定地点だ。まだここは草原だが、二日目はさらに南下する。マンダルゴビから

彼方へ - Go Beyond - 連載 Vol.28

著 / 山田徹 第六章 最終章 其の四 エタップ1スタートは一九九五年の第一回大会と同じ、ヌフトホテル。深い感慨が胸をよぎる。あの時から、いったいどれほどの時間をこの国の、しかも大草原や砂漠で過ごした事か。 それもこれも全てはこのラリーを成功させるためだ。 「成功させると言っても、何をもって成功と言うのだ。そうした基準がない情緒的な成功を求めているに過ぎないのだ、われわれはいつも」 「成功とは、全ての予定が予定通り行われたという事でいいのじゃないか」 「それを成功の基準と考

生きたモーターサイクル博物館からの報告「 加速テスト」

2015年、ぼくは知人に招かれる形で、イタリアのエルバ島で開催された3日間のエンデューロに参加した。ノグチシートの社長、野口英一さん、そして鹿児島のKTMディーラーを経営する大楽利之さんの3人で日本チームとしてエントリーしたのだった。エルバ島では1981年にFIMインターナショナルシックスデイズエンデューロが開催されており、それを現代に再現しようというのが趣旨だ。参加するのは1980年代初頭までに製造されたいわゆるヴィンテージバイク。だが、競技は本格的なものだ。 文 / 春

炒飯と焼飯。スノーモビルとスノーバイク。男と女

そろそろ冬の計画を立ててください パウダーのスキー、スノーボードと、ダートバイクの楽しさの両方を知っている人には、説明するのが簡単です。 「極上のパウダーの斜面が永遠に続くことを想像できますか?」 レンタルバイク+経験者のガイドで最高のフリーライディング体験をすることができます。 スノーモービルとはまたく違います。 チャーハンと焼き飯は、違うけど似ていますが、スノーバイクとスノーモービルは、根本的に違います。男と女ぐらい違います(?) マニュアルトランスミッションの

彼方へ - Go Beyond - 連載 Vol.26

著 / 山田徹 第六章 最終章 其の二 最後のラリーレイドモンゴル、はじまる墓参からウランバートルに帰った母娘と、お別れのディナーを囲んだあと、いよいよ最後のラリーに向けた試走の出発準備に取り掛かる。 この試走に日本から持ち込んだのは、この年のパリ・ダカールで完走した一九九七年製のトヨタランドクルーザー77V。 思えばこの十年間は、10台以上のこの車と過ごした。しかもこれは一九九八年のパリ・ダカでモロッコでクラッシュリタイアしたマシンなのだ。荷室を切り落としてピックアップに

トマリからホルムスク - サハリンのオフロード旅情報 No.7

イリンスキーから南下してホルムスクに向かう西海岸ルートは、いろんな意味で魅力的で、お気に入りです。大陸的でもあり、島の風景でもあり、北海道に似ていますが、暖かな海流のせいか、穏やかなところは、北海道の日本海側とは異なります。

シックスデイズと雨

雨が大好きというライダーはあまりいないと思う。街乗り、ツーリングなら、雨中のライディングはなるべく避けたいと思うのが普通だ。どんなに立派なレインスーツを着ても、オーバーブーツにゴアテックスのソックスで完全武装しても、蒸れるし寒いし、視界は悪い。やっぱり路面は滑りやすいし、まず気持ちいいということがない。BMWに乗ると、雨でも比較的快適に走れることに驚くが、同じBMWに乗るのでも、雨よりは晴れの日のほうが楽しいと思うのが、やはり普通だ。 文 / 春木久史 Photo : K

オーストラリア初のダカール勝者にしてISDE勝者。超人トビー・プライスのインタビュー

オーストラリア人初のダカール勝者。トビー・プライス、その最大の罪はラリーの速度を大幅に引き上げてしまったことだ。フルスロットルの高速走行を愛する彼は、しばしば4輪のステアリングを握って活躍しファンをやきもきさせているが…? トビー・プライス 1987年オーストラリア、ニューサウスウェールズの産れ。現在はクイーンズランドのゴールドコースト在住。AORC(オーストラリアオフロードレーシングチャンピオンシップ)や、A4DE(オーストラリア4日間エンデューロ)、フィンケデザートレ

GNCCこそが世界最高峰のオフロードレーシングだろう。ケイルブ・ラッセルへのインタビューは、他のすべてのライダーへの挑戦だ。

2020シーズンが開幕、しかしCOVID-19の影響ですぐに中断。それでもGNCCは5月中旬のジョージア州からシーズンを再開した。それを後押ししたのはライダー、ファンたちの情熱にほかならない。なぜ、アメリカではオフロードレーシングがこんなにも、そうスーパークロスさえもしのぐ人気なのか? 我々はGNCC最強の男ケイルブ・ラッセルにインタビューを試みる。7度のGNCC制覇、その成功の裏側にも迫る。