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サピエンス全史

こんにちは、のぐです。今回の書籍は、ユヴァル・ノア・ハラリさんの「サピエンス全史」です。訳者の方は柴田裕之さんです。いつものように、本記事でご紹介する内容をA4にまとめてみました。全世界で1200万部売れた超大ベストセラーとなっている「サピエンス全史」ですが、その内容は非常に長いです...。しかし、人類の歴史をかつてないほど巨大なスケールで観察することで、別の視点から見つめ直すことができる、全人類必見の本です。本記事では、その内容の本質のみを切り取ってお伝えしようと考えています。

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便宜性のために具体例を混ぜながらになりますので、全ての内容をご紹介するには8記事ほどに渡る超大作となるかと思いますがお楽しみください。

結論

我々サピエンスは今まで3つのイノベーションを起こして、地球を制圧できるほどの力を手に入れました。それが

1. 認知革命
2. 農業革命
3. 科学革命

です。基本的には全て重要な節目になっていますが、本書の本質を理解するには「1. 認知革命」を正しく認識する必要があるかと考えます。認知革命とは

あらゆる虚構(フィクション)を創り、信じることができるようになった

というものです。端的に言えば、「嘘」をつけるようになったことが人類最大のイノベーションであるということです。これによってサピエンス同士が「より多く、より強く」連携できるようになり、その団結力を武器に地球上で「敵知らず」の状態に落ち着くことができた、ということが筆者の方の主張です。具体的にどういうことなのかはこれからの記事で徐々に明らかにしていく予定ですが、全てこの「認知革命」がキーとなりますので、この衝撃を脳裏に焼き付けておいてください。

1. 唯一生き延びた人類

本書は、常識を覆しまくりの構成となっています。閲覧注意書きしても良いかもしれません笑。冗談はさておき、1つ目の「衝撃」に参りましょう。

その昔、複数の人類種が同じ時代を生きていた。
私たちサピエンスしかいない現在が特殊なことである。

世界史で習った知識は捨て去ってもいいかもしれません。今では「サピエンスはネアンデルタール人の進化種」ではなく「サピエンスとネアンデルタール人は共存していた」が正しい解釈とされています。その時代はおおよそ200万年前〜1万年前と言われています。

思考力の代償

人類種は、それまで「取るに足りない生物」でした。200万年前まで、他の肉食獣の”残り物”を漁って食べていたことがわかっています。それまでは、大きな脳は非常に燃費が悪く、必要なエネルギーに対しての働き具合が最悪な効率でした。しかし、あることをきっかけに人類(サピエンス)は「他の属が適応できないスピードで」食物連鎖の頂点に登り詰めます。それまでの食物連鎖は「1つの属が進化すると別の族はそれにゆっくりと適応する形」でじっくりと変化していくものでしたが、サピエンスの認知革命をきっかけにその常識は崩れ去りました。

兄弟たちはどうなったか?

先ほど、「サピエンスとネアンデルタール人は共存していた」と述べましたが、その理由は「言葉」にあると筆者の方は考えます。言葉についての深い考察は次章に預け、ここでは「交代説」と「交雑説」を簡単にご紹介します。「交代説」とは、サピエンスはネアンデルタール人と交わらず、敵の属として完全に滅ぼしたという説であって、「交雑説」とは、サピエンスはネアンデルタール人などの他の属と交わることで徐々に「雑種」が生まれて今に至っているという説です。どちらが有力かは不明ですが、「交代説」でしたら我々サピエンスは恐ろしい属ですね。

2. 虚構が協力を可能にしていた

サピエンスと他の種属との「言葉」の違い

サピエンスは認知革命により、言葉に「事実」と「嘘」を混在させて伝え、信じることができる。それに対して他の全ての動物たち(もちろんネアンデルタール人などの他の人類種も)が発する言葉には「事実」しか含まれていません。このことがサピエンスと他の種属のその後の命運を分けていきます。結論にも述べたとおり、「嘘」を伝え、それを信じれるようになれば団結力が桁違いになります。

例えば、その森にはこの村を守ってくれる精霊がいるから、この村人はみんな同じ儀式をして精霊に日頃の感謝を伝えよう。

というように、それまでは血縁単位でしか信頼感がなかったものが、村単位で信じることができるようになりました。やがて、その規模は「地域単位」「国家単位」「大陸単位」と徐々に広がっていくことになりますが、この時代は最大で「複数の村単位」のものであったと言われています。移動手段が徒歩の時代ですからね...。ただ、この規模でも他の種属に比べれば団結力は桁違いであり、30 vs. 200というような構図が作れることになります。一人一人は「取るに足りない生物」ですが、桁違いの集団で戦うことで次々に勝利をおさめていく、地球上で最大規模の社会的動物になりました。

なお、筆者の方は「嘘」と「想像上の現実」は異なると主張されていますが、本記事では両者とも「その話を誰もが信じているという力は社会性を保つための原動力となっている、想像上のお話」という定義で同じものとします。

ゲノムを迂回する

さらに、「嘘」によりサピエンスは環境への「適応力」も桁違いになります。人間同士の大規模な協力は神話に基づいているので、この神話を変えることで人々の協力の仕方を一変できます。サピエンスは社会構造や対人関係の性質、経済活動などを短期間でアップデートすることができるので、他の種属に比べて、環境への「適応力」が段違いになるということです。

ここで、通常の動物たちの環境への「適応」の仕方をご紹介します。通常の動物たちにおいては、遺伝子の突然変異により、たまたまその変異が今よりその環境に適しているならばその変異種が生き残りやすくなります。しかしこれは何万年という月日が必要なプロセスであり、劇的な変化には適応できない弱点があります。

サピエンスはまるで「ゲノムを迂回する」ような形で、神話をアップデートすることにより人々の協力の仕方を一変し、環境への「適応力」が段違いになっています。

歴史と生物学

サピエンスの認知革命以前の自然淘汰には、ある一定の法則が存在していました。それは

個々の身体的、情緒的、認知的能力は、その種のDNAで定まり、
それらの能力でもって、異なる種同士は互いに淘汰してきた

もちろん、生存するための細かな工夫はあったと考えられますが、この法則を崩すほどのイノベーションにはなりませんでした。しかし、ついにこの法則を打ち砕くイノベーションがサピエンスの体に起きてしまいます。それが認知革命です。「嘘」を伝え、信じることができる能力を授かったサピエンスは、桁違いの「団結力」と段違いの「適応力」を武器に、ある一定の法則に沿ってゆっくりと進む自然淘汰に殆ど終止符を打ってしましました。

筆者の方が考えておられる、「歴史と生物学の関係」についてご紹介して、この記事にも終止符を打ちたいと思います。

サピエンスの「嘘」の多様性とそこから生じる「行動パターン」の多様性は「文化」と呼ばれる構成要素を生み出す。この「文化」は止まることを知らず、この変化のことを人は「歴史」と呼んでいる。

まとめと読後の感想

含蓄ある言葉に思わず癖になってしまう本でした。これからあと7記事に渡って本書の内容を深く掘り下げていこうと思いますが、「本質とそれに関する具体例をお伝えする」というテーマはブレずにご紹介していきますので、よろしくお願いします。

次回予告

サピエンスは「嘘」によって他の種族を絶滅させていったのですが、具体的にどのようにしたのか、古代のサピエンスの罪、農業革命でサピエンスは本当に幸せになれたのか、実は退化ではなかったのではないか、など興味深い内容ばかりとなっています。ぜひご覧ください。


本記事を通して皆様のお役に立てたなら幸いです。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
それではまたの出会いを楽しみにしております。

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