見出し画像

AI時代に人類が迎える「真の脅威」

こんにちは、のぐです。今回の書籍は、新井紀子さんの「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」です。今回もいつものように、本記事でご紹介する内容をA4(今回はその半分)にまとめてみました。世に存在するAI本は「シンギュラリティが来る」や「AI時代に絶滅する職業」のような恐怖を煽りますが、本書はそのようなものとは異なった角度で、人類に「危機感」を伝える作品となっています。AI時代に人類が迎える「真の脅威」とは?文理問わず全人類必見の内容です。ちなみに自分は今、本記事でのちにご紹介するAI技術の1つである「機械学習」を事業としている企業にインターンさせていただいています。自分の経験を元に現場の声も混ぜ合わせながら、正しい事実をご紹介できるよう心がけますのでぜひ最後までご覧ください。

画像1

結論

本書の結論をズバリお話しします。

今後はAIにできないことを極めましょう。それは大きく分けて2つ。
1つは「読解力」、2つ目は「フレームにとらわれない柔軟な発想」

AIにできないことについては今後詳しく述べていきますが、ここで簡単にご説明いたします。まず「読解力」とは、「文章を読み、その単語や文脈を正しく理解する能力」であり、次の「フレームにとらわれない柔軟な発想」とは、「常識という枠から一歩外に踏み出し、未だかつてなかった発想」です。これらについてのもう少し踏み込んだ内容は次回の記事にお預けとして今回は「そもそもAIとは何か」「今のAI技術はどこまで進歩しているか」「それを踏まえた未来予想図」をご紹介していきます。

未来予想図

先ほどのタイトル「結論」の章で「そもそもAIとは何か」「今のAI技術はどこまで進歩しているか」「それを踏まえた未来予想図」という順番でご紹介すると宣言させていただきましたが、便宜性のために順番を少し入れ替えて「未来予想図」「どうしてそんな未来になってしまうのか。そもそもAIとは何か」「AI技術の現在」という形にしていきたいと思います。それでは早速、筆者の方が描く未来予想図をご紹介しましょう。

「AIが人の全ての仕事を奪う」のではなく、
「殆どの仕事が代替されてしまう」という未来が待っている

前半部分のみだと「全ての仕事は奪われないのか、安心安心」と安堵しますが、後半部分を読んでまた恐怖を感じた方は多いかと思います。ではどうして「殆どの仕事が代替されてしまう」のか、AIの本質と今のAI技術に触れながらお話を進めていきます。

そもそもAIとは何か

「真のAI」と今進歩している「AI技術」

はじめに、「真のAI」と「AI技術」の違いについてご紹介します。分かりやすく断言してしまえば、「真のAI」が「ドラえもん」で、今脚光を浴びている「AI技術」が「siriやスマートスピーカー、Google翻訳など」です。そして科学者たちの目標は「真のAIを作ること」であり、現在地が「その真のAIを作るための試作品としてAI技術を作っている」という時系列になっています。

「真のAI」は無理ゲー

筆者の方は、

「真のAIを作ること」は非常に難しく、
人類は今世紀中に作ることは夢のまた夢でしょう

という結論を出されています。その理由は2つあるとおっしゃっています。

- 人間の知的活動全てを数式(関数)で表現すること
- 工業における離散的飛躍

1つ目の「人間の知的活動全てを数式(関数)で表現すること」はまず不可能です。ここで関数とは、1つのインプットに対して1つのアウトプットを出力するようなシステムのことで、現時点でのAI技術というのは、これら関数の集合体で構成されています。この集合体を上手く構成すると「Google翻訳やsiri」のようなシステムが作れるということです。「人の知的活動」は一見、1つのインプットに対して1つのアウトプットを出力するようなシステムに見えますが、複雑な相互作用が密に絡まっていますので、とてもではありませんが、それらを全て関数の集合体(システム)で表すことは殆ど不可能と言っても大丈夫そうです。

例えば、人の漫画を読むという何気ない行為は複数の要素が密に絡まっています。そこには「絵のコンテクストを理解する」「文章の文脈を理解する」「登場人物を記憶して『彼』や『彼女』が誰を指しているか把握する」など現段階の計算機には非常に難しいことがたくさんあります。さらにそれらをつなぎ合わせて1つのストーリーを理解するということは計算機にとっては夢のまた夢です。

2つ目の「工業における離散的飛躍」とは「たまたまできちゃった計算機」ということです。ライト兄弟が発明した飛行機のエピソードがよい例ではないでしょうか。ライト兄弟が血の滲むような努力で試行錯誤して「なんども」飛び、心も体もボロボロになったところで「たまたま」飛行を成功させてしまった。というお話が「AIつまり計算機」で実現するかと言われれば可能性は低そうです。

歴史

「真のAI」と「AI技術」の違い、「真のAI」が現実的に見て不可能な理由をご紹介したところで、今急成長を遂げている「AI技術」について歴史を紐解いていこうと思います。

 0. 推論と探索

一言で言えば

「特定の環境の中で特定の行動を選択できる」

それまでは、ただの「計算する機械」でしかなかった計算機が、「あるルールが決められたシステムの中では、ある特定の行動ができる」という処理をできるようになったことが当時驚かれました。しかし、それは裏を返せば「決まった環境の中でしか決まった行動ができない」すなわち「汎用性に欠ける」という理由で衰退していきました。

1. エキスパートシステム

ある分野の専門家(エキスパート)が、その特定の分野の情報や知識を計算機に大量に吹き込むことで、その分野ではエキスパート並みの知識を持った計算機が作られました。記憶容量と情報処理速度が人より格段に優れているので、決まったルーティンに対しては高速で処理できますが、「未だ教えてない知識」や「人においての常識」を必要とする課題に対処できず、やがてこのブームも収束していきました。

2. 機械学習

インターネットの普及により、情報が一箇所に大量に集まるようになった時代に現れたのがこの技術になります。機械学習とは、まず計算機に大量のデータ(ビッグデータ)を入力させることで、あるタスクについて「学習」させます。この「学習」の段階のイメージは、『あるテストに向けて「勉強」している学生の姿』とおおよそ一致します。次に、その大量のデータを用いて得た知識を使って、あるタスクについて「予測」させます。あるタスクとは、例えば「あるプレミアム会員が半年後に退会する確率」などです。この「予測」のフェーズのイメージは、『あるテストを「解答」している学生の姿』とおおよそ一致します。
具体性を交えて、2つのフェーズをまとめますと、

様々な顧客に関するデータを使って「実際に辞めていった人はどのような特徴を持っているか」などの知識をふんだんに学習した計算機が「あるプレミアム会員が半年後に退会する確率」を予測する

という流れです。これによりたくさんのジャンルで「機械学習による予測」が行われるようになりました。しかし、ここにも限界がありました。それは「学習」のフェーズで、計算機に「知識」を覚えさせる際に「正解」すなわち「模範解答」を大量に用意しなければならないという莫大なコストがかかるというものでした。

3. 深層学習(ディープラーニング)

機械学習の段階では、実は人が「データの整形」や「システムの細かな微調整」をしていました。人が介入するフェーズが多くあったということです。しかし、このディープラーニングという技術は、より大量のデータを与えることで、人がなるべく何かしらの処理を加えることなく、あるタスクについて高精度に予測できるシステムを作るというものでした。機械学習と異なるポイントは「人がなるべく何かしらの処理を加えることなく」です。これによりコストが格段に抑えられ、さらに「学習のフェーズ」の高速化にもつながりました。

4. 強化学習

この技術は、歴史上4番目の技術ということではなく、深層学習と同時期にブームになった毛色の違うものです。強化学習とは、オセロゲームなどのあるルールに則ったシステムやゲームについて特徴を学習し、その目的(オセロであれば「相手に勝つこと」)のために最適な行動を予測するものです。株式会社DeNAさんの「MOV」のようなタクシー配車サービスにおいて、この人をここまで運ぶまでに『どのタクシーを向かわせたらいいか』『どのような経路が最短か』『どのような経路が低コストか』などを考慮しながら計算機が最適化しています。この最適化には強化学習が使われています。

まとめと次回予告

本記事では、「AI時代の未来予想図」や「AI技術の歴史」をご紹介しました。次回の記事では、
「AIの苦手とする分野」
「『教科書の読めない子どもたち』に足りないもの」
「AI時代に人類を襲う『真の脅威』」
などの本書の本質に迫る話題をご紹介させていただきます。ぜひ、お楽しみください。


本記事を通して皆様のお役に立てたなら幸いです。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
それではまたの出会いを楽しみにしております。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?