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(T82) 性悪説の社会から、互いの信用を前提にした相互扶助、性善説の中国社会に変えていかなければならないという発想が存在する-3 (2021.6.24) by 田中信彦 より抜粋加筆しました。

⑹ 中国も相互の信頼に基づいた、安定した社会に向かいつつある

中国はこんな感じの問題意識が出てきている。
「“檸檬市場”の悪循環を断ち切り、
信頼を基盤にした社会に変えなければならない」


ここには「相互の信用が低い」ことを前提にした、
いわば性悪説の社会から、互いの信用を前提にした、相互扶助、性善説の社会に変えていかなければならないという発想が存在する。

中国知識層の考え方に、大きな影響を与えたのが、
三浦展氏が出版した「第四の消費 つながりを生み出す社会へ」という本。


⑺ 三浦氏が示す第四の消費社会の特徴

「他者の満足をともに考慮するという意味での利他主義、
あるいは他者、社会に対して何らかの貢献をしようという意識が広がる。

その意味で社会思考といってもよい」


「第三の消費社会」から「第四の消費社会」への、
変化の特徴は以下の5点。

①個人志向から社会志向、利己主義から利他主義へ
②私有主義からシェア志向へ
③ブランド志向からシンプル・カジュアル志向へ
④欧米志向、都会志向、自分らしさから、
日本志向、地方志向へ(集中から分散へ)
⑤「物からサービスへ」の本格化、あるいは人の重視へ


日本における社会は以下。
「第三の消費社会」を1975~2004年
「第四の消費社会」を2004~2034年

中国知識人の問題意識は、以下。
「日本の2004年前後に相当する社会の変化が、
いま中国の都市部で起きているのではないか」


⑻ 5つの変化は、確かに最近の中国でも確認できる

「他者の満足をともに考慮するという意味での利他主義、あるいは他者、社会に対して何らかの貢献をしようという意識」は、
「レモン市場」を生む「自分さえ良ければいい」という姿勢とは対極にある。


⑼ 中国の人々は、過去の社会全体が「レモン市場」であるような環境の中で、友人・知人、親類など親しい身内が助け合うことで自分たちの利益を守りつつ生きてきた


以下のように常に警戒を怠らない。
・市場に行けば、目方をごまかされるのではないか
・道を歩けば、運転手は信号をよく見ていないに違いない

「自分の身を守る」ことを考えざるを得ない環境下で、
各人が部分最適を目指す動きが積み重なって、全体の効率が下がっていく。
そういう面の強い社会だった。


しかし現在の中国社会は、「第四の消費」の時代に、
確かに入りつつあるのかもしれない。

そこに大きな力となっているのがIT。


アリペイやWeChat Payのように、
以下が実現できたからこそ、個人間の売買が可能になった。

「互いに何の情報もなくても、
安全に商品と代金の交換ができる仕組み」


これは性悪説だから、できたとも言えます。

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bigluck
私は上海在住11年目。 2020年2月、在中国日系企業を対象とする、 「⺟国語で現場情報を引き出す、社内コミュニケーションツール」 を無料リリースしました。 コラボしたい方、ぜひお待ちしております。 bigluck777r7@yahoo.co.jp