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(J81) 米国を抜いて世界一に!? 映画が映す中国の成長と矛盾-1 (2020.11.18) by 林毅 より抜粋加筆しました。

⑴ アニメ映画「劇場版『鬼滅の刃』 無限列車編」の興行収入が11月15日までに233億円を突破した

大型グローバル作品の公開が来年以降に持ち越しになった影響もあって、「鬼滅」は現時点で2020年興収世界ランキングの10位以内に入っています。


だが、その1位が中国映画だということは、
ほとんどの方がご存じないのではないでしょうか。


⑵ 爆速成長の中国映画市場は今年米国を抜く

中国映画市場は、9年間で6.4倍になり、
GDP同様世界2位の市場になっています。

ここ1、2年特にヒット作が多かった映画では、
新型コロナがなくても数年で中国は、米国市場を超えて世界一になることができるのではと予測されていました。


コロナ禍の影響を受け、5ヶ月にわたって映画館が閉鎖されていた中国では、
8月公開の「八佰(The Eight Hundred)」が、興収約490億円で興収世界1位となるなど徐々に客足が戻っています。

こうした大型作品の助けもあって、
中国映画市場の今年の興収は、史上初めて米国を追い抜くのではないかと報じられました。


⑶ 愛国心をくすぐる内輪ノリのマーケティング

中国映画で多いのが、
人々の愛国心や伝統文化を大切にする気持ちをくすぐるような作品。


映画以外の分野でも古代王朝時代の文化や芸術を現代風にアレンジした衣服やデザインを取り入れることが若者の間で非常に流行しているように、
自国に対するリスペクトを表現したいという大きな需要がそこにはあります。


例えば歴代興収トップのアクション映画「戦狼II(ウルフ・オブ・ウォー)」の監督・主演を務めた呉京氏のインタビューで以下に述べています。

「中国人はみんな愛国心を表現できる場を求めており、
私はただ昔のような『スローガンを掲げる』ようなやり方ではなく、表現方法を少し整えただけにすぎない」


地域ごとに文化も生活様式もまったく違う中国市場で大ヒットを出したいと思ったときに、
数少ない共通点である以下のテーマを選ぶことは、マスのニーズを満たす一種のマーケティング戦略です。

①愛国
②伝統文化への誇り


映画告知宣伝プラットフォーム「灯塔」によれば、
10月15日の段階で、2020年映画市場のチケット売り上げは以下。
❶中国129.5億元(約2058億円)
❷北米地域映画市場の19.25億ドル(約2026億円)

中国は世界首位の映画市場となりました。
しかも、中国映画市場の売り上げの85%を国産映画が占めた。


北米の映画、特にハリウッドの大作はもともと、
中国映画市場をターゲットにしたものが多かった。

最近の中国は、ソフトパワーの国産化に力を入れており、
中国映画の質も急激にレベルアップしています。


中国映画市場では、最近上映される映画のほとんどが、
国産映画に変わっていっています。

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