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日本語教師日記その4.ガラパゴスへの道 (1)

ガラケーという言葉の意味を数年前に知ったとき、面白いことを言うなぁと感じ入りました。

ブラックベリーがどうしても浸透せず、法人ユースにかならなかった日本。
その理由は、日本の携帯が、独自の発達をしてしまって(日本人にとって)便利すぎたため、世界で愛用されるスマートフォンが受け入れられなかったそうですね。
今ちょっと調べたことを引用します。
「孤立し、独自の進化を遂げることをガラパゴス化といい、独自の生態系を持つガラパゴス諸島に由来する。」

私が、ガラパゴス諸島から来た日本語教師(長いYO!)を自称するようになったのは、コロナ時代が始まった数ヶ月後です。

なぜ自分がガラパゴ教師と思うに至ったか。
そんなことを今日はちょっと書かせていただきますね.

2011年に東京から名古屋に移住した際に、一度仕事は全部なくなりました。
そのあと、HPを作ったり、教室をワンルームアパートに設けたり、いろいろ紆余曲折の末、現在の位置に軟着陸しました。

自宅の前のアパートの教室では、2〜4人のグループレッスン、その他は全て、オンラインレッスンをしています。

生徒はあちこちに散っています。
オンラインレッスンは 、アメリカ(4)、インド(1)、香港(1)、サウジアラビア(1)、日本(3)です。
対面のグループレッスンがその他に四人組が一つありますが、コロナが収束するまで休止となっています。

日本語学校で働いていたときは、クラスレッスンとプライベートが半々ぐらいでしたが、ここ10年はほぼ全て、オンラインのプライベートレッスンのみをしています。

気がつけば、知らず知らずのうちに、教え方がガラパゴスになってきました。

クラスのレッスンとプライベートとの大きな違いは、「レベルの違う生徒たち全員に、教えたことが浸透するためのルール」を、使わなくなったことです。

クラスでは、国の違う人が混在しますので、直接法と言って、日本語のみで教えます。
自由に質問をしてもらったり、その人特有の問題に一緒に取り組むことはできません。

それは後でやりますからね。
それは大丈夫、後でね。

クラスで学ぶ生徒が、いち早く「後でね」を覚えてしまうと由縁(ゆえん)です。

そこへ行くとオンラインのプライベートレッスンは、果てしなく相手に合わせてカスタマイズすることができます。どんな質問が飛んできても、「いい質問ですね」と言って、相手が納得するまで説明することができます。

授業の内容でなくても同様です。相手の都合にとことん合わせ、また自分も合わせてもらうことができます。
サウジの生徒さんは、サウジではzoomしかちゃんとつながりませんと言うので、苦手をなんとか乗り越えて、zoomを使うことができるようになりました。

コロナウイルスのために仕事が減り、新たにオンラインレッスンに挑戦しようという日本語教師の皆さんの中には、インターネット接続がうまくいかなくなったときはどうすればいいのか、というご心配があると思います。私もそうでしたが、全ては慣れですし、調子が悪くなる原因はさまざまで、ほぼ特定できません。準備を万端に整えた上、始められるといいと思います。

その日によって、使っているツールが不具合ということはよくあります。

スカイプだめですねぇ。カメラ消してみて?
だめか・・・じゃあ一回切ってお互いリブートしてみようか。
先生、Facebook Messangerでは?
あ、いいですよ。それでダメだったら、iMassageか、あるいは・・

学校の生徒と個人で繋がるのはあり得ませんが、私の場合、相手は生徒の紹介だけですし、一回教えれば どんな人かわかりますので、こういうことは普通です。
私が現在使っているのは、 What's up, telegram, LINE, Hangout、MEET、Skype, iMessage, zoom, FacebookMessangerというところでしょうか。

レッスン中は、画面共有をしながら相手の顔を見て教えていますが、途中で調べたいこと、お互いに紹介したい記事や写真があるので、iPadを2台並べて進めていきます。
相手も大抵、デバイス2台で対応してくれています。

教科書も、ほぼ使いません。一人一人にぴったりのものがありえないのと、レッスンはカスタマイズしますというのを標榜しておりますので、Google Docomentで教材を作り、生徒と共有します。そのほかに使っているのは、Qizlet、Quizizze、Google Slideその他です。特に子供のレッスンには、遊びの要素を入れることができるので、こういうフリーの教材アプリは本当に助かっています。

ここまでガラパゴス化が進んだのも、私を「ガラパゴ先生」と呼んでくれている、オンライン同僚のおかげです。「Web研究会」と名付けて、毎週のように会議をしてくれますが、ほぼ、教えていただくだけです。埼玉県の方に足を向けて寝られないことになっています。仕事で絡みがないのに、飲み込みの悪いおばさんを指導してくれるのは、彼女もやはり、教師根性が染み付いているのでしょう。Tさんいつもありがとうございます。

振り返ってみますと、将来の不安と、教えることの喜びは裏表ですが、
ここまで続けてこられて、この年でガラパゴス諸島でのびのびと教えることができるのは本当にありがたいことです。

この後は、上下動の激しかった34年を駆け足で振り返ってみたいと思います。



http://japanese-lesson.mystrikingly.com/




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