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七つのロータス 執筆中 一万年物語

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一万年物語の古代パート。青銅器時代を想定しています。 複数主人公の長大な作品で、完結を目指して頑張ります。 1章ごとに見せ場を作っていくことも目指しておりますので、よろしければご… もっと読む
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記事一覧

七つのロータス第61章 ゲラ

 第1章から  刈り入れ前の麦が実る黄金色の中を、ゲラは馬を急がせていた。汗の滴が額だけ…

びぶ
5か月前
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七つのロータス第60章 オランエIV

 第1章から  人々が薄暗い部屋から解放されたざわめきが周囲を包んでいる中、オランエはゆ…

びぶ
5か月前
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小説 七つのロータス あらすじ

 連作「一万年物語」の舞台となる架空世界の青銅器時代。草原のオアシス都市サッラの族長の子…

びぶ
7か月前
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七つのロータス 第33章 ヴァリィII

 女の悲鳴が聞こえた。ヴァリィは馬首をめぐらし、速足で声のした方に向かう。細い街路に犇く…

びぶ
3年前

七つのロータス 第59章 ゼン

 第1章から  ゼンは決断を下した。エンドラはエンジャメナに従う!  南のウラマの都は自…

びぶ
2年前
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七つのロータス 第58章 カスタ

 第1章から  遥か地平線上に、黒く兵士たちの姿が見える。城門に向かってくる五人の騎兵は…

びぶ
2年前

七つのロータス 第57章 パーラIV

 第1章から  会議の間の壇は謁見の間の壇ほど高くはないから、人々を見下ろしている感じはしない。参議の資格を持つ高官たちが難しい話を続けている間、パーラは兄の姿に視線を注いでいた。オランエとはもう何日も、話すらしていなかった。今も時折視線をパーラに向けることはあるが、すぐに目を逸らしてしまう。パーラは高い壇の上で冷たい空気に包まれて、身の置き所がない心地だった。ほかにもてきにんしゃがあったのではな いのか。誰かの言葉が耳に届くが、何を言っているのかはほとんど理解できない。さ

七つのロータス 第56章 ハジャルゴ

 第1章から  重い城門が手早く開かれた。城門の内側にいた人々から、歓声があがる。帝都を…

びぶ
2年前

七つのロータス 第55章 スカンダルII

 第1章から  謁見の間の中央に進み出て床に両膝を着き、額が床に触れるほど頭を下げる。 …

びぶ
2年前

七つのロータス 第54章 パプラ

 第1章から  甘いナツメヤシの酒が満たされた杯。まるで卜者が水鏡を見つめるように、平ら…

びぶ
2年前

七つのロータス 第53章 アージュナ

 第1章から  女たちは荒地の中央でへたり込んでいた。僅かな荷車がともにあるばかりで、馬…

びぶ
2年前
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七つのロータス 第52章 ネムIII

 第1章から  砂丘を登りつめると空がひらけた。ドゥルランダは砂丘の頂で馬を止め、砂埃に…

びぶ
2年前
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七つのロータス 第51章 オランエIII

 第1章から  オランエはスカンダルが兵士たちを「説得」している様子を、眺めていた。声は…

びぶ
2年前

七つのロータス 第50章 スカンダルIII

 第1章から  城壁の上から、水路が張り巡らされた大地を見下ろす。陽に煌く水路と黄金色に輝く麦畑が広がる中を貫くのは、帝国の七つの都市を繋ぐ街道。真昼の空気は澄み、地平線まで霞みも曇りもなくはっきりと見晴らすことができる。街道の伸びゆく先を見遣れば、遥か彼方に帝国の軍旗が揺れている。その下にはようやく姿を現した一団の人影。プハラを解放した軍隊が、いよいよ凱旋するのだ。歓迎の用意はすっかり整っている。神殿に捧げる仔牛も、酒も揃っている。皇宮では宴会の料理が次々とできあがってい