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【ゲーム】SCHiM-スキム-のプレイ感想

製品情報

  • 対応プラットフォーム:
    PC / Nintendo Switch / Playstation 4 / Playstation 5
    Xbox One / Xbox series X|S

  • ジャンル:アクション

  • リリース日:2024年7月18日

  • プレイ人数:1人

  • レーティング:CERO A(全年齢)

  • PLAYISM公式サイト:https://playism.com/game/schim/

影から影へ――飛び移るだけのゲームじゃなかった

 いや、影から影へ飛び移るゲームなんだけれども。そこは間違いないんだけれども。
 スキムとなって、切り離された影の本体(自分は、プレイしていて途中から「ご主人」と呼んでいた)に戻るために影から影へとジャンプしていたらエモい体験が待っていた。


※以下、ゲーム内容のネタバレを含みます。

 体験版をプレイした時に「影からスキムが抜けてしまった人はどうなってしまうのか。ストーリーのほうもとても気になる」といったことを書いた。

 自分の予想としては、影からスキムが抜けてしまった人は、例えば、著しく体調が悪くなるとか、大きな不幸に見舞われるとか、何らかの不調が起きるのだろうと思っていた。
 でも、自分(スキム)は主人の影に戻るために苦労しているのに対し、本体たるご主人はスキムが影から切り離されてしまっても割と普通に生活している。大学卒業後に就いた仕事をクビになった後、再就職するものの、なんとなくしっくりこないのか一つの仕事が長く続かなくて転職を繰り返しているが、それなりに普通に生活できている。
 たまに、落ち込んだり、帰宅途中に雨に見舞われ、せっかく店で温めたピザ(の箱)を傘代わりにせざるを得なくなったり(思わず「ピザ〜~~ッ!」と叫んだ)することがあるが、生きていれば誰でも遭遇するありきたりな不幸だ。時に友人と語らい、時に休日の買い物を楽しみ、時に川で釣りをする――不幸だけでなく、ささやかな楽しみも享受しつつ生きている。
 そんな彼の生活を垣間見ながら、なかなか追いつけないご主人を追いかけて影から影へと移動する。そうしていくうちに、少しずつ、彼の人となりが見えてくる。すこしドジなところがあるけれど、街中ですれ違った女性が落とした落とし物を拾って上げたり、横断歩道を渡ろうとしているご老人をエスコートしてあげたり――。彼の人の好さが自ずと理解できるのだ。
 なお、これらは文章やセリフなどによる説明は一切ない。キャラクターの動き、切り取った日常のワンシーンでしっかり伝わってくる。

 ところが、全然普通に生活してるな〜と思って眺めていた青年に思いがけないことが起こる。詳細は省くが、突然、超常現象に見舞われる。この時、追いかける側だったスキムが、逆にご主人を導く存在になる。実際にプレイしていて「こっちだよ〜」とご主人に声をかけていた。この時点で、完全に自分(プレイヤー)とスキムが重なり合っていたと思う。
 小さな感動を覚えつつ、そのステージをクリアしたのだが、ここでご主人の影に戻って、めでたしめでたしなのかと思ったらそんなことはなく、また日常が続いていく。ここでご主人の影に飛び込んで元に戻ることも出来たのではないかと思ったのだが、スキムは立ち去るご主人を眺めて見送ってしまう。
 そうしてまた日常が続き、ある日、青年は火の手が上がる建物を発見する。そのビルに子供が取り残されていることを知り、助けるために単身その中へ飛び込んでしまう。当然、スキムもご主人を追って火事場の中へ行くのだが、このステージをプレイしている最中、ずっと鳥肌が立っていた。感動なのか興奮なのか上手く言い表せないけれど……胸の中が疼くような不思議な感覚を覚えていた。
 スキムの特性を活かしてご主人を助け、救出した子供と協力して火事場を脱出する。影から影へ飛び移るだけのゲームなのだけれど、それだけじゃない体験をさせてもらった。一人の人物の人生を垣間見、そこにスキムとして関わることで、シンプルなビジュアルからは想像もつかなかった感動を与えてもらった。
 記憶を消してもう一度プレイしたいゲームが何個かあるが、スキムもその中に入るゲームだった。