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実はインド生まれのレモン

インドにいると様々なところでレモンと出会す機会がある。

道端では使い古されたグラスにレモンが入れられて並べられている。タクシーやトラックのバックミラーにはレモンと青唐辛子が紐で結ばれたものが吊るされている。結婚式に行けば帰りにレモンをもらったりする。知り合いの家を訪れればレモンを少し入れた水をだしてくれる。
 

皮が薄く、ピンポン球くらいのインドのレモンは日常に溢れている。


家や店を立てるときは更地になった土地にまずはレモンの木を植えるのだそうだ。


日差しが強く、暑いインドでは道端で売っているレモン水(ニンブー・パニ)は格好の栄養補給である。結婚式でレモンが配られる理由もそれと同じで来てくれた招待客たちが帰りに喉が乾いたら水にレモンを少し加えられるようにというものである。今では無事に帰れることを願うお呪いのようなものでもある。車のバックミラーについているレモンと青唐辛子も似ていて、喉が渇いたらレモンを加えた水を飲み、蛇に噛まれたら青唐辛子を噛んだそうである。もし辛みを感じなかったら毒蛇に噛まれて感覚が麻痺しているし、辛みを感じたら毒がない蛇に噛まれたということだそうだ。だいたい車のバックミラーに吊る下げられているレモンと青唐辛子(ニンブーミルチ)はレモン1つに対して青唐辛子は7つ付いているので、昔の人の蛇の遭遇率たるやなかなかのものである。


お店や家の軒先や玄関の外にもニンブーミルチは飾ってあるが、これは富と繁栄の神ラクシュミーの双子の妹、アラクシュミー(ALAKSHMI)という神を家から遠ざけるためのお呪いなのである。家の中にはラクシュミーの好物であるフルーツと甘いお菓子などを置き、富と繁栄の神ラクシュミーを招き入れ、家の外にはアラクシュミーの好物である辛いもの(青唐辛子)と酸味のあるもの(レモン)を飾り、貧困と苦しみの神アラクシュミーを招き入れないようにしている。


様々な場面で登場するレモンだが、もちろん料理にも驚くほど多用されている。鶏肉や魚をマリネするとき、グレイビーを作るとき、飲み物、デザート、料理の仕上げ、とレモンはスパイスとの相性も良く、カレーの仕上げに加えるとグッと味を引き締めてくれる。


レモンの原産地は北東インド、今のアッサム地方らしく遥か昔からインドではレモンが使われていたこともあり、ここまで生活に馴染んでいるのかもしれない。

諸説あるがレモンの歴史は2千万年とか8百万年とか言われているらしい。

暑い日差しの中、家を訪れた客に水にレモンを少しと塩と砂糖を加えたものを差し出すのはインドのおもてなしの一つである。

たわわに生っているレモンの木を見るとなぜか幸せな気持ちになるのは、DNAとやらに刻まれているのかもしれない。

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鎌倉・極楽寺にあるスパイス屋・アナン㈱3代目。 オリジナル商品の開発や、スパイスの面白さを伝えるため料理教室などで全国を飛び回ったりしている。 好きな映画は『男はつらいよ』シリーズ。 アナン公式サイト:http://www.e-anan.net/
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