あなただけのブレンド作ります

小さい頃から「イタチさん」になりたかった。

「イタチさん」は森でお菓子屋さんをやっている。

イタチさんのお店の看板には「おいしいお菓子・焼きたてのケーキ・そして誕生日にはあなたのかたちのケーキを作ります」と大きく書いてある。森の仲間たちは誕生日が近づくとお菓子屋さんのディスプレイに自分のかたちのケーキが飾られるのが楽しみなのである。

「あなたのかたちのケーキを作ります」

幼かった頃からこのイタチさんの商売のスタイルに憧れているのである。

何十種類もあるスパイスから様々なブレンドを作る。ときには家で簡単にスパイスからカレーを作れるために、ときにはちょっとした料理のアクセントに。そして様々な人たちのために様々なブレンドを作ってきました。

震災のとき、炊き出し用にブレンドして作ったスパイスミックスはその後、商品化し現地でブレンドすることによって雇用と名産を作ろうと仲間たちとともに奮闘した。

お洒落なお花屋さんのために作ったチャイ用のスパイスミックスにはレモングラスやラベンダー、カモミールにアップルピールなどチャイを作るとき、飲むときに花の香りがふわっとくるようなものにした。

「何にかけても美味しくなるようなスパイスを作ってよ」と言われて作ったミックスは山椒をベースとしヒングというちょっと臭いスパイスをブレンドすることによって和・洋・中と色々な料理の脇役として料理をさらに美味しくしてくれる良いものができた。

尾道のホテルのブレンドには瀬戸内海のエビを加え、そのスパイスを使ったらレモンが絞りたくなるようなブレンドにしたり。レモングラスとミントを効かせたチャイブレンドは爽やかさを感じてもらえるような仕上がりになった。

洋服のデザイナーのために作ったブレンドには彼の故郷の味を隠し味に加えてみたり、チョコレート屋さんのブレンドは鮮やかな黄色にするためターメリックをブレンドしたりした。

さまざまな国の味をバーベキューで楽しめるようなブレンドを作ったときには世界中を旅した気分にもなれたし、使っている人たちが世界旅行気分でキッチンや庭にいることを想像するとウキウキした。

いろいろなお店や人のミックスがその後活躍してくれているととても嬉しいし、スパイスは常々「名脇役」だと思う。主役となる人・地域・食材や店などをより一層引き立ててくれる。

「あなただけのブレンド」　これからも作っていきたいと思っております。