メタバラッツ
雨の季節と大切なハーブ
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雨の季節と大切なハーブ

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私が学生時代に過ごしたニルギリでは年の始まりはセーターを着るぐらい肌寒いのだが、日が経つにつれじわじわと暑くなり、4月ごろには日差しと暑さがかなり強くなる。そして5月になると暑さの絶頂期を迎え、真っ青に晴れた空が急に暗くなり厚い雲で覆われたと思うとゴルフボール位の雹がザザーと降ってくる。30分くらい降ると当然と止み、また真っ青な晴れ空に戻る。地面は氷で埋め尽くされているので、我々子どもたちはそれを拾って投げ合ったり、人の背中に入れたりして楽しんでいた。

雹が降り、それが長い雨に変わると学校は夏休みに入る。学生たちが戻ってくるのはモンスーンが開けた8月ごろである。いわゆる雨期である。このころにやってくるモンスーンは南西モンスーンと呼ばれアラビア海の大量の水を吸い込みグジャラート、ムンバイで大量に雨を降らし、デッカン高原の山々にぶつかりゴアや私が暮らしていたニルギリやウーティに雨を降らす。モンスーンはもう一つありそれは10月から11月ごろにベンガル湾の水を吸い上げバングラデシュ、コルカタに大量の雨を降らす。

長いモンスーンが開けるとインド各地では結婚式のシーズンがやってくる。インドのハネムーンキャピタルと呼ばれるニルギリにも新婚旅行のカップルがたくさんやってくる。そしてそのころにインドの人々にとってとても大事なハーブが咲き始める。トゥルシーである。またの名をホーリーバジルと呼ばれ、約5000年前から栽培されている。ヒンズー教の神、ラクシュミ神の化身とも言われ、ヴィシュヌ神の妻でもある。トゥルシー(TULASI)とはサンスクリットの言葉で「比類なきもの」を意味し、幸運や富、道徳の象徴でもあり多くのヒンズー教徒は中庭にトゥルシーを植え、朝、夕と2回お祈りを捧げるのが習わしである。トゥルシーの根にはガンジスが宿っていると言われ、その幹や葉には女神が宿り、トゥルシーの上の部分にはヴェーダ・ヒンズー教の教えが見えると言われている。

ストレスや不安を取り除く効果も期待されているトゥルシーは、糖尿病、癌の予防や呼吸器や目への効果も期待されている。口内のバクテリアなどの殺菌効果もあると言われ、ヴィシュヌ神 が均衡の神であるならば人間の体のバランスを整えてくれる大事なハーブがトゥルシーなのかもしれない。

ミントのような爽やかな香りと風味がするのでそのまま食べても良いし、お茶などにして飲むのもおすすめである。インドでは緑色が強いラーマトゥルシーと赤色が強いクリシュナトゥルシーとがある。

とても大切にされているハーブ「トゥルシー」は大地を潤し、晴れやかに結婚を祝福し、世界の秩序、均衡を保ってくれているのかもしれない。トゥルシーのことを学ぶと同じ状態であるということがいかに貴重かがわかるような気がする。人間のバランスを保つトゥルシーはこの季節にぴったりのハーブだ。

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鎌倉・極楽寺にあるスパイス屋・アナン㈱3代目。 オリジナル商品の開発や、スパイスの面白さを伝えるため料理教室などで全国を飛び回ったりしている。 好きな映画は『男はつらいよ』シリーズ。 アナン公式サイト:http://www.e-anan.net/