ダンジョン飯を考える(カナリア部隊について)

単行本8巻までの内容に基づくネタバレあり四方山話です。
ハルタ本誌の内容は未読なので、予想が外れてたり状況が変わったりしててもご容赦を。

カナリアとは

西方エルフの国から派遣されたダンジョン攻略専門部隊として登場。
カナリアというのは船の船首像が由来の通称で、正式な部隊名は不明。
構成するのは黒魔術に関わった罪人をメインにダンジョン攻略のための技を磨いたエリート部隊、とのことだけれど、そんな連中が割と任務に忠実にやってるのがちょっと不思議ではある。たぶんイヅツミのように何らかの【首輪】はつけられているんだろうな。

カナリア部隊メンバーは一人を除いて耳に切れ込み(もしくは先端部の切断)という特徴があり、おそらくこれが罪人の証ということなんだろう。
一人だけ耳が無事なパッタドルが補佐、罪人連中のお目付け役という形で所属している模様。


上陸メンバー

船にはさらにメンバーがいるらしいけれど、上陸部隊は6名。現在の状況で船に主戦力を残しているとは思えないのでこの6人が主力級だろう。
各々の特徴をまとめると、実際攻守サポート揃っていてダンジョン攻略のエキスパート部隊なんだなぁと改めて。

ミスルン(隊長)
男性。耳の先端が切り取られていて、右目が何らかの理由で失明している。
手に触れた物と任意の位置の対象物の位置を入れ替える転移術を使用。
この人について詳しくは後述。

パッタドル
女性。耳に傷が無いのでおそらく前科者ではない。
結界術でサポート役?言動を見る限りでは他のメンバーの扱いに振り回されている面もあるようだ。
なにかと冷や汗を流していたり、キノコの胞子でゾンビ化した人間にビビったりしているので実務経験は浅いのかも。

シスヒス
女性。褐色肌。
褐色肌だけれど、所謂ダークエルフなんだろうか。この世界のダークエルフの定義はよくわからないけれど。
おそらく炎系の攻撃術使い。鈴蘭のような道具を使うようだ。

オッタ
おそらく男性。胸の謙虚な女性かもしれない。短髪で小柄。
石や土に干渉して足場を作ったり道を塞いだりするサポート役ぽい。本人とかなり離れた位置に壁を作ったりできるようで、敵の逃走を阻んだりも可能。
探索中に、見えてるんだけど普通には行けないあの場所に行きたい、とかはかなり多いだろうから、戦闘能力自体は分からんけどダンジョン攻略にはすごい便利そう。
ただ、迷宮の深部だと迷宮主の干渉に押し負けたりもするのかもしれない。

名前不明(獣人)

男性。長髪で半裸。上半身に魔術的な文様が入っている。
獣人のような姿に変身して戦う。たぶん物理担当。
何気にイヅツミを人間に戻すキーパーソンになりそうな気がする。
ただ、完全に魂を分離できなくても常時混ざった状態から意識してモードチェンジできるようになればいいんじゃないかと思うけど、イヅツミはそれじゃ納得しないかもしれない。

名前不明(カラス使い)
女性。癖毛。何かにつけてゲラゲラと笑っている。
戦闘ではカラスのような召喚獣を使役するようだが具体的な運用は不明。

伝令妖精
あと2匹ほど妖精がついている。
相互にテレパシーのような形で通信ができるようだけれど、こういう種族がいるのか、メンバー誰かの召喚獣なのかな。召喚獣だとしたらパッタドルかカラス使いのどちらかが主人だと思われる。
ある程度自我があるような描写がある。


ミスルン隊長について

今回の主題。
魅力的なキャラクターが多いダンジョン飯だけど、個人的にかなり好きなキャラです。彼の性格とかについての考察。

外見
外見で特長的なのは潰れた右目と半分欠損した耳。
右目は薄目のような状態だけれど、パッタドルの発言から視力は失われているようだ。安易な切り傷とかの外傷じゃない隻眼キャラって結構珍しいような?特に髪や眼帯で隠すようなこともしていないので、本人はあまり気にしていなさそう。
健常な左目も目つきが悪く、隈が出ていて不健康な雰囲気。

他の前科者と思われるメンバーの耳は切り込みが入っている程度だけれど、彼の耳は先端が完全に切り取られている。これは再犯を繰り返したとか、よほどヤバいことをやらかしたのか、どっちかなんだろうか。
だけどそんな彼が隊長を務めており、パッタドルから敬意を持たれていたり、ほかのメンバーからも慕われているようだし、部隊長を任されているくらいだから本国上層部からも信頼されているのだろう。そのあたりがこの部隊の立ち位置が謎なところではある。
冒頭で触れた【首輪】が強力なのかもしれないけれど。

よく見ると切れている位置は他のメンバーの切り欠きの位置より根元に寄っているので、切り欠き部分が深くなって切れたような状態ではない。とっつかまって切り欠きを入れられたけど、もっと根元の方から切り取ってやったぜザマミロというような話である可能性もなくはないか。

戦闘スタイルと性格
触れた物を生物無生物問わず別の座標と位置を入れ替えるという転移術と、かなりの体術を組み合わせた、なんというかチート気味の強さを誇る。
転移術は地下1階から4階くらいの距離に大歩きキノコを飛ばせるくらいの距離と範囲を誇り、座標入れ替えなので対象物の防御力なんかも完全無視というヤバさ。敵対存在に触れられさえすれば(相手が魔法使いの場合対抗されるかもしれないが)勝利確定、触れられない相手だとしても、手元の物体を相手の急所を入れ替えられることができれば一撃必殺。
無詠唱でここまでのことをやってるので、服の下にはびっちり魔術の文様が入っていたりするのかな。実は何かリスクがあるのかもしれない。無茶苦茶腹が減るとか(笑

ダンジョンから脱出するような転移術は他のキャラクターが使用しているものを見る限りかなり手間がかかるようだけれど、ファリンが最初にライオスたちをダンジョンからエスケープさせた魔法とかは即時発動だったから単純に転移させる術と、扉を開く術とでは複雑さが違う、ということなのかな。
扉を開く方が安全だから通常の帰還にはそちらを使っているのだろう。

ダンジョン攻略部隊の癖に方向音痴なので、転移術の飛び先が適当で恐ろしいと周囲のメンバーやカブルーに思われているようだけれど、戦闘描写を見る限り人間と壁の位置を取り換える際に必ず顔は壁の外に出るようにしていたり、後処理が比較的楽なように大歩きキノコを水と入れ替えたりと、実は気を使っていることが分かる。
キメラ化したファリンを攻撃する際に岩の位置が上方にずれたことを、ほかのメンバーはミスだと思ったようだけれど、そこで死ぬと主人をつぶしてしまうぞ、という発言からも、最初から脳狙いではなかったんじゃないかな。

一見してエルフの部隊長らしく高圧的で怖そうな人だけれど、カブルーの言葉に耳を傾けて一定の理解を示したり、実は相当優しい性格なのではないかと思ったり。
…とはいえ人間を壁に埋めるときに顔を出すのが殺さない優しさなのかは微妙なところではあるけれど。あのあとどうしたんだろうね、あの人たち。


今後の活躍は?

8巻の最後でミスルンはカブルーとともに崩落に巻き込まれ下層に転落していったわけだけれど、カブルーを転移術で飛ばせば羽交い絞めなんか何の意味も無かったり、そもそも自分とカブルーをまとめて安全な位置に転移することだって簡単にできたはず。
なのに特にそういった対応も取らずおとなしく(?)落ちていった彼は何を思うのか。

シスルを地上へ飛ばす、と言いつつなかなか実行しなかったり(魔力で対抗されていたのかもしれないが)、そもそも地上に飛ばせば死ぬとわかっててそれを実行しようとした後に、ファリンに圧し潰されるのを気にしたり、微妙に言行不一致なところがあるのが気になるところ。

①特に深くは考えてない説
落下しても転移術でまた戻ればいいだけだから別に気にしていないのかもしれない。物語的に元も子もないのでこれはないと思う。

②おなかがすいて力が出ない説
シスヒスがわざわざ隊長にごはん食べさせないと、と言っているので空腹でどうにかなってしまう人なのかもしれない。
とりあえずカブルーの足に刺さった歩きキノコあたりからダンジョン飯の世界に足を踏み込んだりするのかも。

②何らかの理由で他のメンバーと離れて単独行動をする機を伺っていた説
ダンジョンについて事前調査もバッチリで、狂乱の魔術師シスルのこともよく知っていたため、何か意図があってわざと落下したのかも知れない。
他のメンツがいない場所でシスルと何らかの取引、魔導書の奪取なんかを目論んでいるとか。元が犯罪者ではあるので、何か悪いことを考えている可能性はある。

この作品は割と悪人は悪人らしく描かれているので、ミスルンが実は悪人、というのはないような気がしているけれど、落下した先には何が待ち受けているのか、隊長とはぐれた残りのメンバーはどういう行動に出るのか、次はどんなモンスターが食卓に上るのか、今後がますます楽しみなことですね。


おわり。
今後他のダンジョン飯話題も投稿予定。

次回→

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