非エンジニアがエンジニアの言葉をなんとなくしか理解できないのは、東京ラブストリー（1991）と同じだ

昨日、東京ラブストーリー（2020）を見ました。1992年生まれのわたしは「同じようなタイトルのドラマが昔もあったらしいぞ」ということをなんとなくずっと知っていて、ああ、2020は新しくリメイクされたのだと知りました。

ということで、早速1991年版を見ているのですが、何気ない一言が理解できなかったりするのです。元来、国語や古文が苦手なわたしではありますが、なにせポケベルすら見たことも触ったこともない、そんな時代を生きてきました。

まだ3話目ですが、理解に苦しみ、わたしが実際に年上の方にわざわざ質問した言葉が、リカが完治に言ったこちら。
「電話帳250冊分しゃべっても説明できないよ」

聞き取れなくて巻き戻して聞き直したし、聞き直しても「電話帳253通分しゃべっても説明できないよ」って聞こえたし、ググりもしました。ググってもこの言葉の意味なんて解説しているサイトなんぞありませんでした（だからもしかしたらデジタルネイティブでも普通は理解できるのかも）。

わたしは大学時代からIT業界に生息しているのですが、エンジニアと仕事をするのがすごく苦手です（「エンジニア」と一括りにしてすみません）。デザイナーだったこともディレクターだったこともありますが、エンジニアさんとしゃべる時は緊張しちゃうし、ドキドキしちゃうし、余計に頭が回らなかったりして、理解するのにめちゃくちゃエネルギーが必要だし、その結果、本当に理解できたのかすら確認する手立てもなくて、ずっとモヤモヤしていました。（ちなみに、人間の種類が正反対だから余計に興味があって、プライベートではエンジニア大好きです。）

そこで今日、「電話帳250冊分しゃべっても説明できないよ」という理解不能なワンセンテンスに出会って気がつきました。これは非エンジニアのわたしがエンジニアの言葉を理解できない時と同じ感覚だと…。

一つずつ、紐解いていきましょう。

まずは、単語です。

「電話帳」：さすがに電話帳は知ってます。1992年生まれのわたしは、見たことがあると思います。黄色分厚いやつ。色々なところの名称や住所、それから電話番号がつらつらと書いてあるやつですよね？それだけの本ですよね？

そしてこの文。

「電話帳250冊分しゃべる」：もう分からないのです。電話帳は電話番号を調べるものであって、「しゃべる」という動詞と結びつかないのです。電話帳250冊の想像がつかないっていうのももちろんあるのですが、「電話帳1冊分しゃべる」ということも理解できません。

そこで、わたしは憶測してしまいます。しかも、なんだか飛躍してしまうのです。

「なんで俺のこと好きなの？」的な質問の受け答えに「電話帳250冊分しゃべても説明できないよ」とリカは言った。だからわたしはこれを、「説明しても説明しきれないよ」というニュアンスだと憶測します。そこで止めておけばいいものの、なぜかさらに憶測を重ねます。

電話帳250冊分ということは、もしかして昔は電話帳に載っている電話番号1件に荷電することに何か多くの苦労が必要だったのではないか？と思考し始めます。だって、誰かに連絡をとるのにまずはポケベルを介するんですよね？しかも固定電話のある場所にいない場合は、公衆電話を見つけてそこから10円玉を入れてかけ直すんですよね？時間もかかるし骨も折れる、そういうことで「電話帳250冊分（荷電するくらいの労力をかけて）しゃべても説明できないよ」と謎な補完をしてしまうのでした。

ちなみに本当は、「分厚い本250冊分の言葉を並べてしゃべっても説明できないよ」という意味みたいです。行き過ぎた憶測をしてしまいましたね、わたしは。

単語が理解できない、背景を知らない、でも日本語だからなんとなく分かるような気がする。それがわたしにとっての「電話帳250冊分しゃべっても説明できないよ」という言葉でした。わたしにとっては、一つも具体的に想像できない、理解できない、そんな言葉だったのです。

思い返すと、学生の時に勉強した古文も同じような感じだったと思います。なんとなく読めるけど、その行為に当時はどういう意味が込められていたのか、そんな時代背景が分からないと読み解けないですよね。

そして、エンジニアの言葉もわたしにとってはすごく似ています。もちろん、非エンジニアはエンジニアの言葉が理解できるよう歩み寄らないといけないし、勉強しないといけないのは前提としても、それでも具体に想像ができないのです。そして憶測で補完せざるを得なくなってしまいます。その憶測が、思わぬ方向に飛んで行ってしまったりする人種も、そんなわたしみたいな人種も、ここにいるです。

だからエンジニアさん、どうか、どうかもう少しほんの少しだけでもいいので、「AだからB」ではなく「AはA'だからB」と説明を分厚くしてくれると嬉しいのです。煩わしくさせて申し訳ないのですが、「電話帳250冊分しゃべっても説明できないよ」ではなくて「電話帳250冊分に書いてある言葉の分量を使ってしゃべっても説明できないよ」と説明的に説明してくれたら嬉しいのです…

非エンジニアとエンジニアがお互いに歩み寄りながら円滑なコミュニケーションができますように。。