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「自由を扱う」をテーマにした練習の実践録(その4)

この記事では3日間の「自由を扱う」というテーマによる練習の最終日の様子をご紹介しようと思います。

2日目の練習は日曜日であり、月曜日の練習オフ日があけた火曜日が3日目の練習となりました。前日が休みということもあり、気分もリフレッシュした中での3日目ですので、良いスタートを切るのか休み気分が抜けないままのスタートになるのか様子をみようと思っていました。

すると、練習開始の15分前に選手達が自発的にミーティングを開いていました。練習開始前にミーティングを開くようには指示していませんでしたが、リーダー格の選手が呼びかけ、話し合いを行なっていました。

議題は、私が2日目の練習終わりに考えるように指示していた「主体性」についてのことでした。辞書を調べて言葉の意味を勉強してきた選手や、自分の考えを付加して意見を述べていた選手など、様々な話があったようです。これらを集約して、全員で共有した上で練習に入ろうとしていました。

こうした話し合いが行われたことは、「自由を扱う」というテーマの練習を進めていく上での土台となる、「主体的行動」の重要性の理解が進んだということとも言えると思いました。主体的に動くということはどういうことであって、主体的に動いていくことで自由度の高い練習のクオリティを上げていく必要があるということが,なんとなくではなくしっかりと感じとることができたのだろうと思います。

ミーティングの終わりには私にも発言が求められましたので、選手達の考えた話はまさに私が出していたお題の答えであることを伝え、今日の練習では「主体的」に動いていくことを意識することを指示しました。自発的なミーティングを行なっていたことも良いことであると承認し、練習をスタートするようにしました。

9:00〜ウォーミングアップ

3日目も同様に個人で自由に取り組みました。初日と比べると格段に選手一人一人に意図が感じられる取り組みが見られ、良い練習のスタートになったと感じました。

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9:30〜キャッチボール・トスバッティング

10:00〜ドリルノック・内外連携

ドリルノックにおいては、各ポジション毎に意識する点を決めている様子がうかがえたり、「こうしよう。ああしよう。」という話し合いが見られました。一人一人プレーに集中している様子がうかがえ、非常に良い雰囲気で練習が進行していました。

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11:00〜ミーティング

ここでは、3日間の総評と、この「自由を扱う」というテーマを設定した理由について話しました。特に、「短い時間」という限られた中でどのように練習の質を高め、最大の練習効果を得ていくのか、それには工夫や取り組みの際にピンポイントで何かに意識をおく必要があるということは強調して説明しました。練習時間が豊富にあれば、出来る練習も増えるため、ある意味惰性になってしまうかもしれません。しかし、時間が短時間に限られると、練習効果を最大限得るには何かしらの工夫が求められます。そこに考える機会が生まれます。こうした環境下で考える機会を持つことで、日々の練習においても考える習慣が身についていくものと思います。この3日間はそれを体験してもらうところに意図があったと話しました。

また、その短い練習の中にはテーマに掲げていたように「自由」な側面がいくつかありました。これら自由度のある練習では、何かしら選手自身で意識することや練習の工夫、姿勢を変化させないと、練習の質は下がり充実感の無いままに練習を終えてしまうことになります。練習において何をするのかを全て指示を受けて取り組むのは、ある意味で簡単かもしれません(トレーニングは大変ですが)。しかし、自由に取り組むとなった途端、何をして良いのか分からなくなる選手もいます。「分からなくなる」ということを経験することが、非常に重要です。この経験を持つことで、練習には意識と工夫を持って練習することが大切であることに気づきますし、また、練習を進めていく上では、技術以外のトレーニング計画やスポーツ科学の知識が必要なのだと思うかもしれません。こうした気づきが非常に重要であるとも選手に伝えました。

そして、野球という今日は集団スポーツであり、チームで協力して練習を進めていく必要がある場面も考慮する必要があると話しました。主体的に取り組む結果、ある選手は「〇〇したい」と考えていたとしても、別の選手は「××がいい」と思っているが故に生まれる対立も起き得ると思います。こうした場面において、集団スポーツである野球の場合は、ある一つの決定に絞ることが必要になることがあります。そうしたときに、自分の意見が正しいと決めてかからず、まずは相手の意見を聞いて自分の意見も述べること、そしてチームにとって良い案、それぞれの選手にとって良い案を編み出していく必要があると話しました。

このような話をした上で、ミーティングを締めることとしました。大体15分から20分程度の長話となってしまいましたが、どの選手も真剣に話を聞いてくれていました。

11:30〜打撃練習(自主参加制)

3日目の打撃練習も自主参加制としました。3日目も1日目と同様に約半数以上の選手が残り練習をしていました。また、2日目の紅白戦後のミーティングにおいて、「1人の選手が同じゲージで打ち続けるが故に、打てない選手が出てくるのは配慮不足である」という内容の指摘をしていたことを踏まえ、上手く練習の進め方を工夫して取り組んでいました。

このような流れで3日間の練習を終えることとなりました。
総合して私の手応えとしては、練習への臨み方を考える一つのきっかけとなったのでは無いかと感じられるものでした。次の記事ではこの3日間の練習のまとめをしてみたいと思います。

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