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【小学生以下の子を持つ親必見】GIGAスクール構想の実現パッケージ解説(2月13日版)


 こんにちは!子どもと共に未来を育む 共育コンサルタントの金澤です。

 先日ご紹介した、全国の小中学校を根本的に変革させる「GIGAスクール構想」ですが、2月13日に情報が更新され、勉強が変わる具体的なイメージが形になってきています。

※最新の一次情報はこちら↓:文科省HP


 2月13日に更新された追加情報では、「未来の学び」構築パッケージと称して、内閣官房IT総合戦略室・総務省・文部科学省・経済産業省の連名で37ページにもわたる資料が公表されました。

 気合が入っているのはいいのですが・・・この資料を見ると、情報量が多すぎて、おそらく一般の保護者の方は読んでもわからないのではないかと思います。。。(ぶっちゃけ私も最初見たときはわかりませんでした笑)

 そこで、今回はこの「未来の学び」構築パッケージの中で、生徒・保護者の皆様にとってポイントになりそうなところ・知っておいて欲しいところをピックアップして解説していきます!章立てしておりますので、ご興味のあるところだけ読んでも、全部ザッと目を通していただいてもOKです。


学び方と学ぶ内容が大きく変わる

 まずはこちらの画像をご覧ください。(出典:文部科学省)

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 GIGAスクール構想では、一人一台の端末・全学校のネットワークがあることを前提にして、授業にこんな変化が起きると想定されています。

・「一斉で一方向の授業」→「一人一人の反応を見て、授業内容を変化させていく双方向の授業」
・「全員同じ進度」→「人によって理解度や状況に合った内容を学習する、個人に最適な進度」
・「積極的な子が中心の協働学習」→「全員が作業を行い、役割を持って参加する協働学習」
・遠くにいる人を端末とネットワークを使って繋げる
・情報モラルやリテラシーを端末を使った実体験を通して学ぶ

 こうやって見てみると、確かに学校で行われる学びが大きく変わっていきそうなイメージが湧いてきますよね。


 さらに今回(2月13日)発表された「未来の学び」構築パッケージでは、具体的な端末の活用方法として、以下のようなものが例として出ています。

【ステップ1】 一人一台端末をいろんな場面で活用
・検索サイトを使って調べ学習を行う
・長文や資料・作品をソフトを使って制作する
・イメージしにくい定理や史実をデジタル教材を使って学びやすくする
【ステップ2】 学びを深める
・国語:書いた文章に、生徒同士でコメントを付けあって助言
・理科:実験を動画で撮って分析し、写真やグラフを使ったレポートやプレゼンにまとめる
・英語:海外とオンラインで繋いで対話練習・ディスカッション
・社会:データや情報を集めてまとめ、分析して可視化、プレゼンへ
・算数・数学:関数や図形の変化の様子を、自分で変化させて実感
【ステップ3】 教科の学びを繋いで、探究活動・社会課題の解決へ
・課題の設定→情報収集→情報整理と分析→まとめ・表現 の流れを、それまでに習ったことを活用して実践する

 こうやって整理して読んでみると、しっかりステップを踏んで端末を使っていっているのが理解できるのではないかと思います。

 社会に出ると誰でもやるような検索や文書・グラフ作成から始まって、記録・分析・表現などを各教科で学び、その学んだことを生かして現実社会にある課題解決にチャレンジする。

 スムーズにこの流れが実現できれば、学校での学びと社会での仕事が繋がっていくように感じられます。


1人1台端末、ネットワーク環境整備を前提とした先端技術活用

 GIGAスクールもそうですが、今回の発表に限らず、ここ最近文部科学省が発信している資料では「先端技術の活用」という言葉がたくさん出てきます。

 ここでいう先端技術とは、

・ビッグデータ/スタディ・ログ(成績、内申点、学習時間、読書履歴などをタブレットを使った学習から自動で蓄積し、それを分析する)
・センシング(画像情報から生徒の動きや表情などを測定する技術)
・遠隔教育(離島や海外を繋ぐようなテレビ電話システムなど)
・協働学習支援ツール(生徒のタブレットで書いたものが先生のタブレットで一括して見られる、など。「平成教育委員会」的な)
・AIドリル(アダプティブ・ラーニング ※キーワード欄で説明)
・校務支援システム(連絡、成績管理、出欠席など、従来紙や手作業で行なっていたものを一括で管理し、業務削減を促すツール)

などを指していることが、以下の資料より読み取れます。(出典:文科省)

新時代の学びにおける先端技術導入実証研究事業

 現在実証実験中で、埼玉県・岐阜県・香川県・京都市・箕面市の5つの自治体で取り組みが行われています(令和3年度までの予定)。この実証実験の経験を全国に広げていく形になるはずですので、今後これらの自治体の実証実験の成果に注目です。


私企業の学習教材を学校で導入

 いざ新しい学びにチャレンジしようと言っても、実際にはいろんなソフトやアプリが出ており、先生や生徒が一つ一つを試すのは難しい部分もあります。それに、タブレットを使った勉強ってどんなもの?とイメージがわかない部分も当然あるでしょう。

 そこで経済産業省が主催して、教育委員会職員・教員・生徒保護者を対象に「未来の教室キャラバン」というイベントが行なわれています。生徒保護者も無料で参加できますので、気になる方はぜひ一度ご参加なさることをお勧めします。

 ただし今年度(3月末まで)では、3月8日の広島県が最後の開催。4月からの新年度で、また全国規模で開催するとのことです。


 このキャラバンでは、実際に学校で使われるサービスやアプリが展示され、使ってみることができます。2019年7月の滋賀県長浜市で行われたキャラバンに参加した企業は以下の通りでした。(リンク貼りました)

COMPASS(数学のアダプティブラーニング教材"Qubena")

Life is Tech!(中高生向けプログラミング教育)

学研プラス(プログラミング作曲アプリ"Music Blocks")

凸版印刷(小学生向け算数タブレット教材"やるkey")

Leave a nest(科学探求・研究支援プログラム)

Google(Chromebookの提供・自社開発教育ツール提供)

 こういう官民協働のプロジェクトは近年大変盛んになっていて、すでに導入されているものも多数あります。学校向けだけでなく、家庭でできるアプリもあれば、個人で申し込めるサービスもありますので、興味があったらぜひ上のリンクを見てみてください。

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参考記事:GIGAスクール構想ってなに??

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 最後に、GIGAスクール関連で大きく公教育が変わる流れの中で、しょっちゅう出てくるキーワードがいくつかありますので、簡単に解説をしておきます。(反響があったら別立てで記事にするかも)

キーワード1:Society5.0

 言葉で説明するよりこちらをご覧ください!この映像に出てくるような社会が、近い未来にやってくる「Society5.0」です。

 あえて言葉で説明するなら、「先端技術をフル活用して、経済発展と社会問題の解決を両立する社会」という感じでしょうか。


キーワード2:EdTech

 Ed=教育(Education)とTech=技術(Technology)を合わせた造語です。エドテク(またはエドテック)と読みます。金融のフィンテック、医療のメドテック、農業のアグリテックに並ぶ、教育における先端技術のことです。日本はやや遅れていて、アメリカ・中国・インドあたりが先進国です。

 AIを使って苦手な単元や単語を自動で出題してくれるアプリや、アプリを使って学習すると自動で学習時間や履歴を蓄積して表示してくれるものなど、様々なものがあります。

 EdTech企業の一つであるatama+株式会社が、「atama+ EdTech研究所」を立ち上げていますので、もし詳しく知りたい方はこちらをご覧ください!


キーワード3:ICT

 ICTとは情報通信技術(Information and Communication Technology)の略です。

 日本では誰かがイットと読んだ「IT(情報技術)」の方が浸透しているかもしれませんが、ICTとはこれに通信の意味を持たせた、発展的・応用的な言葉です。世界的にはITはあまり使われず、ICTと呼ぶことの方が多いので、ぜひこちらで覚えてください。

 スマホやタブレット、PCなどの端末はICT機器と呼ばれます。


キーワード4:STEAM教育

 STEAM教育とは、理科(Science)・技術(Technology)・工学(Engineering)・アート((liberal)Arts)・数学(Mathematics)の5つの頭文字を取った教育内容を表す造語です。

 ちょっと前まではAを入れずに「STEM教育」と呼んでいましたが、ここ数年でSTEAMと表記が変わってきました。

 ある調査によると、工学系や数学系の専攻出身は非常に年収が高いという結果が出ており、技術革新に伴ってプログラミング・コンピューター系の需要が高まっているのも相まって、注目が一気に集まっています。

※ちなみにAのことを「芸術」と訳さずに「アート」と呼んでいるのは、日本で広く認知されている芸術(音楽、美術など)だけではなく、もっと広い教養(文学や哲学など)も含まれるため


キーワード5:アダプティブラーニング

 直訳すると「適応する学習」。学習する内容が学習者の状況に合わせて変化することを指します

 今までの学校での授業は、1対40名みたいな形でしたから、生徒のわかる・わからないに関わらず1通りの内容しか学習できませんでした。それを、EdTechのような技術を使うことで、生徒の理解度や学習状況を把握し、それに合わせて問題を出したり単元を戻ったりできるような仕組みのことです。

 人でいうなら個別指導、家庭教師みたいなのが近いと思いますが、人がやってもその生徒に適応させるのはなかなか難しいことです。機械を使うと完璧というわけではありませんが、人だけでは難しいことを機械でサポートできるようになる、というのはすごいことだと思います。

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 今回取り上げたもの以外にも、何か解説してほしいこと、わからないことなどがありましたら、コメント欄にお書きください!必ずご返信いたします!


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