魔法弁護士の秘書のお仕事
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魔法弁護士の秘書のお仕事

「いや、この契約書は確かに魔法契約書だ。」
所長はこれからクライアントが締結する契約書、ただの紙切れに見える――を見て言った。私は先生のデスクにお茶を置きながら聞いた。
「見て分かるのです?」
シャープなメガネの先生は厳しい眼差しのままこちらを向いて言った。
「いや、これはただの紙切れだ。しかし書き方で分かる。魔法契約書はその素質あるものが有効な書式で書き両者記名押印の儀を行い記載の条件が揃ったときに発能する。つまり」
先生はメガネを指で戻しながら、言った。
「私の他にも魔法弁護士が居る、と言うことだ。」
しばし沈黙。意味が分からない。先生が魔法弁護士だと言うこともよく飲みこみていないのに。
「…ではこれは突き返します?」
「いや、これでいい。押印を進めてくれ。」
「大丈夫なのです?わざわざ魔法がかかっていて、何か企んでいるんじゃ……。」
「いや、ただの秘密保持契約書だ。間違ってはいない。しかしよく見てみろ。」

      †秘密情報保持契約書†

ABC株式会社(以下「甲」)と、株式会社XYX(以下「乙」)は、次の通り秘密情報保持契約(以下「本契約」)を締結する。
 :
†第10条†
本契約条項中疑義が生じた場合、甲乙別途原告の指定する競技の上決着を付けるものとする。

「…普通じゃ無いですか。」
「いや、まず、各条項にクロスが入っている。魔力が込められている証拠だ。」
「…あ、この十字の。かっこいい。で、どんな効果があるんです?魔法って。」
「それと最後だ。第10条、疑義が生じた場合、原告の好きな競技で決着となっている。」
「あ!」
「つまり先に疑義を見つけ得意な競技を吹っかければ勝ちだ。魔法契約書は書いてあることがそのまま現実となり発能する。いかなる指示であろうと逆らえない。」
「マリカーで勝負とかでもです?」
「そうだ、マリカーで勝負…あ!」

…少しでも力になれるように、マリカー練習しとこっかな。

【続く】

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感謝しかないでしょ!
幼い頃 少し寒い実家で寝かされながらじっと 外の音を聞いていた感じ こんにち、音楽ばかり投稿してるでしょ!長編小説カクカク詐欺でしょ!ごめん、もうしない!