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メンタルヘルスにもっと関心を払おう! (大坂なおみ選手の全仏オープン棄権から考えたこと)

女子プロテニス選手の大坂なおみ選手は全仏オープンの開幕前に「(プレスは)メンタルヘルスに配慮がない」として記者会見に応じない意向を示したため、大会主催者から1万5000ドル(約165万円)の罰金を科せられました。

その後、大坂選手は自身のTwitterで「2018年の全米オープン以降、長い間うつに悩まされてきた」とカミングアウトし、全仏オープンの2回戦を棄権すると発表しました。

実は私自身もかつてうつ病を発したことがあるので、大坂選手の気持ちは多かれ少なかれ理解できます。うつ病を発すると自らの意思でメンタルをコントロールすることが非常に困難になります。その上、周辺に理解を求めることはもっとハードルが高くなります。このため、周辺の人には、なかなか理解してもらえないことが多くあります。

うつ病になる原因は様々なのですが、その一つとして、個人の対処できる限界を超えたストレスやプレッシャーが掛かると発生します。必要なのは関係者の理解と配慮です。そして、可能ならば、一刻も早い治療を受けることです。私の場合、発症してから寛解するまで、1年以上もかかりました。幸運にも寛解できましたが、なかなか治療に踏み込めず、悪化する方も多くいます。

メンタルヘルスは、個人の問題と捉われがちですが、実際には環境や社会の問題のことも多くあります。多くの企業では、メンタルヘルスを重視し、メンタルヘルスに不調をきたした人を早期発見し、カウンセリングなどの治療プログラムを会社側が用意しているところも増えてきています。ここでは、必要に応じて、職場環境の改善も行ったりしています。しかし、社会全体で見ると、まだまだ不十分のところもいくつかあるようです。

大坂選手は色々な人に注目されて期待されており、多大なプレッシャーが掛かっており、このような結論を出すのは簡単なことではなかったと容易に推測できます。しかし、勇気を出してカミングアウトしたことは、ご自身にとってベストな選択だったのではないでしょうか。

また、スポンサーたちも大坂選手を支持する立場を表明したことは、メンタルヘルスについて正しい対処方法を選択されたと考えます。また、大坂選手に対する様々な反応を見ると、カミングアウトなどオープンに語れるハードルはかなり下がるなど、社会に良い影響を与えているようです。

ちなみに、1990年に制定された「The Americans with Disabilities Act」(ADA)は、職場や公共の場での障害者に対する差別を禁止しています。ADAは、身体的な障害だけでなく、うつ病などの精神的な症状も対象に含めているそうです。

テニス界のみならず、社会全体がもっと「メンタルヘルス」に関心を持ち、出身、ジェンダー、障害など様々な立場を考慮して、不当・不要なストレス・プレッシャーを与えないよう理解・配慮する仕組みがあると選手だけでなく多くの人たちにとっても暮らしやすい(選手にとってはプレーしやすい)環境が整うのではないでしょうか。

今後、大坂選手のメンタルヘルスを回復されることと再びコートに立つ日が来ることを心から願っています。

あらゆる人が楽しくコミュニケーションできる世の中となりますように!