笑うと片方の眉だけ下がる男は沼。

数年前の冬、大好きだった人に振られた。


厳密に言うと別れを告げたのは私からだった。そのとき彼は私のことをまだ好きだと言ってくれていたけれど、あれは間違いなく振られたのだ。先に気持ちが離れて変化をみせたのは彼だったのだから。

人生で初めて結婚したいと思うほどの人との別れは寂しくて、それは恐ろしいほど順調に私の健全な心を蝕んでいった。

と書くと、なんだか「ぽい」けど、当然のようにずるーーーーーっと引きずって、別れたのにLINEしちゃって、別れたのに会っちゃって、別れたのにお互い終電を計画的に逃しちゃって、別れたのにセックスをしちゃっていた。

自分から耐えられなくなって別れを告げたくせに私はその間も彼にたくさん「好き」を伝え続けていた。意味がわからないが、意味がわからなくなってからが「恋に溺れる」ってやつの本番なのだと思う。

もがけばもがくほど溺れていく沼のような彼への想いをどうやって断ち切ったのかというと、心より先に身体にキたからだ。というより皮膚にキた。

もうどんなに頑張ったってハッピーエンドはない、それなのに好きをやめられないストレスは私の顔面を赤い吹き出物となって覆った。そしてそれは一つ治りかけてはまた一つ出来、膨らみが治まったと思いきや、最後には薄黒い跡となってしっかり残っているのだった。

私はこれが耐え切れなくて食事を変えたり、スキンケアを一式変えたりしてみたけど一朝一夕には治らなかった。とっくに分かっていたが最後まで見て見ぬふりをしていた最も効果のある治療法、“元彼LINEブロック”まで3ヶ月間は苦しめられたと思う。

次第に新しい吹き出物は出来なくなっていった。その後は残されたニキビ跡との格闘の日々、やっぱり一番効果を感じたのは美容皮膚科でのピーリングとレーザー。でもその分お値段も高価なので、私には継続5回コースで精一杯だった。

その後はマイルドピーリングでのセルフケアに勤しんだ。

私が使っていたピーリング化粧水はThe Ordinaryのグリコール酸7%の拭き取りトナーをしばらく。

その後にビタミンC美容液と併用して、乳酸ピーリングも。

これらは結構良くて、続けると皮一枚剥けたようなつるんとした透明感あるお肌が出てくる。ニキビ跡の部分はもちろん長期戦を覚悟していたけれど、全体の肌のトーンが上がるとそれだけで少し前向きになれた気がした。

そこから約2年の月日をかけてようやく今ではニキビ跡がファンデーションで隠せる程度に。

もちろん完璧にきれいとは言えないけれど、色んな治療法を重ねて薄く薄くしていって。

今「これは私の努力だ」と胸を張って言える。そんな過程が自慢だ。ニキビ跡も。元彼への気持ちも。


おしまい。

タイトルで思い浮かぶ顔は、芸能人でいうと柳楽優弥さんです。とにかく顔が好きです。



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