
森絵都著「みかづき」を読んだ
本屋さん大賞上位の本を読んで行こうと本屋さんに行って、2017年の2位になった「みかづき」を購入して来たのが、数週間前でした。
事情があって他の本と並行して読んだり、読書の時間を削らざるを得ない事情もあったりなんかしたので、ゆっくりじっくり読み進めることになりましたが、先程ようやく読み終わりました。
感想を一言で言うならば「凄い」に集約される。
読みながら何度も「凄い」とため息混じりに呟きました。
何十回というレベルで感嘆の声を上げてしまいました。
この本に出会えてラッキーだったとつくづく思う。
この切り口でこの問題を書き上げることができる人がいるのか、と思いました。
塾経営に携わる家族三世代を描く中で、教育問題を切り口に日本社会の問題点を見事なまでに描き切る、こんな作品を完璧なまでに描き切ってる。
教育問題?塾?ふーん?という感じで、このテーマにはほとんど関心が無い自分だったのだけど、これは大変な問題なのだと思った。
切り口は教育から入ってるけど、日本社会がずーーっと抱えている問題、隠されて来た真実を描いている。
これは凄いとしか言いようがない。
著者はこの問題と真実にいつ気付いたのだろうか。
そして、この作品を作るにあたり、どれほどの調査と取材と勉強に時間をかけたのだろうか。
説得力があって、重厚で、人の描写が秀逸で、非の打ち所がない作品だった。
凄く読み応えがあって、密度が濃くて、凄く作品に入り込んで読んでいるのになかなかページが進まない。
ページをめくる度、いや、数行読む度に圧倒され、考えさせられ、ため息をついた。
一つの作品を読むのにこんなに時間をかけて、考えたことはこれまで無かったような気がする。
この作品を読んだら、他の小説を読む気になれない。
これまで読んだ他の小説がなんだか凄く薄っぺらく感じてしまうぐらいの作品だった。
ちょっと怖いのは、これをドラマ化するということらしいですが、
はたしてどこまで映像化で描き切れるのか。
連続ドラマを見てるような錯覚をしてしまうぐらいの内容ではあったけど、社会が抱えている問題や真実をテレビで流すことができるとはちょっと思えない。
まずはドラマ化される前に読んでおいて大正解だったな、と思った。
ドラマを見て、この作品を知った気になってしまっていたら、、と思うと本当に人生を損するところだった。
良書に出会えて本当に良かった。
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