【令和元年】論文本試験の見直し方

令和元年の論文本試験について再現答案を作成した受験生は、以下について見直しをしてみることをオススメします。

1. 間違い・不十分な記載の検証

 論文式試験における間違いや不十分な記載を放置してしまうと、口述試験に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 論文式試験に合格後、ストレートに口述試験も突破するためにも、自分の再現答案の間違い・不十分な記載は、単に修正するだけではなく、原因の究明が大切です。

 原因を究明し、取り除く改善をしてはじめて、同様のエラーが排除できるからです。

 とりわけ、下記のような間違い・不十分な記載があった場合は、
「どうして間違えたのか」「どうして足りなかったのか」の原因を究明してみてください。

 また、その際、以下に示したチェックポイントの検証をしてみてください。

(1). 特許・実用新案

①. 問題Iの問1(2)、特実問Iの「出願分割の可否」
⇒ 答案構成の前に、設問の事案の時系列を整理していたか。

②. 問題Iの問2(1)、PCT22条に触れていない
⇒ 答案構成、書き出す前にPCTの本則の条文(22~30条)を見たか。

(2). 意匠

①. 問題I、新規性喪失の例外適用(4条2項)について「効果への言及」
⇒ そもそも新喪例が出題テーマの答案練習で、効果にも言及するように指導されていたか(普段は書けていたか)。

(3). 商標

①. 問題Iの問(2)、立場の説明における「趣旨に照らして」という問題文の要求の充足
⇒答案構成において「趣旨に照らして」という問題文の指示を意識していたか(下線を引いたり、〇で囲ったりしてハイライトできていたか)。

②. 地域団体商標⇒団体商標への変更(11条2項)
⇒事案整理の段階で、甲は組合(=団体)であることを意識できていたか。

2. 上記1の検証箇所の書き直し(リライト)

 間違えている箇所、解答が不十分な箇所は、書き直し(リライト)をしましょう。
 「正しく理解しなおす」ためには、書き直すことが近道です。

 なお、この時、文字数の制限はひとまず意識をしなくてもよいです。

3. 答案全体をより短く書き直す

 上記2. で書き直した箇所を含む再現答案全体について、内容の濃さをそのままに、より短くリライトしましょう。

 というのも、口述試験では、10分という非常に限られた制限時間内で最後の問いまで解答し終えるためにも、「問いに短く答える」ことが極めて重要です。

 長く答えてしまうとそれだけ試験委員に「ツッコミ」ができる余地を与えてしまうことになりますし、そもそも制限時間を物理的に圧迫します。

 では、どうすれば短く答えられるか、というと、もちろん口述試験さながらのトレーニングも有効なのですが、そもそも論文式試験でたっぷりとした解答をしていた受験生は、どうしても口述試験における回答も長くなる傾向にあるのです。

 よって、まずは直近の自己の答案である本試験の再現答案について、「端的に答える」という観点から、総文字数を減らしてみてください。

 この作業は、パソコンで書いた再現答案をリライトするので構いません。ただその時、解答の1文1文を自分で声に出して読み上げてみて、

「この解答を耳で聴いた試験委員に、意味が通じるだろうか」

と意識してみるとよいです。

 口述試験については、ひとまず下記のツイートもしています。


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