
【音楽雑記】中山美穂『Love Letter』が公開された頃(1995年⑤)
中山美穂さんのニュース以降、じわじわと深い喪失感を感じている。
ファンとしてずっと追いかけていた訳ではなかったが、1985年のデビュー当時から記憶はしっかりとある。もう40年も前の話だ。当時、個人的にはテレビでの印象より雑誌の表紙やグラビアページでの印象が強かった(ドラマは見ていなかった)。
「明星」、「平凡」といったアイドル雑誌とともに「GORO」にもよく登場していた。デビュー直後の紹介グラビアスナップの画が今も脳裏に残っている。それからアイドルとしての活躍はずっとリアルタイムでみていた。
中でも一番印象に残っているのは中山美穂さんが主演をつとめた1995年の岩井俊二作品『Love Letter』だった。当時はアイドルから大人のお姉さんになった感じで見ていたが、まだ25歳頃だったことになる。
この頃、滅多に日本映画を映画館に観に行くことはなかったが、この映画は観に行った。きっかけは岩井俊二の劇場公開作品だったからだ。
その少し前、何気なくみていたフジテレビ。深夜に岩井俊二のドラマ作品が特集放送されていた。そこで『undo』、『FRIED DRAGON FISH』、『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』、『GHOST SOUP』などを続けて観て、岩井作品にすっかり魅了された。日本映画もこんなに面白く洗練されたクオリティ高い作品を作る凄い才能が出てきたんだと感心していた。
そんな岩井俊二の劇場公開作品ということでロードショーで観に行ったのが『Love Letter』だった。『Love Letter』は期待以上にいい映画だった。冒頭の雪景色のシーンからの美しい映像。胸にせまるノスタルジックなストーリー、そして流れてくるREMEDIOS(Reimy) さんの音楽も良かった。
そして何より可憐な主人公を演じる中山美穂さんの演技が素晴らしかった。
それから『Love Letter』は長い間、心に残り続ける作品になった。ずっと後になってブルーレイも買ったし、サントラCDも持っている。そんな作品はほとんどない。
この頃、中山美穂さんは歌手としても絶好調だった。WANDSとコラボした「世界中の誰よりきっと」やドラマ主題歌「ただ会いたくなるの」と2作品がミリオンセラーになっていた。彼女の声は『Love Letter』の主人公とも重なる、可憐でひたむきで少し憂いがあるところが魅力だった。
この時期、クリスマスソングとして流れる「遠い街のどこかで」も色褪せない名曲だ。