中国のZ世代や女性に人気な「盲盒」経済とPOPMARTの躍進に注目
先日、中国のZ世代を紹介した時に「盲盒」(Máng hé、トレーディングボックス)の流行についてを紹介しました。今回はその最大手の「泡泡玛特」(POP MART)についてです。
最近まで中国ではトレーディングボックスの文化がなくて、一部の日本好きなオタクの間だけのカルチャーでした。それがどんどん普及してきています。
当初は国産のものはあまりなく、日本で購入されたものや、日本から輸入されたものが多かったのですが、今は中国の商品がだいぶ出てきました。その中で最王手なのがPOP MARTです。
POP MARTの初期は、流行りのおもちゃやいわゆるポップな雑貨を扱う小さいお店でしたが、2014年に日本から輸入したSonny Angelの販売をきっかけに市場の可能性を感じたそうです。
その後、設立者の「王寧」さんがトレーディングボックスのIP開発に力を入れはじめ、2016年8月に自社開発の「Molly」をリリース。中国のトレーディングボックスブームに火をつけました。
↑POP MARTが香港のデザイナーと提携して初めてリリースした自社開発のトレーディングボックス
そこからトレーディングボックスが一気に流行。POP MARTも自社独自の商品はもちろん、他にもディズニーやサンリオ、中国のローカル人気キャラクターなどの商品をリリースしました。
自社のデザイナーが成長したことはもちろん、世界的に有名なデザイナーとの提携も進みます。
↑例えばこちらは日本のデザイナーの鎌田光司さんとのコラボ商品。こういう場合はトレーディングボックスではなくて、普通のフィギュアとして売ってます。
中国のトレーディングボックスは一般的には39〜69元(約600〜1050円)で、59元や69元のものが多く利潤率が非常に高いそう。
今やPOP MARTは超儲かってると思います。最近のニュースによりますと、2020年6月1日にPOP MARTが香港証券取引所に上場の申請を出しました。その資料では2019年のPOP MARTの売上高は16.83億元(約259億円)で前年比227%増です。
さらに、昨年のTmallの11/11特売キャンペーンでは1日で200万個の販売を達成、8212万元を売り上げました。
↑データでも。POP MARTの購入者の75%が女性で、比較的お金の余裕がある学生や若いOLが多い
そしてもう1つ僕が注目しているところは、POP MARTは次々とお店を開いて商品を売るだけではなく、中国のモバイルインターネットをフル活用して売っている点です。
↑スマホで簡単に、欲しいボックスを購入できる電子決済自販機
↑最新商品を素早く購入できるWeChatミニプログラム
↑トレーディング感覚を作るためにボックスが選べます
↑自社アプリで販売のプラットフォームだけではなく、コミュニティまで形成しています
↑オンラインで購入した商品は郵送で届きます。購入する時点でどれが出たかがわかりますので、気に入らない商品やすでに持っている商品があれば郵送せず、そのまま出品することができます。
↑もちろんアリババ系のC2Cプラットフォーム「咸鱼」にもたくさんの出品がありますが、POP MARTのアプリで取引をする場合、新品のままでもらえるからトラブルが少なく人気だそうです。
このあたり進んでるなぁと思ってしまいます。いわゆるガチャガチャって日本でもオンラインでもたくさん売られているのでしょうか?こんな仕組みの数々も整備されてます?
時代にマッチした便利な売り方やエンゲージを高める仕組みづくりが本当に上手だなと感じました。
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(参考資料)
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