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想像と妄想

夕凪の街 桜の国』というマンガを読んだ。広島の原爆をテーマにした話だ。

作者のこうの史代さんは、戦争体験者ではないらしい。いろんな人に話を聞きながら、いろんな資料を見ながら、たくさんの人の協力を得てこの作品をつくったのだとあとがきに書かれていた。つまり、この作品は「想像」で描かれたものだ。

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私はこれまで、「想像」ということばを大きく勘違いしていた。

「想像する」とは、ひとりで頭の中でいろいろ思いをめぐらせて、仮説を立ててゆくことだと思っていた。

それはきっと、間違いだ。


「想像」は「対話」なのだ。だれかとじっくり話をして、その断片をたくさん集めて、自分の頭の中でひとつひとつ再構築してゆくこと。「想像」は、ひとりでは成し得ない。人と向き合う覚悟を持たなければ、「想像」はできない。対話のない、ひとりで成し得る想像は、「妄想」にすぎないのだ。


なにかを伝えること、なにかを表現することに必要なのは、「妄想」ではなく「想像」なのだなあ。今までその二つを混同していたな。

『夕凪の街 桜の国』、すごい作品でした。

あしたもいい日になりますように!