感動的に美しい、日本のもの

海外に出て気付く日本の美しさはいろいろあるけど、ネパールに暮らす私が思う、『日本のこれ、美しい!』のひとつは、お札。
日本にいるときは、お札がきれいなのは当たり前で気がつかなかったんだけど、日本のお札は感動的なレベルできれいだ。
折り目がついていることすら少ないもんね。

ネパールの紙幣はというと、その状態はかなりひどい。
はしっこがちぎれていたり、雑にセロテープで破れたところをくっつけていたり、「どんだけ握りしめたの?」というくらい、くしゃくしゃのものもよくある。
ちぎれているお札はどのお店でも受取拒否をされたりするので、たくさんのお釣りに混ざってちぎれたお札を後から見つけたときには、ババを引かされたような悔しい気持ちになる。

画像1

さらには、お金を数えて、その合計金額を書いたのか、ボールペンで数字が書かれているものもある。
「なぜ、札に書く!」
その辺に紙はなかったのか、とことん不精なのか、お金に文字を書くことに躊躇がない人が多いのは、日本人の私の価値観とは違うな〜と思う。

画像2

ネパールでは、ヒンズー教徒の人々は、宗教的な儀式にお金を用いるのだが、儀式には、おめでたい色である赤い粉を振りかける動作がつきもので、赤く染まったお札も珍しくない。(血ではないのでご安心を!)

画像3


財布を持たない人も多い。
村のおばあちゃんたちは、一枚の長い布を巻きつけてスカートのように着て、その上から細長い帯のようなものをぐるぐる巻いて腰巻にしている人も多い。その腰巻は、ポケットの役目も果たし、その中にはタバコやお金がしまわれている。
そりゃくしゃくしゃになるわな。

画像4

お札のあまりの汚さに、お気に入りの財布には、こんなお札は入れたくないと思うことすらある。潔癖症ではない私がそう思うのだから、日本の大半の人は、おののくレベルだ。

そんなネパールであるが、スーパーでは、デビットカードで決済する人も増えてきている。
モバイル決済なんてものも登場している。プリペイドのシムカードのチャージとか、国内航空券とか、電気代、水道代、ケーブルテレビの契約料金なんてものが払える。

「へ〜。」

でも、日々の八百屋でモバイル決済が使える日はまだ先だろうから、しばらくはこのひどいコンディションのお札たちと付き合っていくしかないかな。

ちなみに、10ネパール ルピー札、20ネパールルピー札は、日本円に換算すると10円、20円。印刷コストいくら?とツッコミたくなる。印刷コストが額面に対して高いから、なかなか新札が出ないんかな?
だったら、余計、大事に使わんとね、と思う。
だってさ〜、お金は大事にされるところに戻ってくるんだからさ〜(多分)!

画像5

【text by Chikako from Nepal 】

宮本ちか子 瀬戸内海の島で海に囲まれて育つも、なぜか海のないヒマラヤの国ネパール在住。夫も仕事も家財道具も全て捨て、ネパールに移住したのは30歳のとき。ポカラで15年ホテルを経営するが諸々あって、泣く泣くホテルを売却。現在はフリーランスライター、タマラエネルギーワーク、仕入コーディネイト等々。バツイチで結婚は2回、娘が1人、ネパール人配偶者はアーユルヴェーダの治療師。「刺身が食いたい」とつぶやく回数が最近さらに増えてきたアラフィフである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?