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目に見える、礼と美とは?

私は、日本特有の平面で作るデザインに、繊細な美しさを感じます。例えば折紙、着物、風呂敷包。そして、折形。折形とは、室町時代に武家社会で生まれ流行した礼法の一つ。「礼を送る」という目には見えない心を、形にしたものが折形であると感じています。この、美しさと、「礼を送る」心が共存するスタイルを、自身のピーナッツバターブランドで私は再現したいと思います。ちなみに、同じ室町時代にに確立した作法には、茶道や花道があります。

では、平面の美と礼の心はどのように、目に見える形となっているのかを考察します。

1、和紙の格

折形礼法では、最も格の高い方への贈り物をする際には、秘伝製法の「檀紙」を使用します。厚手で縮緬のようなシボが美しいことが特徴で、特定の家系だけがその製法を知ることができるという。相手への「礼」は、送り物を包む紙の選定に想いを込めるところから始まります。檀紙の他に現代では、合わせ揉み紙、奉書紙、仮名用半紙、漢字用半紙を、送る相手や状況に応じて選ぶことで、「礼」を伝えることができます。

2、折り目の数

折る回数が増えるほど、時間と、技が必要になります。例えば、写真の折のデザインのベースは「万葉包み」といい、ひだの数を一つ、二つ、三つと送る相手や状況に応じて増やしたり減らしたりすることで、「礼」を表します。ひだの数が増えるほど、紙を真っ直ぐに折り畳み、ととのえる、という技能が必要になります。同時に繊細な美しさが印象付けられます。

3、紐の結び

紐で結ぶという行為は、呪術性と機能性があります。日本語で「ムス」とは「生まれる」、「ヒ」は「霊魂」を表します。例えば、結婚には、「結び切り」という解けない結び方を用いて、ご縁が長く続くように祈りを込めたといえます。
また、機能的には封をする役割と、届いた際には無事に解ける役割を担っているため、それぞれに適した結び方があります。写真にある結び方は、「かたわな結び」と言い、転がりやすい筒状のものが、片手で容易に解ける機能性有り。慶事全般(結婚、災害見舞い除く)で使用される結び方。紐の色も重要な意味を持ちます。赤や金はお祝い事に。

まとめ

どの紙を選び、どうやって折り、どの結び方を選ぶかは、送る相手に寄り添うことで選択することになります。その結果出来上がるものは、美しくととのえられた「礼の形」となるのです。

Reference

Orikata Dezain Kenkyūjo. (2010). 和のこころを伝える贈りものの包み方 : 伝統と, 新しいこころみ /
Wa no kokoro o tsutaeru okurimono no tsutsumikata : dentō to atarashii kokoromi. Seibundō Shinkōsha.



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