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食べ物に関わる仕事をしている人は、アレルギー表示の向こう側についても思いをはせてほしい。

 アニサキス(寄生虫)のアレルギーがあり、魚介類は全部口にできない佐藤尚之さんの「闘アレ生活」マガジン。

 自分も食物アレルギーで苦しんでいるので、ずっとフォローさせてもらってます。

 アレルゲンは違えど、悩むこと、辛いことは全然いっしょです。アレルギーで食べれないものがあるしんどさを、自分にかわって世間に伝えてくれる佐藤さんには感謝しかありません。

 

・◇・◇・◇・

 

 さて。
 いつもなら、「だよねー、だよねー!わかるわー!」と心のそこから共感しながら読んでる佐藤さんの闘アレnoteなんですが、昨日のはそうはいかなかった……

 

 だって……

 

 だって……

 

 

 だって……ほんとに……
 ツラすぎたんだもん……。゚ヽ(゚`Д´゚)ノ゚。

 

 つらくなるから五百蔵が日ごろ目をそらしてること、
 ど直球で記事にしてるやん……

 しかも、いつもは前向きな佐藤さんが、再起不能なくらいうちひしがれてるやん……

 忙がしいひとのために記事の内容をかいつまむとこうです。

 食べ物のことでいろいろあるから、極力宿泊は避けるようしていた佐藤さんでしたが、ある日、どうしても京都のホテルに泊まらないといけないことになりました。
 さて、一夜明けて、朝食の時間。
 アレルギーになる以前なら楽しみでしかたなかった朝食ビュッフェ。だけど「魚介類の出汁もアウト」という条件でメニューをチェックしてもらったら、食べれるものはろくにありませんでした。

 かいつまみすぎて無味無臭になってしまいましたが、その朝の佐藤さんの落胆はとてもでないけど要約ではあらわせません。
 五百蔵は、ふだんは封印しているしんどさ、つらさ、やるせなさ、やり場の無い怒り、全部思い出してしまって、涙が止まらなくなりました。
 あまりにつらくて……涙を止めるためにしばらく庭で草引きしてました。

 

 ねえ、みなさん。

 旅行して何が楽しみって、やっぱり食べ物ですよ。
 しかも、京都です。
 しかも、そこは格式の高いホテルだったそうです。

 それだけでめっちゃワクワクしますやん!……ふつうなら

 さらに、高級なホテルだったら、「出汁にいたるまで魚介類は除去」という高いハードルもあざやかに越えてくれるかもしれん……と、期待するやないですか!

 

 だけど現実は寒々としたものでした。
 和食大好きなのに、「和食は出汁のオンパレードやから……」とわざわざ洋食会場を選んだのに、やっぱり無理でした。

 以下、佐藤さんの記事からコピペした、ビュッフェのメニューです。
 佐藤さんがセーフだったものだけ、太字にしています。

◇コール(冷たい料理)◇

カラフルお野菜のピクルス
キャロットラペ(オレンジ風味)

京生麩の田楽2種(柚味噌仕立て)
ポークと豆腐のサラダ仕立て ←そのままの豆腐だけならOK
エジプト豆のマリネ
万願寺唐辛子と茄子の焼き浸し
明太子の“ゼンパスタ”
シーフードパスタのインサラータ
おぼろ豆腐
もりの漬物(6種)
和総菜
出汁巻き玉子
サラダ各種(7種)  ←ただし、ドレッシングは無し
コーンフレーク
グラノーラ

フレッシュフルーツ(3種)とアロエ
コンポート(2種)
 

◇ホット(温かい料理)◇

オムレツ(スタンド)
クランペット(イギリス風パンケーキ)
鶏肉の西京焼き
ボンレスハム

エッグスラット
ポトフ 〜洋風おでん マスタード添え
彩り野菜のバーニャカウダ 6種のソース  ←野菜だけならOK
水菜とじゃこの梅肉パスタ
ハッシュポテト
ベーコン
ソーセージ
クラムチャウダー
そば実香るお粥さん

ライス
味噌汁
パン類(10種)
デザート類(5種)
 
※パンとデザートについては記事での言及はなかったのですが、さすがにこれは大丈夫だと思います。
※また、ホテルの方も、念には念を……と怪しげな食品は極力排除したものと想像されます。

 京都なので、醤油にいたるまで隠し味に出汁が用いられていたようで……豆腐は塩で食べたそうです。
 卵も出汁を使っているので、スタンドのオムレツもアウト……目の前で焼いてくれているのに。

 ええ……太文字のメニュー、どんなにかき集めてもホテルらしい優雅な朝食のていなんてなしてませんよ……わざわざ京都で食べてる意味も皆無ですね……

 あぁ、自虐し過ぎて盛大に草生えるぅ~~~\(^o^)/wwwwww

 

 

 てか。おい……

 

 これ……
 いつもみたいに自虐笑いでごまかせる
 レベルあっさりこえてるんですけど?

 

 

 もういや!
 わたし、想像しただけでその場にいたくない!
 惨めすぎて泣く。

 食物アレルギー持ちは、
 なんでこんなおもいをせないかんの?


 

 佐藤さんに対応したホテルのスタッフも、真っ青になったと思います。

 高級ホテルとして、アレルギーのあるお客様に誠意をもって対応した。
 正しいことをした。世の中に求められていることをサービスとして行った。
 なのにその結果が、これ……最低限のおもてなしにすらならない朝食。

 「アレルギー表示の必要性」をあたまではわかっていても、「アレルギーの表示を見ながら食べている人」の生きている世界までは見えていなかった。
 だから、こうなったのだとおもおいます。

 

 せっかくなので、もし五百蔵が同じホテルに泊まったらどうなったかもシュミレートしてみたいと思います。
 ちなみに、私は「卵、牛乳、小麦、大豆、豆類」がダメです。
 できたら朝は和食がいいけど、味噌に醤油、そして納豆のオンパレードなので、和食会場には行きたくても行けません。

◇コール(冷たい料理)◇

カラフルお野菜のピクルス
キャロットラペ(オレンジ風味)

京生麩の田楽2種(柚味噌仕立て)
ポークと豆腐のサラダ仕立て  ←ただし、ドレッシングと豆腐無しで
エジプト豆のマリネ
万願寺唐辛子と茄子の焼き浸し
明太子の“ゼンパスタ”
シーフードパスタのインサラータ
おぼろ豆腐
《もりの漬物(6種)》 ←隠し味に醤油が入ってると即アウト
和総菜
出汁巻き玉子
サラダ各種(7種)  ←ただし、ドレッシングは無し。卵にも要注意。
《コーンフレーク》  ←一般的なものはアレルゲンが入っていがち。
グラノーラ
フレッシュフルーツ(3種)とアロエ
コンポート(2種)

 

◇ホット(温かい料理)◇

オムレツ(スタンド)
クランペット(イギリス風パンケーキ)
鶏肉の西京焼き
《ボンレスハム》  ←卵白や大豆タンパクが入ってるかも。
《鯖》  ←シンプルに塩焼きなら大丈夫。
エッグスラット
《ポトフ 〜洋風おでん マスタード添え》  ←隠し味に醤油が入ってそう……。
彩り野菜のバーニャカウダ 6種のソース  ←野菜だけくれ。
水菜とじゃこの梅肉パスタ
ハッシュポテト
《ベーコン》
《ソーセージ》
  ←どちらもハムに同じ。安心して食べれることは少ない。
クラムチャウダー
《そば実香るお粥さん》  ←これも隠し味に醤油が入ってそう。

《ライス》  ←雑穀入りや麦ご飯でないことを祈ります……
味噌汁
パン類(10種)
デザート類(5種)

 《 》でくくってあるのは、食べられない可能性があるメニューです。
 一般的なホテルなら、ハム類やシリアルはまずアウトだと思います。とにかく混ぜ物が多いので。だけど高級ホテルなら、混ぜ物無しのものが出てくる可能性が高いので、食べられそうです。
 だけど、京都ゆえに……ていうか、ここは日本なので、隠し味の醤油で全滅するメニューは多そうです。

 で、結局、五百蔵も、佐藤さんとどちこちない結果になりました。
 これでは高いお金出してわざわざ泊まる甲斐がありません。

 

・◇・◇・◇・

 

 佐藤さんは記事をこう結んでいます。

・・・まぁ、あれだ。

つらいことになるかもしれない、って知りながら朝食ビュッフェに行ったオレが悪い。

コーヒーとクロワッサンとかで済ませようとしないオレが悪い。

朝から腹が減るオレが悪い。



もう旅なんてしたくない。

 いやいや佐藤さん、コンビニとかでクロワッサン買ってすませられるだけましですよ~(  ̄▽ ̄)。
 あっしなんか、パンもだめだし、コンビニのおにぎりは添加物で大豆入ってる率高いから、朝からゼリーくらいしか食うもんないっす~(≧▽≦;)。

 あぁ、もしクロワッサン食べれたとしても、腹へって死ぬ……。
 (私も出先では朝はしっかり食べたい方です)

 ……っていうまったくすくいようのないなぐさめにもならない自虐はおいといて。

 

 そんなわけだからほんとに、旅行したくない、旅行なんていやだって、心のそこから私も思います。わざわざ行って、どうせつらい思いをするだけなのが見えているからです。
 ホテルでもそうだけど、いく先々でどうやって食べ物を確保したらいいか見当もつかないから、途方にくれて体育座りして隅の方でちいさくなりたくなる。
 親として、子どもをあちこちにつれてってやりたいけど、地元の日帰り旅行すら、最初から行く気力がくじけてどこにも行けません(まあこれについては、夫が役に立たなすぎ、って問題もあるけど)。

 でもね。
 こうやってアレルギー持ちが旅行に行かずに引きこもったり、自助努力でコンビニで朝食をすましたりする。
 だからますます、アレルギーで困っている人のニーズ……ってか存在そのものが旅行業界に伝わらないのも確かなんです。

 

 そしてみなさん。
 もうすこし想像力をはたらかせてみてください。

 これ、そこのへんの食堂やレストランでも日々当たり前のように起こっていることなんです。
 わたしらアレルギー持ちとその家族にとっては。

 全国チェーンのファミレスでは、各メニューの原材料を教えてくれるようになりましたが、それだけでおしまい。その人が食べれるものがあろうかどうかは、おかまいなしです。
 食べれるものないならこないでいいよ、ってことなんでしょうけど……それじゃあ、アレルギー持ちと一緒にそのお店に食事に行きたい家族はどうしたらいいんでしょう?

 もう、外食なんて、みじめでいやです。

 

 さらに、スーパーでも同じです。

 佐藤さんも私も、惣菜売り場へ行っても、食べれるものはかなり限定されます。
 私なんて、買えるものは白ご飯とサラダぐらいです。握り寿司が食べられるのは私の救いなんですが、寿司はなぜかよく「アレルゲン:大豆」と表示されてます……ちくしょー。
 仕事でしんどい日は惣菜とかでも買って……なんてことすらも、アレルギー持ちには厳しいんです。出来合いの弁当だって、どうせご飯以外食べれないんだから、この世に存在してないも同然ですわ。

 そして、惣菜売り場だけでなく、ふつうの食品売り場でも神経使います。
 もちろん、「間違えてアレルゲン入りを買わないように」ではないですよ。そもそも、どれが大丈夫でどれがダメかはバッチリ頭に入ってるから、目をつぶっててもわかります。
 そうではなく「アレルゲン入ってる美味しいものを目に入れないように」神経を使うんです。
 だからスーパーはぶっちゃけ、行くだけでストレスです。クッキーとかケーキのコーナーは精神衛生に最も悪いので、寄り付きもしません。
 そのうえときどき、アレルギー持ちでも食べられる数少ない食品が、予告無く売り場から消えていたりするんです……心折れる。

 毎日なに食って生きてけってんだよ!

 どうせなら、ここでひとつうらみごとをいわせてください……
 
 卵も牛乳も小麦もダメだと、甘いお菓子はいもけんぴくらいしか買えません。マシュマロは希少な大丈夫な洋菓子なのですが、乳化剤として大豆レシチンが使われがちなのが大きな悩みです……だけど、明治屋のマシュマロは大豆レシチン不使用なんです!
 にもかかわらず、その希望の星だった明治屋のマシュマロが、近所のスーパーの売り場から消えました。うちの県は明治屋のテリトリーじゃないのか、よそのスーパーでも扱いがありません……マジで、爆弾テロしたくなるくらい気分がどん底になりました。
 社会に絶望すると社会そのものを滅ぼしたくなります。このとき、拡大自殺や自爆テロを企てる人の絶望がかいまみえました。去年の末のことです。

 

 だから。

 食べ物に関わる仕事をしているみなさん。
 私は声を大にして言いたい。

 アレルギー表示の向こう側についても思いをいたしてほしい。

 この数年、原材料表示が明確になり、安心して食べ物を選び、食べることができるようになってきました。
 ほんまにうれしいです。
 長年疑惑まみれで食べ物を口に運んでいたから、安心して食べられると、ほんとにご飯が美味しい。

 だけど、表示がきっちりしてきたからこそ、「食べられるものの選択肢がそもそも無い」ということがくっきり見えて、精神的なつらさはむしろ増えてしまいました。
 そもそも食べれるものがない、という問題は依然として解決していないのですから。

 だけど私たちアレルギー持ちは、
 「ここにはこんな苦しみが存在してる」
 ということを発信する以上のことはできません。状況の改善については、食べ物に関わる現場で仕事をしているみなさんにお願いするしかありません。

 なので、まずはもしよかったら、

 あなたのお店のメニューを、売り場の棚を、
 アレルゲンのある無しで色分けしてみてください。

 たとえば、佐藤さんのようなアニサキスがダメで魚介類が一切ダメな人ならなにが食べられるか、五百蔵のように複数のアレルゲンがあるとどうか、ケースごとに調べて、塗りつぶしてみてください。
 意外な加工食品に意外な原材料が入っていて、予想以上に食べられないものだらけなのがわかるとおもいます。

 例えば、五百蔵が一番たまらんのが「大豆」です。
 惣菜やレトルトや調味料には「醤油」という形で入ってるし、和菓子には「きな粉」が使われがちです。さらに「乳化剤=大豆レシチン」となると、せんべい、チョコレートはほぼ全滅。飴ちゃんにまで使われていたりするから、私としては「大豆レシチン汚染」と呼びたくなってきます。
 さらに自然派化粧品にも大豆レシチンは使われていいたりするので、とてもじゃない、怖くて使えません。

 なるだけ、身近なところにいるアレルギー持ち、もしくは、アレルギーで一番しんどい思いをしてそうな人(たとえば、小麦と米の両方がアレルギー、とか)を想定しながら色塗りしてみてください。
 それが、その人の見ている食べ物の世界です。みなさんが見ているメニュー、みなさんが買い物する陳列棚と比べて、狭く、息苦しい世界です。そのうえ、食べたくても食べられない美味しそうなものが隣にずらずらとこれ見よがしに並べられている、残酷な世界です。
 それで食事や買い物がなりたつか、日々の暮らしはどうなるか、自分に引き付けて想像してみてください。

 

 お店により、対応出来ること、出来ないことがあると思います。
 だから、全部の要望にこたえてほしいとは無理強いしません。
 だけど、そうやってアレルゲンの有無で世界を塗り分けることで、アレルギーがある人には、みなさんの自慢のメニューや売り場の品揃えがどう見えているかは知っていてほしい。たくさんあるはずのメニューや商品のかなりの部分が、アレルギー持ちにとっては「存在しないも同然」であることに気がついてほしい。

 そして、

 「うちの店は、○○アレルギーはわりと大丈夫やけど、△△アレルギーの人にはしんどいんやなぁ……」

 って、具体的に知っていてほしいです。
 さらによかったら、「なんか一肌脱げることはないかなぁ……」と一緒に悩んでほしいです。

 なぜなら、知っていたら、悩んでいたら、ふとしたことでやってきた解決の糸口をつかまえることができるからです。たとえば、こんな風に。

 魚介類のアレルギーについて知らなかったら、これ、ただの「斬新な寿司」です。
 だけどいまや私たちは佐藤さんのことを知っています。だから佐藤さんにとってこのレシピが救いの光明であることが痛いほどよくわかります。
 樋口さんが佐藤さんのような人を想定して開発したレシピであることも、行間から伝わってきます。だって、テーマがひそかに「野菜をおいしく食べよう」ではなく「野菜を美味しく魚介類に似せて握ろうぜ!」なんですもの。

 これなら、魚介類がダメな佐藤さんも握り寿司らしい味と彩りを楽しみながら、一緒にお寿司を食べられます。
 卵アレルギーの私は、かわりに黄パプリカのお寿司をいただこうかな。いやいや……まず、同じく卵アレルギーの子どもに食べさてやりたいです。

 

・◇・◇・◇・

 

 だけど、この「野菜寿司」にしたって、野菜の下ごしらえの段階で、佐藤さんには魚介類の出汁を使っちゃダメだし、私は「ふつうの大豆の醤油はやめて」とお願いしないといけないし、アレルギー持ち全員にオールマイティーに対応できるものを用意するのは非常に困難なんですよね。
 食べれる、食べれない、がひとりひとりバラバラなのが、ヴィーガンやハラールのように対応がすんなりいかないところなんです。

 また、当事者として、除去対応するのがどれだけ大変か知っているから、

 「おねがい……助けて!」

 と声をあげることすらもうしわけなくおもってしまう。
 だけど、助けてといわなければ社会は助けてくれないので、私はここで、

 つらいから助けて……てか、助けろ!……いや、そうじゃなくて、
 この現実にちゃんと向き合ってッ!!!

 と強めに言うことにします。
 やっぱり、社会そのものが「ふつうの人」の方に寄っていて、ふつう人の肩ばっかりもっていて、不公平だからです。

 ちょっとこの記事を読んでみてください。

 柚木さんの説くことはすぐにはわかりにくいと思いますが、いちばんの肝はたぶんこの一節です(一部、太字にしました)。

自分の持つ能力に合うサポートが少ないと障害となる。健常と呼ばれる私も階段やエスカレーターが無ければビルの二階にさえ行けない。

 柚木さんは心身の障害と行政サービスについてのべていますが、企業が提供する商品だって、アレルギー持ちか否かで、供給されているものの格差が著しいです。

 たとえば、冷蔵ケースのなかのバニラアイス。

 ほんとにそこまで何社も何種類も必要か?
 その一方で、乳アレルギーでも食べられるクリーミーなアイスって、ほぼ皆無ですやん?
 
 これなんか変やん……って、なんでみんな気がつかんのかなぁ……

 ってなことを、アイスのケース横をすばやく通過しながらよく考えます。なぜ「すばやく」なのかは、もう、みなさんおわかりですよね。

 「自分」が食べられるものが商品としてふんだんに供給されているから、夏の暑い日に気軽にアイスで暑気払いできる。
 でも、そもそも供給がなければ、乳アレルギーがあろうとなかろうと、食べることはできません。レシピがなければ、自力で努力して作って食べることもできません。
 そして、バニラアイスがめちゃくちゃ高価だったら、もしくは「自分」がめちゃくちゃ貧乏だったら……乳アレルギーがなくても気軽には食べられません。

 つまり。
 「日本って、食べ物が豊かで、しかも美味しいよねッ☆」な~んて大概のみなさんがはしゃいでられるのも、アレルギー持ちでない人しか食べられないものなら、安価にふんだんに、てかむしろ、過剰に開発され供給されているからです。
 柚木さんの階段のたとえや「健常者が最も行政サービスを受けてる」という表現が指しているのはそういうことだと私は理解しています。
 端的に言うと、

 今の社会はそもそも「標準」がいちばん得できるようできているのに、恩恵受けてる人みんな恩恵受けてるからふつうに暮らせてるってことに気がついてない。まじありえなくない?

 ってことです。

 

 それだけ多様な製品を投入できる資金と研究力があるなら、なぜ困っている人が「ふつうに暮らせる」ために使わないか、私は問いたいです。
 だって、飲食店やスーパーに充分な選択肢や臨機応変の対応があるなら、食物アレルギーで困ること、悩むこと、つらいことなんか発生しようがなくなるのですから。アレルギーがあっても「ふつうに暮らせる」のですから。

 世の中のありようが、アレルギー持ちのしんどさに追い打ちをかけている、という側面は無視できません。
 障害者についても、アレルギーについても、問われているのは、そもそも不足している選択肢を補い、臨機応変の対応をする努力をするかしないかです。
 そのようにしながら、「困ってる人を助ける」ではなく、「困ってる人を減らす」ことを志す社会であることを、私はのぞみます。

 

・◇・◇・◇・

 

 ほんとは明日にでもこのしんどさが解決してほしいです。
 だけど、あゆみはまだ始まったばかりです。

 ひとりでも多くの人が関心を持ってくださるように……。

 

 

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いま、病気で家にいるので、長い記事がかけてます。 だけど、収入がありません。お金をもらえると、すこし元気になります。 健康になって仕事を始めたら、収入には困りませんが、ものを書く余裕がなくなるかと思うと、ふくざつな心境です。