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知りたいのは「なんでそうなるの?」……だけど、レシピは教えてくれない《頭の悪いレシピをばおひとつ》

 鶏の手羽元を、軟骨まで、つるん、ときもちよくはずれるまで煮込んだら、夫がハマってしまいました。

 最初は、五百蔵の「手羽元のおでん食べたい」というわがままからのスタートでしたが、よほど気に入ったらしく、翌日追加のひとパック、それ食べてすんだら、さらに追加で巨大なパック(15本くらい入っていた)を、

 ババーーーン!

 と買ってきて、同じ煮汁で何回も何本も手羽元を煮たものだから……最終的には、煮汁がハンパなくグリグリの煮凝りになってしまいました。

 

 そもそもが「おでん」からのスタートだったので、味付けはシンプルにだしの素だけです。https://www.allergy-food.jp/?pid=107380449

 アレルギー持ちの強い味方、辻安全食品の「だしの素」。
 これをひとふくろいれておけば、五百蔵のような料理おんちでもさっぱり味の美味しいおでんが確実にできるので重宝しています。
 よけいな味付けは基本的にしません。味見してうすかったら、醤油か塩、もしくは昆布を加えるくらいです。

 で、まあ、これにその他のおでんの具と手羽元をいれて火をとおして、あとは鍋にタオルをかけて保温調理したのですが、初日はうまくいきませんでした。
 軟骨はもとより、身も骨にはりついたままで、食べにくいったらありゃしませんでした。

 だから2日目、残りをもう1回沸かして、またタオルで保温。
 すると……

 つるん!……コリコリっ!

 と、きもちよく肉がはずれて軟骨まで食べられるようになっちゃった。

 

・◇・◇・◇・

 

 夫が次々と追加の手羽元を買ってきたので、おかげできもちよく煮るコツがわかってきました。

 要するに、

 2度保温すればよいのです。

 

 まず、1回目。
 手羽元にきちんと火をとおす。まあ、10分くらい。
 で、ふたにタオルをかけて保温。

 つぎに、2回目。
 晩ごはんの時間をみはからってわかしなおします。
 で、手羽元の芯まであたたまったら、またタオルをかけて保温。

 これで、たいがい、ほろほろコリコリです。

 

 ただし、注意点は2つ。

 タオルは重ねて折って、まわりにもすこし垂らしてお鍋をほかほかに。さらに熱が逃げないように、皿やどんぶりを乗せてあげます。
 また、中途半端な温度だと菌がわきやすいので、2~3時間くらいでタオルをはずし、放置します。

 

 つまり。
 午前中、気がむいたときにいちど手羽元を保温して、3時か4時か5時にもういちど保温すればよいだけ。
 コンロのそばで火の番をするのは、たぶん、合計で30分もあればいいはずです。

 なんて楽チン。

 さらに。
 五百蔵のようなうつ病人は料理の意欲が著しく低下するのですが、これなら自分の調子をみはからないながら、2回にわけて無理なく料理できます。

 この楽チンさは、もう、神の領域です。

 

 ところで。
 うつは、単に意欲が低下するだけでなく、体もだるくなり、ひどいときにはからだが起こせなくなり、ほぼ寝たきりになってしまいます。
 ひとくちでいうと、
  
 うつ = 24時間年中無休で病み上がり……みたいなもん。

 です。
 
 だから、こんなふうにきわめて少ない労力で作れるレシピや、休憩をはさみながら作れるレシピは、うつの人間にとっては、神のようにありがたいレシピなのです。

 

・◇・◇・◇・

 

 ていうわけなんですが。

 五百蔵にはここで根本的な疑問がわいてきました。

 こんかい、手抜きをしようと鍋にタオルをかけて保温したらたまたま高確率でうまく手羽元が煮えたわけなんですが、

 これってそもそも、
 何度で何分煮たら軟骨が外れるまで柔らかくなるか
 知ってたらいいだけの話じゃね?

 ……って。

 だのになんで私ら一般ピーポーはそんな知識ないんだ?
 てか、それ知ってたら、とっくに手羽元煮るの上手になってたわ。

 なんでレシピにひとこと、
 それを書いといてくれないんだ?

 ……って。

 

 世の中には2種類人間がいます。

 与えられた方法をそのまま鵜呑みにして疑問もなくその通りに実行するタイプと、「なんでやねん、なんでそうするねんッ!」ってもがりたおして納得いくまで実行しないタイプと。

 たぶん、それは、分数のわり算を習うときくっきり別れます。
 私は、

 分母と分子をひっくり返して掛けたら答えが出るなぞ、納得いかんぞ!
 納得いくまでこんな珍妙な方法なんぞ使えるかッ!

 ……って、しばらくの間、分数のわり算は回答拒否してました。
 さいわい自力で納得いく説明にたどりついたので成績が下がらずにすみましたが、「小テスト、なんでおまえが白紙……」と愕然としていた先生の顔が忘れられません。

 

 これまでレシピや料理指南書は、いわば「分母と分子をひっくり返す」ことしか教えてくれませんでした。
 だから、「手羽元を何度で何分煮たら軟骨が外れるまで柔らかくなるか」っていう、「ひっくり返すそもそもの理由」的な知識は、一般ピーポーには伝わりませんでした。
 インターネットでもてきとーに検索してみましたが、ヒットしませんでした(そりゃあんた、検索ワードが……って言い分もあるでしょうけど、私がいいたいのは、てきとーていどの検索ワードでヒットしないこと自体が変なんじゃないか、ってことです)。

 だけどなんで?
 料理家たちは、料理本の編集者たちは、なんで伝えなくていい、って思ったんでしょう?

 不思議でなりません。

 

 もしかして、そんな知識は求められてない、と思ったから……でしょうか。

 だけど、「分母と分子のひっくり返し方」みたいなレシピばかりがあふれる社会では、「なんでそうするの?」とたずねる主婦や主夫はなかなか育ってこないと思うのです。

 

 


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いま、病気で家にいるので、長い記事がかけてます。 だけど、収入がありません。お金をもらえると、すこし元気になります。 健康になって仕事を始めたら、収入には困りませんが、ものを書く余裕がなくなるかと思うと、ふくざつな心境です。