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音楽とことば〜根を同じくするもの

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音楽についてのnoteを集めます。ことばについてのnoteも集めます。どちらも、人間の鳴き声、歌声であるという点で、本質的に同じなので、分離するのが不可能です。
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2019年6月の記事一覧

枠からつくってみる

ここでいくつか詩の翻訳をしてきたけれど、まだまだ何も見えてこない感じがあるので、どういうところにたどり着きたいかというのを簡単にまとめてみることにした。 ぼくが夢みるのは、西洋音楽を楽しむための世界詩アンソロジー。 文学史の観点から大事な詩人や作品はおさえつつ、そうでなくても、有名な作曲家が取り上げた詩や、作曲家自身が書いた詩も一緒に入れていきたい。 音楽史上大事なものと文学史上大事なものの和集合みたいな感じで、全400編くらい。取り上げる詩人は50人くらいかなあ。 (

6月20日。宗左近「山がはじけた 海がさかまいた 吊り橋はねた 青空さけた きみたち死んだ おれたち生きた 」

宗 左近(そう さこん、1919年5月1日 - 2006年6月20日)は、詩人・評論家・仏文学者であり翻訳家。 小倉中学、一高、東大哲学科卒。海軍への入隊、招集があった時には、精神錯乱を装って二度も逃れている。後に、法政大学、昭和女子大学教授。 ペンネームの宗左近は、「そうさ、こんちくしょう!」という経験からとった。50冊に及ぶ詩集、100冊を越える著書を刊行した。1987年から亡くなる2006年までの間は、年に1冊以上のペースで出版していたという多作の詩人である。 詩

6月16日。梶山俊夫「何百年という、時も場所も超えて、作者と見る側とがごく自然な呼吸で、同次元で交感することができる。ぼくもそんな絵が描けたら、それが一番の理想だと思った」

梶山 俊夫(かじやま としお、1935年7月24日 - 2015年6月16日)は、日本の絵本作家。 1962年、抽象画でシェル美術賞を受賞して渡欧し1年ほど滞在。再び家族での渡欧を計画中に、奈良時代の廃寺跡・国分寺跡を巡る旅で、「畑や田んぼのあぜ道を歩いている自分が、一番正直な我が身の姿」だと気づき、日本で絵を描こうと決心した。 国宝「鳥獣戯画」を見たとき、作者である鳥羽僧正が「絵巻を挟んで向こう側に座っていって、じっと見ているような気がした」。同行の福音館書店の編集者に

今日もしとしと雨が降っています。ときおり強い風が吹いてくると、竹藪がざわつきます。そしてときならぬ、ばらばらばらばら……っ、という音に耳が驚きます。ああ、葉先にはどれだけの水滴が宿っていたのだろう、と脳が感じます。耳も脳も、こうやってしずかに、あたりの情報を収集するのが好きです。

6月10日。 吉田正「歌はいつからかよみ人知らずになる。本当にいい歌は永遠の命をもつ」

吉田 正(よしだ ただし、1921年1月20日 - 1998年6月10日)は国民歌謡作曲家。 1945年、シベリア抑留。従軍中に作曲した『大興安嶺突破演習の歌』に、抑留兵の一人が『昨日も今日も』と言う詩をつけ、よみ人しらずで抑留地に広まり歌われる。それが1948年に『異国の丘』になった。1960年、「誰よりも君を愛す」でレコード大賞。1962年、「いつでも夢を」でレコード大賞。1989年、日本音楽著作権協会会長。1993年、日本作曲家協会会長。日本レコード大賞には、吉田正賞

Bøhmisk-Dansk folketone ③ 【C.Nielsen】《私的北欧音楽館》

YouTubeで、再生リストを公開しました。 ニールセン (C.Nielsen) 作曲 Bøhmisk-Dansk folketone Parafrase for strygeorkester (CNW 40 /1928)   弦楽合奏のためのパラフレーズ「ボヘミア-デンマーク民謡」    ①の記事、10000文字、②の記事、やはり10000文字、ときて、やっと、  「ブロムシュテットがこの Bøhmisk-Dansk folketone を7分以上かけて演奏したのな

6月8日。観世栄夫「伝統というのは、壊しても壊しても残っていくもの。ぶち壊すという意味じゃなくて、昨日つくったものを反省して先に行く。その中で残ってきたものが、伝統なんじゃないか」

観世 栄夫(観世榮夫:かんぜ ひでお、1927年8月3日 - 2007年6月8日)は、シテ方観世流能楽師、俳優。 東京音楽学校(現・東京芸大)本科能楽専攻中退。22歳で「喜多流の身体をつくるメソッドに魅力を感じた」とし1949年観世流から喜多流に移り、名手・後藤得三の芸養子となり、十四世喜多六平太、十五世喜多実に師事する。1958年能楽界を離脱し、演出、俳優に専念していたが、兄・寿夫の尽力もあって1979年に観世流に復帰する。京都造形大学教授を長くつとめた。世田谷・九条の会

「チェンバロ」という楽器の魅力

6月6日は「楽器の日」です。 私は、父が音楽関係の仕事をしているため、楽器に昔から触れる機会がありました。 最も接点が多かった楽器はギター(クラシックギター)なのですが、個人的に印象に残った楽器があるので紹介させていただきます。 それは「チェンバロ」 という楽器。 14世紀末の書物に登場することから、楽器としての歴史はかなり古いものです。 登場から400年の間、ヨーロッパでは人気があった楽器なのですが、18世紀末のピアノの登場で活躍の場を奪われました。 その後、19世