甲子園と球数制限とベイスターズ

筒香が高校野球の在り方に一言を投じたこともあり、高校野球での球数制限などが議論されました。1週間で500球までという制限だそうです。意味がないとか甘いという声もあるし、逆に高校で野球は最後という子供の登板機会を奪うと苦言を呈する声もあります。一方、リトルリーグやシニアリーグ、ボーイズリーグの投球制限に関しては異論があまり聞こえてきません。日本の高校野球の場合、甲子園という存在があまりにも大きすぎるのです。自分の学校だけでなく地域まで野球部の高校生が背負い憧れの地を目指すというドラマにマスコミもファンも含めた関係者が入れ込みます。アマチュアということもあり球場使用料無料、放映権無料、大会運営の人々は無報酬のボランティアということになっています。入場料は外野席が無料で値上げ前の2015年で7億4000万円だそうです。警備などの費用は掛かるのでここまでは儲けているという事業とは言えません。しかしNHKはこの期間に受信料の徴収に各家庭を訪問して収入を伸ばすことができるし、ABCテレビは広告収入をタイムスポットで伸ばすことができるでしょう。また主催新聞社の高校野球特集や雑誌の高校野球特集はこの時期それなりに売上が上がります。また私立の学校は知名度が上がることで受験生を増やす効果があります。またOBのロイヤリティを高めます。地元の人たちから寄付金を募ることも甲子園での期待度によって大きくなるでしょう。甲子園にドラマがあり、注目度が高いからアマチュアスポーツで無報酬ボランティアといいながら周辺への経済効果が高くなっています。そのドラマを担っているのが高校球児の過酷なパフォーマンスともいえるでしょう。延長18回一人で投げ切るとか、ボロボロになりながら強豪に立ち向かう公立高校の一人のスター選手とかといったものです。甲子園は感情に訴えるスポーツの聖地だから球数制限はすべきでないというスポーツジャーナリストもいたみたいです。また弱小高校の元選手などに取材して「高校で野球は終わりだから壊れてもいいから投げたい」という声を拾ってしまうと収集がつかなくなってしまいます。感動の甲子園という経済サイクル中で過ごしたいという人々とプロまで見据えた世界で生きたいという人々を同じステージで共存させるのは正直無理だと思います。サッカーのようにユースチーム、ジュニアチーム、スクールという存在をNPBも作ってほしいなと思います。ただNPBにそういった組織を作る主体性があまり見えないのですが、学生野球連盟や高野連ときちんと交渉して小学生レベルの12球団ジュニアチームの選手権もあるのでユースチームまで作ってきちんと育成できればプロ予備軍をプロの指導の下、ケガのリスクを低減してできると思います。これについては以前も記述させていただきました。

横浜DeNAベイスターズは野球スクールが充実しているので下地があります。下部組織のユースチームに所属していたとしても大学野球に進むことも可能だし、プロ入りするならドラフトを経なくてはいけないとすれば不公平感もありません。怪我無くプロを目指したい選手の近道を提供するのもベイスターズをはじめとしたプロチームの責任ではないでしょうか?

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