キリンジ/KIRINJI全アルバム紹介

予防線として
まったくの素人である私個人が評しているものであり、各アルバムまたキリンジ及びKIRINJIに対する評価の"正しさ"とは無縁のものだとします。

アルバム紹介の最後にある( )はオススメのトラックです。

----キリンジ----

1作目 PDM(ペーパードライバーズミュージック)
今聴くと若干の古臭さを感じる、これはまだ影響を強く受けたアーティスト達の磁場に捕らわれていたのだろうか、まだ垢抜けなさもある。
……などと言ったが名アルバムには違いは無い。
アルバム最後の「かどわかされて」は筆舌に尽くしがたい傑作。
(雨を見くびるな、甘やかな身体、汗染みは淡いブルース、冬のオルカ、かどわかされて)

2作目 47'45"
全B面シングルといった風だが粒揃いで、最も質の高いスルメ盤と言っても過言ではない。
通しで聞いた時の完成度は"7"より上であるが、古さが多少あるため取っ付き易さは"7"に軍配が上がる。
また、PDMで感じられたどことない古さは感じられにくくこれが度重なる鑑賞に耐えうる証左なのではないだろうか。
(耳をうずめて、銀砂子のピンボール、ダンボールの宮殿、口実)

3作目 3
恐らく数多のメディアなどで"必聴"、"代表作"などと評されている今作。私個人としては他のアルバムの方を代表作として推薦したいが。
これまで秀逸なメロディと強烈なひねくれで魅せる兄に隠れがちだった弟の楽曲達が特に強く光り輝いている。とはいえ当然の如く兄も光り輝く。
3作目を契機に兄弟に脂が乗り始める。
(エイリアンズ、サイレンの歌、千年紀末に降る雪は)

4作目 fine
個人的傑作アルバムその1
勘弁して欲しいくらい傑作だらけ、購入して聞いた後頭を抱えた。一般的なポップの括りからすると暗い印象を受けるがそもそもキリンジを聴いてる時点でそんなこと問題ないと思われる。それは次作のFBHLでも同じ。
弟のエイリアンズに対して兄のDrifterと呼ばれる事もあるその曲もこのアルバムに収録。
(フェイバリット、玩具のような振る舞いで、Drifter)

5作目 FBHL(For Beautiful Human Life)
前作よりももっとトーンが暗い、EP収録の曲も含まれる、などと取っつきにくい部分が多く新規ファンが一番買う順番が遅れるであろう本作。
しかしアルバム単位で言えばとんでもなく粒揃いであるし、キリンジをある程度知っている人間からすれば垂涎の楽曲集なのは言うまでもない。
(繁華街、ブルーゾンビ、ハピネス、the echo)

6作目 DODECAGON
転換点、プロデューサーである冨田ラボのアレンジから離れ、これ以降完全オリジナルセルフプロデュースとして発表することになる。

(柳のように揺れるネクタイの、鼻紙、ロープウェイから今日は、lullaby、Love is on line)

7作目 7
キリンジのA面的傑作がエイリアンズやDrifterならばB面的傑作であるタンデム・ラナウェイが収録されているアルバム
先行配信シングルが多く収録されてるものの
アルバム全体のまとまりが良く、まだあまりよく知らない方が2枚目のアルバムとして"キリンジらしさ"を触れるには最適の1枚ではないだろうか。
特に家路の文学性を孕む歌詞や、タンデム・ラナウェイ序盤の不穏さ、アルバム後半のオールディーズが香る穏やかさなど…。
とはいえ何となく印象が弱いか
(家路、SHOOTIN' STAR、今日も誰かの誕生日、タンデム・ラナウェイ)

8作目 BUOYANCY
傑作アルバム2。
粒揃いでありながら、アルバムとしてきちんとまとまっているのが驚異的。
初心者向けでもあるし玄人向けでもある一作。
BUOYANCY以前と以後ではサウンドも大きく異なっておりここから大衆にも聴きやすくなっている…はず。しかしキリンジ、特に兄の皮肉の効いた歌詞などは穏やかになり姿を潜めるようになっていくため、それを求める人には物足りなく感じる筈。
(ホライゾン!ホライゾン!、セレーネのセレナーデ、空飛ぶ深海魚、都市鉱山、アンモナイトの歌、小さなおとなたち)

9作目 SUPER VIEW
粒揃いな一作。
先行配信が多かった為だろうか、通常のアルバムというよりベスト盤の様な雰囲気。
決してクオリティは低く無いが印象的ではない。
(早春)

10作目 TEN
兄弟の作品ではこれが最後。
全体のトーンはシンプルで弟のニュアンスが強め。
トーンが統一されている為、通しで聴きたい。
どちらかと言えばコアなキリンジファン向けかも。
(夢見て眠りよ、仔狼のバラッド、黄金の舟、手影絵)

----KIRINJI----
11作目 11
新体制の一作目、基本的に兄が担当しているがボーカルが他メンバーだったりと真新しい。
往来のファンほど面食らったアルバムかもしれない。試験的な要素を多分に含んでいる様な気がしないでもない。とはいえfugitiveから漂う往来の不穏さは健在で堪らないものがある。
(進水式、fugitive、心晴れ晴れ)

12作目 ネオ
挑戦的一作。新メンバーに作曲を担当させたり、ボーカルを招客するなど新しい試みをしている。私としてはいずれも効果的で、成功していると感じたが当時はあまり好感を持たない人も居た。
これらの効果が特に大きく果たされるのは次以降。
(恋の気配、日々是観光)

13作目 愛をあるだけ、すべて
大傑作アルバム。今までの試みが実った一作。
キリンジによるシティポップを最新のモードにチューンし直す事に成功し、またアルバム後半の新緑の巨人から終りに向かう流れが秀逸。
この頃紹介されたKIRINJIのプレイリストを副読本として聴くとなかなか面白い。
(時間がない、新緑の巨人→ペーパーブレーン→silver girl)

14作目 cherish
傑作アルバム3。
まず聴いて驚くのが音が良い!リズム隊かっこいい!特にドラムスが堪らない!
よりダンスチューンとシティポップを巧く掛け合わせておりカッコよくリズムも良い。EDMは電子音だらけになりがちなのを生の音により生きたビートを刻みつつも本質を保ち続けている。
また、ラッパーを招客してトラックにメリハリが付いたのも大きい。
トラック3の「雑務」は言葉の音遊びをふんだんに活かしているし、トラック2では他言語を組み合わせることで新鮮さを与えるのにも成功している。
つまり「音」にかなりこだわりを持たせていることがわかる。
トラック1と6の歌詞はキリンジ時代を思わせるものでこれもまたいい。
(「あの娘は誰?」とか言わせたい、killer tune kills me、雑務、Almond Eyes、Pizza vs Hamburger)

キリンジの個人的プレイリストをつくりました
https://open.spotify.com/user/85fjrcwlq30rqu2supuy9l479/playlist/1rHLQrnLaKHxAIvzI92zSE?si=knfNzD1XQB6BiyV3dSFrSA

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