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金管バンドコンテストの有用性

おはようございます。

チューバ奏者、指揮者、金管バンド専門家の河野一之です。

今日は金管バンドのコンテストの有用性についての話。

今現在我が国日本では金管バンドのためのコンテストは小学生部門でしかなく、一般の金管バンドが出場できるコンテストと言えばギリギリ吹奏楽コンクールのC部門に出られるかどうかぐらいな話だ。

そんな中、今後この国でコンテストを開くために、そのコンテスト自体の有用性を先に説いておくことでより早期の開催を目指してみようと思う。

バンドの質が上がる

吹奏楽コンクールの白熱により日本の吹奏楽のレベルは現在世界でもトップクラスのものとなった。

本質的に音楽は競い合うものではないのは重々承知しているが、どうしたって人間という生き物がそれを好きなので仕方がない。

しかし競い合う中で楽曲の研究や奏法の研究、金管バンド演奏法の研究がなされていくことでバンドの質、指導者の増加が起きていく。

そこで初めて「日本金管バンドの夜明け」が起きるのだ。

金管バンドの邦人作品が増える

今現在日本人作曲家による金管バンドのための作品は少なく、また発展途中と言ってもいいだろう。

しかし、コンテストが開催され、そのコンテストの課題曲として邦人作曲家の選抜が行われれば自然と金管バンドの作品を作曲する邦人作曲家は増え、さらにその技法も研究され始めるだろう。

英国においてもコンテストが開催された19世紀当時、コンテストで使われるような金管バンドのためのオリジナル作品はなく管弦楽曲や行進曲などが課題曲として使用されていた。その後パーシー・フレッチャーの労働と愛(Labour and Love/ Percy Flethcer)がはじめて金管バンドのコンテストのために作曲され、その後多くの作曲家たちがこのジャンルのために作曲を始めたのだ。

何事もそうだが、しっかり対価が支払われる環境で作曲家たちを起用すれば日本人作曲家たちもこのジャンルのために作曲を始め、その技法の研究がなされこの国の金管バンド作曲法も確立されるだろう。

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プロの流入

音楽を生業にしている音楽家にとってお金はとても大事になってくる。つまりどれだけ綺麗事を言ってもお金が稼げない業界にはプロの音楽家は入ってこられないわけだ。

吹奏楽コンクールに関しては、コンクールがあることで作曲家たちは課題曲やそのバンドのために作品を書いたりと需要が増え、奏者たちはレッスンやバンドの指揮などで需要が増える、さらに参考音源の制作や実際に聞いていただけるお客様が増えることでプロの吹奏楽団も増えてきた。

このようにコンクールがあることで職業音楽家たちの需要があがり、さらにその相乗効果でコンクールをする吹奏楽業界自体がより発展してきたのだ。

これは金管バンドにも言えることで、現在少子化の波を受け子供達の数が減るのと同時に大人数でないと完成しない吹奏楽よりも28名で完結する金管バンドの方が今後使い道はある。

そうした中で金管バンドのコンテストをひらき、そこに専門的な知識や技能を持った職業音楽家が流入することでさらに日本金管バンドの発展が可能なのである。

まとめ

規定人数はどうするのか、同じ奏者出てもいいのか、誰が審査員をするのか、お金はどこから出るのかなど課題は山積みだがコンテストをひらくメリットは多分にある。

今後日本ブラス指導者協会の会合でも引き続きコンテストの有用性は訴えていきたいし、自分自身、個人でも小規模からでも何か動きを作っていけたらと思う。

Thank you

Kazz


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