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今後の音楽の世界

おはようございます。音楽家の河野一之です。

今現在コロナ禍によりコンサートの形態がふた通り生まれてきた。

①これまで通りの会場に行き鑑賞する。
②全く同じ内容をライヴ配信でPCやスマフォから鑑賞。

この2通りだ。そして今の傾向を見ていると①の方がチケット料金は高く、②の方が安い。①で¥5,000だったら②が¥3,000ぐらいだろうか。

その代わり②の場合はアーカイブとして1度のみならずなんども繰り返しその記録された配信を見られることが多い。

ここら考えられることを今日は深掘りしていきたい。

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90%のコンサートがライヴだった

コロナ禍より以前はほぼ9割方のコンサートがライヴ、つまり生配信を行わずに”その場のみでお楽しみいただくコンサート”であった。

なので何が起きていたかというと

・地理的
・人生の場面の変換

これらの理由によってある特定のコンサートを楽しめなくなってしまう人が数多くいた。

例えば
・転勤で遠方に引っ越しとなってしまいこれまで応援していた地元の楽団の演奏会を聞けなくなる。
・介護や育児で家にいる時間を増やす必要がでたり、病気などであまり身動きが取りづらくなる
・仕事が忙しくなり休日の外出が難しくなる

などこれはこの国でよく起こっていることだ。これらが起こると当然のことながら実際に演奏会場に行って音楽を聞くなんていうことは難しくなってくる。

遠方であれば交通費と移動時間が莫大にかかるし、忙しくなれば例え近場でも演奏会へ行くのが難しくなる。

しかし現在、恐らく全体の30%ぐらいは生配信をし始めたのではないかともう。またベルリンフィルや都響などの世界中の素晴らしいオーケストラが過去の記録を動画で配信してくれたりもしているため

・いつ
・どこで
・誰とでも
・好きなだけ

音楽を楽しめるようになってきた。

もちろん生のコンサートと比較したら異なる点が数え切れないほどあるが、もし自分が遠方に転勤になったり、ライフステージが変わりこれまでのように自分自身の好きなタイミングで動けなくなった場合この配信の増加は音楽を継続してお楽しみいただくのにはとても良い効果であったと思う。

音楽好きな方々からすればこれまでよりさらに手軽にいつどこでも音楽を楽しめるようになり、音楽家からすればこれまでお届けしにくかった方々にも音楽をお届けできるようになる。これは一つの利点であっただろう。

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お金持ちはライヴへ、そうでない人は生配信を

これまでのコンサートではあまり配信が行われていなかったためほぼ99%がチケットを買い実際に会場に行き演奏会を聞くという流れが一般的であった。なので席ごとのチケット価格の違いはあったものの、海外オーケストラなんかが来た際のチケット価格は上は数万円、安くても数千円という値段であった。

しかし、今で言えば生のライヴはこれまで通り、というか少しこれまでよりも値上がりしたチケット価格帯となり、新たに導入された生での配信を見るチケットは高くても数千円、しかも繰り返しの視聴もできるようになった。

何が言いたいかというとこれにより、お金と時間がある人はライヴコンサートへ、そうでない人は生配信や後日流される配信を見るというこれまではなかった

選択肢が生まれた

上記した章で書いたようにこれまでよりもさらに多くの様々な人たち、より多くの人たちに音楽を届けられるようになるのだ。

例えば
・今月は出費が厳しいから配信を聞こう
・記念日だし豪勢に時間もお金も使って生の音楽を楽しみに行こう

こういう感じだ。

選択肢が増えるのと同時に、生のコンサートの価値はより上がり、さらに配信が増えたことによって音楽を好きになってもらえるかもしれない人たちへのアプローチ方法が増えた。

まとめ

コロナ禍の最中、在京オーケストラが数ヶ月ぶりのコンサートを開くという報が入り、すでにチケットを持っていた僕たち夫婦は数ヶ月ぶりに生コンサートを観に出かけた。

もちろん今と同じように座席数は減らされ様々な対策を取られた上での開催であったが、音楽家である自分自身も驚くぐらいやはり実際に会場で聞く音楽というのは全くの別物であった。

これは生と配信とで金額が変わるのがもちろんわかる。ラーメン屋で食べるラーメンとお持ち帰りセットを自宅で食べるラーメンでは内容物はまるっきり同じなのに違いを感じてしまうのと全く同じだ。

家を出てからホールまでの道のり、ホールに入ってからのホールの内装、装飾を楽しむ。ここまでで演奏会を生で”聞く”という準備をさせられる。そしてその時その瞬間”そこで”、奏者たちの息吹を感じ、同じ空間にいる観客たちとそれを感じ、電子媒体を通した空気の振動ではなく、実際にホールの中にある様々なものが空気と共鳴して作られる”音”が音楽となり僕たち観客に届けられる。

全く違う!レコーディングCDと演奏会ぐらい違う!
なのでコロナ禍前から僕は好んでライヴCDというのを買っていた。調整をかけられているのは百も承知だが、息吹を少しでも感じられるからだ。

このある人からすれば些細な違いに今後、数千円、数万円かけて

本物

を楽しむ時代がくる。というかすでに来ている。

だからどうという話ではないが、それでもやっぱり何より演じる方も観る方もきっと本物=ライヴが良いよね。

だから数千年この音楽、コンサートは形態を変えていないのだから

Thank you

Kazz





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