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僕が思う金管楽器の演奏で最も大切なこと

おはようございます。チューバ奏者、指揮者、金管バンドの専門家の河野一之です。

金管楽器の中でも最重量、最大の楽器チューバを吹き始めて20年、今では夢の世界だったオーケストラでの演奏や自身のブラスバンドを素晴らしい奏者たちと共に設立し演奏をさせてもらっている。またソリストとしても自主公演は元より、様々な機会での出演をご依頼いただき日々演奏をさせてもらっている。

そんな中、日々の練習(もはや僕たちがやっていることは鍛錬やトレーニングと言ってもいいと思うのだけれども)で大切にしている事を紹介したい。

これを読んでみなさんの日々の演奏のヒントになったら嬉しい。

目次

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サウンド

素晴らしい奏者たちのマスタークラスを見にいくと毎度お話しされている通りこのサウンド、つまり「音」はとても大切だ。最も大切と言ってもいいかもしれない。

音と一言に言っても、美しい音や聞いていて魅力的な音、広義な意味での「音色」と言ってもいいかもしれない。

例えどんなに技巧的に優れていても、聞いていられないような音であったならその技巧の魅力は全く通じない。

素晴らしい曲も、感動的で音楽的な表現を持っていたとしてもそれを表現している大元の「音」が魅力的でなければ話にならない。

例えウォームアップであろうと、基礎練習であろうと、どんなにシンプルな曲であろうとこの音、サウンドを大切に練習することが最も大切である。

鳴らせたい「音」が鳴ってから初めて様々な練習に向かう。

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どのように聞いてもらいたいか

次に大切なのが、演奏を聞いて何をどういう風に感じてもらいたいかである。

この概念を知るために一番大切なのが、普段自分がどれだけ演奏会へ足を運んでいるかだ。

できるだけ良質の素晴らしい演奏会へ足を運び、自分自身が観客の立場になり素晴らしい演奏を感じ取る。

日々多種多様な音楽が繰り広げられる様々なコンサートで色々な感性を感受して心に貯めておく。

そしていざ自分が演奏者になった時、練習の最中に観客に自分の演奏をどのように感受してほしいか、例えば

美しい、楽しい、怖い、かっこいい、荘厳な、優しい、感動する、ワクワクする、不安になる、元気な、笑える

など色々な感情を呼び起こしたり、過去の記憶を思い出してもらうようなとか色々な自分がこれまで演奏を聞き貯めてきた感性を観客に感受してもらう。

どのように聞いてもらいたいか、何を感じてもらいたいか、どんな気持ちになってもらいたいか

そんな事を考えながら楽器に、楽譜に向かい音楽を創るのだ。

これはなぜ大切かというと最も人間らしい、逆に言えば人間にしかできないことであるからだ。

FinaleやSibelius(楽譜制作ソフト)にどれだけ音符を打ち込みArticulation(表現記号)を打ち込んでも楽譜通りのリズムや音程があらかじめインプットされている音色に乗って流れるだけだ。

そこに想いや感情は残念ながら乗ることはないし、楽譜制作ソフトは自ら聞く側のことなんて考えられない。

スピリチュアルなことはあまりわからないけれど、僕たちの想いは実際にモノゴトに影響する。例えば身体のどこかの部位に意識を集中すると暖かくなったり感じ方が敏感になる。これは意識(想い)をそこに向けたからだ。

何も考えずに人に何かを伝えるのと、こちらの意思や想いを込めて伝えるのでは感じられ方が違う経験をしたことが多い人も多いはずだ。

僕たち人間にしかできないこのこれまで感受してきたことを自分のフィルターを通して音楽に乗せる、そして観客に何かを感じてもらう。

これぞまさしく音楽、使わない手はない。

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まとめ

例えばいいサウンドで演奏できなさそうだったら曲の難易度を下げたり、 基礎練習でももっと簡単なものにする。

「どのように観客にお聞かせしたいか」まで考えられないような難易度の曲や練習であったら難易度を下げる。

なぜかというと、いいサウンド、どう感じてもらいかが最も大切だから。

この国では本質を見失い、よくそのレベルに合っていない曲を取り上げてしまい無理やり演奏できるようにして奏者を潰してしまうことがある。

例えばものすごい時間をかけてその自分にとって難しすぎる曲ができるようになっても、その「できる」状態と「良い音楽」はかけ離れていることが多い。

難しすぎる曲や基礎練習は自分にとって
・高い音や低い音が当たっているか
・細かい音符の指は回っているか
・長いフレーズがしっかり鳴らせているか
・pやfが表現できているか

こんな感じのことしか考えられなくなる。しかし、難易度が低かったり自分に合っているのであれば
・最高の良い音で吹こう
・聞いてくれる人に〇〇のように感じてもらいたい

など音楽でとても大切な要素に目を向けることができる。

「あくまで僕が思う金管楽器の演奏で最も大切なこと」であるけれども、それぞれ各自でもつ最も大切だと思うこと

それがしっかりと行える条件をいつも考え実行していくことが金管楽器演奏の幸せかもしれないね。自戒も込めて

All the best

Thank you

Kazz



サポートして頂いた支援は全て金管楽器や金管バンドの奏法の研究、音楽を使ったエンターテイメントの発展に使用させていただきます。