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環境が僕に息をする場所をくれた

音大で四年間ビリだった話は飽きたけど今日の話を書く上で必要なので知っていてほしい。

僕、河野一之は音大でチューバのソロの成績で四年間、同級生がもう二人いるうちずっと3位=ビリでした。

そして大学を卒業し、英国に金管バンド修行をしに行くための準備期間に入るのだけれども、その年海野さんから静岡の浜松でブラスバンドのキャンプが開催されるという情報をもらう。

速攻でエントリーをし勢いあまってそのキャンプで開催されるソロコンテストにも人生で初めて出てみた。なんでかは今になっては覚えていない

大学というある意味しがらみから抜け金管バンドという新世界に飛び込んでみたがゆえか

いかにもブラスバンドらしく、そのソロコンテストはプロアマ関係なく出場できるもので僕は買ってもらったばかりのBesson Eb BassとP.Sparkeのチューバ協奏曲を持って挑んだ。

この曲は大学に在学中も僕とEb Bassという組み合わせによく合ったようで吹いていて気持ちが良かった。それはもちろん今でもそう

さてソロコンテストでの演奏が終わると一人の女性が近づいてきてものすごくべた褒めをしてくださった。あまりに突然でポカンとしている僕に矢継ぎ早にご自分のことや、いかに僕の演奏が良かったか、金管バンドのことなどいろんなことを話してくれた。

人生で自分のソロをこんなに褒めてもらえたことなんてなく、その時点でチューバに出会ってから10年経っていたけれど今まで味わったことがない感情が渦巻いて僕は混乱した。でもすごく嬉しかくて光栄に思ったのをよく覚えている。

その後本戦では結局2位になった。でも正直結果は今はどうでもいい(あの時はもちろん悔しかったけどね)、そしてあの時間だけはいまだに僕の中に深く残っている。ちょっと恥ずかしい感じもね


ここで言えることは、僕はあのコンテストに大学で四年間ビリのまんま行った。特に僕自身何も変わっていない


異なっていたのは世界だ。

これまでは群雄割拠の音楽大学、ガチンコの王道クラシックからそれぞれのスペシャリストまで音楽や芸術分野の幅広い猛者たちで構成される環境にいた。そんな中にいたのでただチューバや高校の吹奏楽部みたいなノリが好き、さらに顎の骨も切りたてだった僕には大した結果を残すことはなかった。

でも金管バンド、その業界に場所を移しただけでなぜか人は僕を褒めてくれる、迎え入れてくれる、そしてものすごい応援してくれた。僕は変わってない、僕が息をする環境を変えただけだ。

音楽をやっているとどうしても何か1つのことを極めていく専門性の高い教育を受けるので僕の視野は狭くなった。

なんども「あれ、もしかしてチューバの才能ない?あれ?やばい?」

って思って絶望した数なんて数えきれない、でも今も続けている。

辞めるということだけしなかった。

いつも心の中にあったし、今もあるのは

「本当はもっとできるはずなんだけどなー、何が違うんだろう」

疑ったり疑問に思うことはあったけど、僕が僕自身のことを信じることをやめたことはこれまで一度も無い。

だから金管バンドで褒めてもらえた時「ここか」と思ったし、その後チューバだけじゃなく、指揮や通訳、執筆、企画運営、レコーディングという仕事がきて今も続けられているということも「ここだったのか」と息をする場所を見つけた感じ

ソリストとして大学四年間まともに活躍したことはなかったけど、同級生の誰もしていないソロリサイタルもやったし、職業音楽家としてソリスト業を行うこともある。

なので僕自身が僕の生きる場所を見誤らない限り、僕は誰かの役に立てるのである。

長くなってきたのでそろそろ締めるが、もし今何か違和感を感じていたり花開かないように感じるのであれば自分が息する場所を探しにいろんな場所へ行ってみるのもいいかもしれない。

自分探しの旅とかいうけれど、それがそうかもね

32歳の僕が言ってるけど、きっとこれは若い子も目上の方々も関係なくいつでもそうだよきっと

ある人は70歳から何かを初めて達人になったり、条件さえ揃えば年齢一桁代でもスペシャリストとして活躍している人も多くいる

自分の番がいつきてもいいようにいつでも自分の好きなものに素直に、やりたいことに全力を尽くし続けるのを辞めてはならない

音大を卒業して多くの人たちが王道には進めず、辞めていったのを留学から帰ってきて知り驚きと寂しさを感じた。

音楽で食べていくことだけが”その人の王道”ではないかもしれないし、10年後、20年後また戻ってくるかもしれないし

なんでもいいんだよ、楽に楽しく活躍できる場所さえあれば

そんな風に思う

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ご読了ありがとうございました。


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