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ステージマネジメントにしひがし#2 - 舞台制作タイムライン編 Part 1 - 稽古開始まで

以前の記事で、「次は役割を掘り下げます〜」と書いたのですが、その前にざっくりとした流れを書いたほうがわかりやすいような気がしたり……
ということで、今回は公演までのざっくり流れをおさらいします。

舞台公演タイムライン

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舞台を作る、の一番最初をアイディアとするならば、それが実る=初日を迎えるまでは何年という月日がかかるでしょう。
作家(Playwright)が新作を書くアイディア、芸術監督(Artistic Director)が過去の脚本を引っ張り出すアイディア、演出家(Director)が作家と一緒にワークショップを繰り返して作るアイディア……始まり方は様々です。

そこまでさかのぼるとさすがにきりがないので、ここではもう少しプラクティカルな側面からみてみます。

リハーサル開始まで

イギリスの劇団・劇場で多いのは、芸術監督と呼ばれる人が作家・作品・演出家を組み合わせて数シーズン先までプログラムを組んでいるパターンです。
なので、最初に決まるのはだいたい「どの作品(or 誰の新作)」を「誰の演出」でやるか、になります。

演出家が決まったら、演出家のアイディアやタイプに合わせて、デザイナー陣を決めます。
まず最初は舞台美術家(Set Designer)。セットと衣装を両方デザインする人も多いです(この場合単にDesignerという)。
この2人で、脚本を元にどんな世界を作るか、を決めていきます。
時代設定、場所、リアルに描写するのか、抽象的に攻めるのか、大きなテーマ、コンセプトなどなど……画像や動画をやりとりして世界観のムードボードを作っていくイメージです。

これと並行して他のデザイナーも決めていきます。
衣装が別の人なら衣装デザイナー(Costume Designer)、照明(Lighting Designer)、音響(Sound Designer)、映像を使うなら映像デザイナー(Video Designer)も必要です。
忘れちゃいけないプロダクション・マネージャー(Production Manager)もこの頃アサインされます。

演出家と美術家のアイディアが固まったら、美術家が最初の模型(Model Box)を作ります。
まだ着色のない白いカードでできた模型で、White Card Model(略してWhite Card)と呼ばれ、1:25や1:50などのスケールの劇場模型に置いて、劇場でどんなふうに見えるかイメージするんですね!

これを美術家が、演出家と他のデザイナー、プロダクション・マネージャーにプレゼンして(White Card Presentation)、様々なフィードバックをもらいます。
照明家が「明かりを有効に使うにはここが開いてたほうがいい」と言ったり、演出家がアイディアを深めたり、プロダクション・マネージャーが実現性をアドバイスしたり…… 
この「アドバイスを吸収→モデルを作り直し→プレゼンやミーティング」を繰り返して、デザイナーは色のついた正式なモデルボックスを仕上げていきます。

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世界観が固まってきたら、並行してキャスティングが行われます。
オーディションだったり、声掛けだったり、方法は様々。キャスティング・ディレクター(Casting Director)という人が中心になって、演出家とやりとりをしながら役に最適な演者を決めていきます。

キャストが決まれば、台本からのイメージ、美術の世界観、キャスティングされた役者の持ち味を参考にして、衣装のデザイン案も作られていきます。
絵を書く人、コラージュを作る人、イメージ画像を集めてムードボードを作る人……やり方はいろいろで、見てて楽しいドキュメントのひとつです。

こういったデザイン案がデザイナー陣と演出家の間でやりとりされて、(プロダクション・マネージャーも合間合間で予算管理の目を光らせて笑)公演のデザインが固まっていきます。

つづく
(まだステージ・マネージャーおらんやん!笑)

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