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『BI受給物語』 第一話 ベーシックインカムシネマズを知った夜のこと

みなさんこんにちは。早稲田大学文学部三年の篠塚康介です。去年の10月から休学していたので、四年になることはできず、今月からもまた三年です。とは言っても、コロナの影響で5月以降になり、しかも原則オンラインになるとのことで自分が復学したという実感が湧きません。

僕は去年の7月から毎月20万円のベーシックインカムをもらいながら生活しています。毎月5日に僕のりそな銀行に20万円が振り込まれます。毎月5日は気分が良いので、僕に頼みごとをするとおそらくなんでもやってくれるかと思います。時が過ぎるのは本当にあっという間で、もうベーシックインカムを十ヶ月ももらっていたようです。

さて僕はこれから毎週『BI受給物語』と題して、ベーシックインカムシネマズとの出会い、そしてこの一年間ベーシックインカムをもらい続けて考えてきたこと、実際に体験したこと、様々なことを書いていこうと思います。

まずは『ベーシックインカムシネマズ』との出会いからです。

去年の3月の終わりのことです。その日は家で一人でお酒を飲みながら色々と考え事をしていました。

そして酔った状態でブログを書いていました。

そうそう、自分はつい先日ハタチになりました。ハタチになってからというもの、どういうわけか、文章を書く気にも読む気にもならず、何も考えないで生きていました。そして残ったのは言い様もないモヤモヤ感です。だから僕はこうして焦ってもがきながら文章を書いているのです。たぶん文章を書かないと自分は死ぬまでモヤモヤするんです。ハタチになってから、と言いましたが、正確にいうとハタチになる前から文章を書く気になりませんでした。というのは僕は自分の書いてきた文章を見返してさめた気持ちになってしまっていたのです。自分は、19歳の夏からなんだか人が変わったかのように生きていました。過激な思想をかかげ、そしてホリエモンや箕輪孝介といった人間の影響を多大にうけ、「何者」かにならなければいけない、そのために他の人とは違う個性を見つけなければいけない、そんな風に考えていました。そしてそれからというもの、バカみたいにヒッチハイクを重ねたり、一人で色んなところに旅に出ました。もちろん旅は毎回刺激的で面白いものでした。それは別に全く否定しません。しかし、僕は自分探しばかりしていたような気がするのです。色んなところに旅に行くことで存在し得ない自分を見つけようと躍起になっていたのです。自分探しの旅なんて言って、一人旅しても別に自分なんて見つかりません。僕は本当の自分を押し殺して、もう1人の過激な自己を見つけてしまいました。そしてあたかもその人格が本当の自分であるように思い込み、そして周りの人間に思い込ませました。今、僕に求められていることは自分探しではなく、自分なくしなのだと思います。繕ってしまった虚像の自分をなくすことで、本当の自分を取り戻せるような気がするのです。でもここで1つ考えなければいけないことは、そのもう1人の人格は果たして本当に虚像だったのかということです。虚像にしてはあまりにも出来すぎていた気がします。きっとそれは決して偽りの自分ではなかったのです。自分の中にそういった自己は確かに眠っているのです。でも自分は、その「自分」でいることに大変嫌気が指しているのです。僕達は別に「何者」にもならなくていいと思うんです。「一度の人生だから何者かにならなければいけない」という言葉に対して僕達はこう反論できます。「一度の人生だから何者かにならなくていい」アルコールを取ってきます。人と違うってそんなにいいでしょうか。普通ってそんなに嫌なものでしょうか。自分は「普通」という言葉を極端に恐れて、「特別」であろうとしました。でもよく考えてみれば、自分は普通の家庭には生まれず、何度もそのことで悩んできました。父は精神病を患っていて、そしてそれが原因で何度も中国人の母親と僕は泣いてきました。だからこそ自分はあんなに必死になって大学受験の勉強をして、それで‘ いいところ’に就活して、お金を稼いで母親を楽にしたいと思ったのです。それがいつからかくだらない意識高い系の人達の意見に惑わされ、普通の人生を送ることを拒絶しようとしていました。でも自分は普通に結婚して暖かい普通の家庭を築きたいのです。そして子供を2人作って、その子供のために毎日足を臭くしながら文句言いながらビールを飲みたいのです。僕の理想は野原ひろしです。野原ひろしが1番かっこいいんです。

とにかくこの日は色々考え事をしてしまってなかなか寝られなかったことを覚えています。

適当にツイッターを開いて、タイムラインを見ていると、先にあげたプロ奢さんのツイートが流れてきました。

ベーシックインカム?月20万円?なんじゃそりゃー!!!

当時僕はハンバーグ屋さんのホールのバイトをやっていました。だいたい月10万円ほど稼いでいました。正直アルバイトは退屈で、窮屈なものでした。

月20万円あったら。。。

妄想を膨らませました。

もっと好きなように、やりたいように、生きることができる! 

そう思いました。

僕は当時風俗にハマっていて、その体験をよくブログに書いていました。月20万円あったらもっと風俗に行ってそれをブログに書ける!!!

いやまてよ?せっかくドキュメンタリー作るならもっと面白い方がいいよなあー。ていうかそもそも選ばれるわけないか。本当に20万円もらえるわけなんてない。そんなうまい話ないよな。そんなことを考えていました。

ならいっそのこと面白いエントリーにしてやろう、そう思った僕は「ライザップに行ってイケメンになってAV男優になってエロを追求する」と書きました。完全にハッタリです。

まさかこの二日後にベーシックインカム受給者に選ばれるだなんて思いもしなかったのです。 

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to be continued...


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