📒倫理観と道徳心
十人十色。
人の数だけ考えがあります。
やっていいこと、悪いこと。世の中には数多くのルールが存在していますが、明確なものばかりではありません。
“ダメだ”という決まりはないけれど“やらない方がいいよね”という、人の良心に支えられている仕組みがいくつもあります。
昨今この仕組みの崩壊を感じ、危機感を覚えています。普通はやらないだろうというような事件はいつの時代もありますが、倫理観と道徳心が乏しい、欠如していると思うような出来事を見聞きする機会が増えました。これはとても恐ろしいことです。
先日、Xでこんな質問をしました。
学生野球において、勝つためなら多少の素行の悪さ(私生活における倫理観、道徳観の欠如など)は目をつぶっても良い。
① そう思う。
② そう思わない。
あなたはどちらを選択しますか。
私は②を選択しました。
もちろんそれが『当然である』と考えています。
結果は①のそう思うが12.8%で、②のそう思わないが87.2%でした。
この結果をみて、あなたはどう考えますか。
この質問の中にある“多少の素行の悪さ”の、“多少”の部分は人によって受け取り方は様々でしょう。
素行に良し悪しに多少もなにもないという意見もあると思います。こんな書き方をしてなんですが、その通りだと私は考えています。ルールは守るために存在するのであって、破る人間がペナルティを食らうのは当たり前だというのが私の意見です。
ただ、明確に禁止とされていないものもあります。先ほど書いたように、特段の決まりがなくても本来ならやらないよね。こんなこと人がするわけがないよねという、人々によって守られてきた暗黙のルールが存在します。線引きがないからやってもいいという考えは非常に危ないです。
倫理観と道徳心の欠如は、のちのち大きな問題に発展します。
生活態度というのは、人としての全ての基盤になります。野球さえうまければいい。仕事で結果さえ残せばいい。それではいけません。
仕事において、ルール違反やコンプライアンス違反をすると必ずペナルティが課せられます。減給、降格、下手したらクビです。どんなに優秀な社員でもです。
別にルール違反をしなければ、素行が悪くても大丈夫でしょうと思う人もいるかもしれません。では、組織で考えてみましょう。もし、あなたの周りに素行の悪い人がいたら、どんな影響を及ぼすでしょうか。
組織全体の士気が下がります。
正しくルールに則って行動している人は、正当な評価をされていないと不満を抱きます。たとえ頑張って結果を残しても意味がないとやる気を失います。そうなると組織全体に悪影響を及ぼします。良いチームをつくることはできません。
また、普段の態度というのは必ず本番(仕事や試合)にあらわれます。いくら取り繕って隠しても、必ず表にでてきます。
腐ったリンゴは隣を腐らせる。
このことわざを知っていますか。
まともなリンゴの中に腐ったリンゴを入れると、周りからじわじわ腐っていきます。組織において、素行の悪い人が一人でもいると、周囲が影響を受けることを意味します。
勝つために行っていた策が、かえって悪い結果を招くのです。
もちろん短期的な考え方ではなく、長期的な目線です。目先でみるとうまくいっているように感じるかもしれませんが、長い目でみるとそう単純にはいきません。
倫理観と道徳心。
これから先、とても大事なキーワードになります。
昨今、闇バイトを起点として(この表現嫌い。犯罪だわ)強盗事件が続発しています。素行の悪さと犯罪を同列に語るつもりはありません。しかし“倫理観と道徳心の欠如”はやがて大きな事件に発展する恐れがあります。
少しくらい良いじゃない。
ルール上ダメじゃないんだから大丈夫。
あなたにとって小さなことかもしれません。しかし、いつか必ず大きな出来事として身に降りかかってきます。
聖人君子でいろ、完璧であれ。
そんなことはいいません。それは私にだってできません。
人を思いやる気持ち、堂々と誰にでもいえる行動をする。
学校の名前を背負っている、会社の名前を背負っている。
その前に人として、一人の人間として、自分のやっていることを堂々と周りにいえるのか。私も自分の行動を振り返ってみたいと思います。
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倫理観と道徳心。とても難しいテーマです。
人としてどうあるべきか、正しい人間ってなんなのだろうと、深く考えました。
完璧な人間なんてこの世に存在しません。みんな間違って、失敗して、優しさを知り、成長する。そういうものだと思っています。
十人十色と冒頭述べたように、いろいろな人がいます。それらに対して『そういう人もいる』と思えるようになったのが、最近の収穫です。
職場の環境問題など、よくニュースで取り上げられます。どんな組織が強いのか、円滑に業務を回すにはどうするべきなのか、様々な意見があがっています。
自分の常識は他人の非常識でもあると考えています。だからこそ、自分のもつ倫理観と道徳心がどこまで通用するのかわかりません。
良い人間、悪い人間。これらはすべて紙一重だと感じています。もちろん罪を犯せば罰せられますが、そうではない良心によって支えられているルールに対するジャッジは、はっきりいって曖昧で困難です。
最後に、この文章を読み、改めて投票結果をみて、あなたはなにを考えますか。
生きていく上でとても大切なことだと思います。一緒に考えていきましょう。今ある環境をさらに良くしていくためにも。