📸誰か一人のためにシャッターを切る。

使命感を持ちすぎると、自分の思うようなやり方ができなくなる。何度かその類の内容をnoteに書き記してきた。

みんなに褒められたい、認められたい、たくさんのいいねが欲しい。承認欲求が強すぎると人は潰れていく。個性はおろか、自分の長所さえも失う。その恐ろしさはよく理解している。本来の目的や思いは失われ、誰かに認められるために頑張ろうとする。本末転倒だ。

私は誰かのためにというより、自分のために行動を起こしたい。自分の幸せを追い求めることで、誰かを楽しませることに繋がることを知っているからだ。そして、その思いは間違いないと自信をもって突き進んでいる。そんなことを考えていた矢先、心にすっと入り込むツイートを見つけた。

何度もツイートしてますが、宇多田ヒカルが何かの番組で「だれかひとりに届くようにいつも曲を作っている。不特定多数の人に向けてでなく」と言っていたことを、いつも思い出します。振り返ると、私もそう思って仕事ができている時は、うまくいくんですよね。だれかひとりのために心を込めて仕事する。

— とくさん｜MYCOPING (@nori76) July 7, 2022

だれかひとりに届くようにいつも曲を作っている。不特定多数の人に向けてではなく。(@nori76さんのツイートを引用)

写真を撮るとき、私は自分のためにシャッターを切っている、つもりだった。決して嘘なんかではない、事実だ。しかし、突き詰めて考えると『誰か一人のために』一瞬を切り抜いていた。決してその本人に褒められたいわけでも、認められたいわけでもない。自分のためという思いの先に、無意識に誰かに真剣に向き合っていたのだ。

ツイートにも書かれている通り、仕事においても同様のことがいえる。自分のために頑張る先には必ず『誰か』がいる。その方が仕事はうまく回るし、自信がつく。納得する成果を得られる。目的もなく万人に受けるようにと、雑に作業をはじめると、大抵失敗するか、満足する結果を得られない。

写真においても同じだ。人からのいいねや、評価を得ることを目的とすると、作品が死んでいく。一つのモチベーションにするには構わないが、それだけに振り回されてはいけない。丁寧に向き合うためには、他人の意見に全てを委ねてはいけない。

幸せなことに、シャッターを切るたびに『その人のために(誰か一人のために)』と思える選手がいる。自分の腕を最大限に引き出してくれる存在。全員ではない、限られた人にだけ。私はとても幸せ者だと思う。

あと何回シャッターを切ることができるのだろう。試合行くたびに、私は考える。時間は有限であるし、選手は死ぬまでユニフォームに袖を通してくれるわけではない。いつか必ず終わりがくる。それを理解しているからこそ、一人ひとり丁寧に向き合いたい。雑な気持ちで撮影に臨みたくない。

これから先も、誰か一人のためにシャッターを切る自分でいたい。その方が生き生きしていて、自分らしさを全開にできるからだ。常日頃、心と体が資本といっているけれど、まさにその通りだと思っている。自分の満足する作品を追求する。相手に対して丁寧に向き合い、真心と優しさのある作品を一枚でも多く残す。人を思う力は素晴らしいと、私は信じている。