朽尾明核

パルプ小説集

私の書いたパルプ小説作品をまとめて置くマガジンです。 ©Photo by Sofia Sforza on Unsplash

  • 3本

妖魔開闢 -蜘蛛と殺し屋/竜の魔眼-

「先輩、なんか超でっかいダイヤがあるんですけど、さすがに偽物ですよね」  整理整頓が行き届いた書斎。  壁際のキャビネットに顔を突っ込みながら、ユズが呑気な声を上げた。  高校の制服のスカートが揺れる。 「換金目的じゃない。物取りの犯行に見せるためにやってるんだ。手当たり次第、鞄に詰め込めばいいんだよ」  俺は、マホガニーの机の抽斗を抜き、中身をぶちまけながら答える。 「捨てるんでしたっけ。勿体なくないですか?」 「盗品は高価なほど足が付く。教わらなかったか?」 「何も。

スキ
32

レイダウン・ユアハンド -Lay Down Your Hand-

「賭けをしよう」  俺の対面に座る初老の男が言った。  ジム・ラズロー。このカジノの主だ。 「賭け? いいね。大好きだ。特にポーカーには――」  俺の言葉を遮るように、ジムが指をさす。  カジノの入り口。 「次に、あの扉を開けて入ってくる客。そいつが、『男』か『女』か、賭けたまえ」  ジムが言った。 「当てたら、話を聞いてくれるのか?」 「まさか。――当てれば、君はこのカジノを無事に出ていける」 「外したら?」  尋ねた瞬間、俺の背後と両脇を囲む、ジムの五人の護衛が、銃を抜い

スキ
26

犬と狼の間 -Entre chien et loup-

 一閃。  歳三の放った斬撃は、夕暮れの光を反射し、文字通り一条の線となった。閃光は、相対する魔獣を両断する。  渾身の一撃。一瞬の後、魔獣は夥しい量の血を撒き散らしながら、どうと崩れ落ちた。絶命。  歳三は、血振りをしてから、滑らかな動作で刀を鞘へと納めた。  静かだった。  三条小橋は黄昏時。本来ならば、町人たちが道を行き交っていてもおかしくはない時間帯だ。しかし、今は人っ子一人姿を見せない。  足音がした。  歳三が、そちらを見る。路地裏から、ひとりの青年が姿を現し

スキ
17

逆噴射小説大賞個人的感想覚書まとめ

逆噴射小説大賞のピックアップ感想記事をまとめたものです。珠玉のパルプ小説の数々を紹介してあります。 ©Photo by Ugur Akdemir on Unsplash

  • 6本

逆噴射小説大賞2021個人的感想覚書

 逆噴射小説大賞2021に投稿された中で個人的なおススメを覚書的に書き留めておく。随時更新できればいいな、って。 【#01】 【#02】 【#03】 【#04】 【#05】 【#06】 ジビエのレシピは信じない 緊張感のある逃避行。王道の展開。800字という制限がかかっているなか、必要最小限でパルクールのアクションシーンなどもこなしている。すごい。設定も魅力的。人と動物のキメラということは、このあと『テラフォーマーズ』や『キリングバイツ』のように、人間以外の生物の能力を持っ

スキ
23

逆噴射小説大賞2021個人的感想覚書 #02

 ひとつの記事を随時更新しようと思ったら、数があまりにも多くなってしまったので、複数記事で溜まったら投稿する感じで行こうかなと。 【#01】 【#02】 【#03】 【#04】 【#05】 【#06】 秤は天地のいずこにありや?  まず冒頭のエピグラフでがっつりと心を掴まれた感がある。単なる殺人事件を解決するミステリィだと、まあ、焦点はだいたい誰が殺したのかという部分に集約しがちではあるが、ここで「解決権の奪い合い」の要素が追加されたことでBATTLEの文脈が出来てくるので

スキ
12

逆噴射小説大賞2021個人的感想覚書 #03

 第3回。紹介していきます。  3回目になってから言うのもなんですけど、結構ネタバレなので閲覧の際は注意してください。 【#01】 【#02】 【#03】 【#04】 【#05】 【#06】 イヴの葬送 強烈なヴィジュアルがバシッと決まった作品。  とにかく映像面がひたすらに強烈だ。  夜の街を歩く男、片手には女の腕――。  強い。このヴィジュアルをオープニングで読者の頭の中で再生させることができたのなら、もうこの小説は勝ちである。  そして、男が夜に歩いていれば決闘が始

スキ
12

逆噴射小説大賞2021個人的感想覚書 #04

 というわけで、第4回です。紹介していきましょう。  すぐに紹介し切れるやろって甘く見てたら、次から次へと名作が投稿されて全然終わらねえんだよなぁ……。 【#01】 【#02】 【#03】 【#04】 【#05】 【#06】 銀の網  お、おもしれぇ~~~~~~!!!  と、思わずディスプレイの前で叫びたくなるほど面白かったです。なんというか、私の貧弱な語彙では上手くこの面白さを説明しきれないんですけど、たぶん小説というものの本質と言うか、小説というメディアの強みを200

スキ
20