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パルプ小説集

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私の書いたパルプ小説作品をまとめて置くマガジンです。 ©Photo by Sofia Sforza on Unsplash
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2022年10月の記事一覧

死して屍拾う者無し -Witch of Funeral-

魔術を使う女を生かしておいてはならない -出エジプト記 22章 18節-  †  俺はひとつ息を吸ってから、自らの左腕に短刀を突き立ててみた。ぞぶり、という肉を切る感触。  痛みはない。血も流れない。それどころか、確かに深々と切り裂いたはずの傷が、たちどころに塞がった。  どうやら俺は完全に、化物の仲間入りをしてしまったらしい。 『霧の森』はその名の通り、常に乳白色の淡い霧で満たされている、鬱蒼とした森だ。  木立の陰から、一人の少女が姿を現した。 「理解した? 

ユグドライズ -YGGDLYZE-

「この場所は、どうだ」  二人が樹楷都市を出発してから、三日目の朝。  先を歩く〈防人〉のカムザが、そう言って歩みを止めた。 「そうね……」  後ろにいた〈巫女〉のエンジュが、周囲を見渡す。  森。周囲には、樹々が檻のように生えている。そのため、全体的に薄暗い。しかし、一角には、陽の光が地面を照らす場所があった。 「悪くないわ」エンジュが頷く。「光合成に充分な光量は確保できてるし、水場も近い。ここにしましょう」    エンジュは、灰白の巫女装束を脱ぎ始める。するりと、乙女