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今のところの人生で1番通ったお店がある

今30歳で人生の1/3

約10年

ほぼ週1日その喫茶店の同じメニューを食べていた

今はもう無いお店

約10年も通えたのは

家の近くにあったから

もちろんそれもある

けど休日はそれを食べないと始まらないと思っていた

10年も通っているのだから

お店に入って マスターいつもの!ってオーダーして

カウンターのいつもの席に座りご飯を食べて

仲良く食後のコーヒーを飲みながら過ごして

閉店間際に行った時は

人生相談なんかしちゃって

その時マスターが言った言葉が今も鮮明に覚えてて

マスターと話した時間がかけがえのないものとして今も振り返る


とは


違う過ごし方だった


マスターはよく喋るし、よく笑う

だけど僕はオーダー以外では、ほとんど会話をしたことない

いつものようにおじゃまして

いつものようにオーダーを取りに来てくれて

いつものように食べて帰る


だから僕はマスターの名前を知らない

年齢も知らない

好きな食べ物も

好きなミュージシャンも

今元気にしてるのかを知る由もない

マスターは何がどうなってもマスターだ

何にも知らないけど心の底から愛したお店なのは確かで

僕の事も愛してくれてたんだと思う

たぶん

なんでなんだろうってこの文章を書きながら考えた

それは僕がいつも笑顔で帰るから

なのかな

それだけで成り立つことがあったんだと

最終日にも、もちろん食べに行っていつも通りに過ごして

数日後に手紙を書いてお店に送った

でもちゃんと届いているかわからないし

何より自分の名前も特徴も書かずに投函してる

書いたところでマスターにはわからない

あの時通ったお店で過ごさせてもらった時間と

いつもばらつきのある辛さのあのご飯

僕の顔色を見て調節してくれたんだと信じ込む

いつかはセピア色になるような思い出なのかもしれないけど

その思いを胸に自分のお店の壁を塗った事を思い出してここに綴ります

この文章を書いているのは全部台風のせいだ


#常連 #今は無き名店 #飲食店 #内装