レッツユアレギオン!
「すみません、東署の者ですが」
俺が玄関を開けると、立っていたのは困惑顔の若い警官。
と、その隣に、
「??」
物々しい鎧、巨大な盾、腰に短剣。派手な兜を脇に抱えた、黒短髪の西洋人。まるで資料で見たローマ兵だ。
「この方たちに、あなたが責任者と伺いまして。無許可でこんな催しは…」
と警官。
「催し?」
玄関から顔を出し、周囲を見渡す。
「!?」
アパート敷地、道路、向かいの駐車場、住宅街を埋めつくすローマ兵の大軍団!
「騒ぎを収めて、署に来てくださいね」
警官が去る。
残ったローマ兵が口を開く。
「軍団長、本日の行軍計画と、駐屯地の指示を」
軍団長。俺が? 行軍、駐屯。ローマ軍団を、俺が。
街中はまずい。数キロ先に大公園がある。まずは…。
「…我に続け」
軍団を引き連れながら、俺はスマホで番号を調べ、コールする。
「はい、ハケンスタッフ社です」
「すみません、日給仕事を探してるんですが、こちら…その、5000人ほどおりまして…」
【続く】
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?