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アーカイブ・紳士のネゴシエーション(汗)

ある5月、ニューヨークのシェービングマグコレクターのG氏より
手紙が来た
「珍しいマグがあるから1500ドルでどうか?」とのこと
「良いものはいつも 金の無い時 現れる」という
私の創った諺(?)どうりだった😅
電話をすると生憎不在で「8月まで待って貰えないか」と
留守電に入れた
結論を先延ばしにしたつもりだった

持ち主の職業を描いたシェービングマグ・オキュペイショナルマグは高価です😅

8月になり、G氏から「どうするか」と催促が来た
その頃、円が5円近く安くなっていたので
「円安で予算オーバーになる、100ドル安くして貰えば
買えるのだが」と返事をした
氏の言う価格は相場よりいつも高めの事もあった
するとまた、G氏より手紙が来た
それには「私は君の友人として約束通り、8月まで待った
価格の件は最初の電話で了承済みのはずである
マグの値は日々上がっていて、価格は値下げしたものである
但し、送料は私が負担しよう
君が紳士の合意を守り、紳士に恥じない行動をすることを望む」
とあった😓

英語に訳すのに一番難しいのは「そこを何とか」だというが
氏の手紙には、そんな甘えを許さない厳しさがあった
私は自分を紳士だと思ったことは無いが
紳士か否かという問い掛けはショックで
慌てて氏の言う通りの額を送金した

髭を生やした紳士がコーヒーを飲む、マスタッシュマグです

ある英国人が、日本の学校の細かすぎる校則を見て
「これは紳士たれの一言で済む」と言ったとか
紳士から連想する言葉は
信義、礼節、品格、勇気、ユーモア、それに粋などだろうか
遥かアメリカの70歳を超えるG氏の「紳士たれ」という
言葉が私の胸に響いたということは
私達が世代や文化の違いを越えて共通の
理想的男性像を持っている事の証でもあるだろう😊
現在の日本では、紳士という言葉も、それを支える徳目も
共に死語になってしまったかの様だ
はたして紳士という大人像は
私達の社会でどの辺りまで共有されているのだろうか😅

「ジェントルマンズ アグリーメント」は
アメリカ人が交渉に使う常套句だという😓

と、書くとGさんは厳しいビジネスマンのように見えますが
おとぎ話に出てくるような
林の中の蔦の絡まる小さなレンガの家に奥さんと二人で住み
テレビも無くラジオで音楽を聴いて静かに暮らしている人です😍

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