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冲方丁著「月と日の后」

連日の寒さと天候が目まぐるしく変わるのに、身体がなかなかついていきません。そんな中NHKBS4Kで「剣樹抄」がドラマ化されているのを知り、再放送から観始めて、今では本放送を楽しみにしています。

その原作者冲方丁さんの新作が図書館にあって、それを借りて読み始めたら止まらず、昨日のうちに読み終えてしまいました。

ーあらすじー
わずか十二歳で入内した、藤原道長の娘・彰子。父に言われるがままに宮中に入り、一条天皇を迎える最初の夜、彼女は一条天皇の初めての男児誕生の報を聞く。男児を産んだのは、藤原定子。夫である一条天皇は、優しく彰子に接するが、彼が真に愛した女性・定子の存在は、つねに彰子に付きまとう。「透明な存在になって消えてしまいたい」父・道長によって華やかに整えられた宮中で心を閉ざし、孤独を深める彰子であったが、一人の幼子によって、彼女の世界は大きく変わった。定子の崩御により遺された子、敦康。道長の思惑により、十四歳の彰子がその子の母親代わりとして定められる。戸惑いながらも幼い敦康を腕に抱き、母になる決意を固めた彰子は、愛する者を守るため、自らの人生を取り戻すために戦い始め、紫式部にも支えられ、やがて「国母」として自ら光を放ち歩み続ける。

by Amazon

雑誌「歴史街道」の連載されていたこともあって、445頁の長編で紙の本だとかなりの重さを感じます。

 中宮彰子といえば、学生時代学習した日本史で、藤原道長の娘で摂関政治の代表例ともいえる天皇の中宮となった女性で、道長が操りきった人だと理解していました。しかし本作では誰よりも後宮や朝廷そして国家を気にかけ、専横が過ぎる父道長を諌め、自分や定子の産んだ子どもたちの世話を積極的に行い、死ぬまで「国母」としての使命感に燃える彰子の姿が鮮明に描かれていました。

しかしこの時代の政治の中心は男たちです。史実をきちんと入れようと苦心し、端折ると歴史と辻褄合わなくなってしまうので、苦労した結果仕方ないのですが、そのため特に後半が物語じゃなくて説明になってしまったとしか読めないところが多く残念でした。

 数々の歴史小説を手がける著者でも、史実を丸ごとフィクション化することは難しいようでしたが、しかし、長命だった藤原氏の一族を彰子筆頭にここまで個性的に描いた点は評価すべきだと思います。(Amazonや本のサイトでは評価が低いようで、少し残念です)

一族の闇、怨念、陰謀が渦巻く宮廷――藤原道長の娘にして、一条天皇の后・彰子。父に利用されるだけだった内気な少女は、いかにして怨霊が跋扈する朝廷に平穏をもたらす「国母」となったのか。「天地明察」「光圀伝」の著者が“平安のゴッドマザー”の生涯を、平安王朝を新たな視点からドラマチックに描いた著者渾身の傑作長編。

by 帯

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