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読書備忘録

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2021年12月の記事一覧

林真理子著「李王家の縁談」

久しぶりに紙の本を借りて読みました。 実在する梨本宮伊都子妃の日記によって、史実をもとに皇族の婚姻が細かく描かれています。 朝鮮併合、日中戦争という苦難の時代に、皇族の一員である一人の女性がたくましく時代を先駆けるように婚姻を通じて生きていく様は、時代を超えて私たちにも勇気を与えてくれます。 今はウイルスとの戦いで疲れている時代、本作を読んでさらなる未来に向かって、私たちは知恵を振り絞る必要があるようです。 いつの時代も、高貴な方々の結婚問題はむずかしい―― 梨本宮伊

「ミッテランの帽子」アントワーヌ・ローラン著

昨夜は今日からきちっとした時間で過ごそうと考えていたのに、朝になったら頭が重く、先ほどベッドから起き上がり、可燃ごみを捨て、洗濯を始めました。プロテインを1杯飲み、ルイボスティを入れて、PCに向かってこれを書いています。 その帽子を手にした日から、冴えない人生は美しく輝きはじめる。舞台は1980年代。時の大統領ミッテランがブラッスリーに置き忘れた帽子は、持ち主が変わるたびに彼らの人生に幸運をもたらしてゆく。うだつの上がらない会計士、不倫を断ち切れない女、スランプ中の天才調香

アントワーヌ・ローラン著「赤いモレスキンの女」

昨日は久しぶりにwebでの読書会「BookClub 紅茶はアールグレイで」の今月と来月の課題本を読みました。それがこちらです。 男はバッグの落とし主に恋をした。手がかりは赤い手帳とモディアノのサイン本。パリの書店主ローランが道端で女物のバッグを拾った。中身はパトリック・モディアノのサイン本と香水瓶、クリーニング屋の伝票と、文章が綴られた赤い手帳。バツイチ男のローランは女が書き綴った魅惑的な世界に魅せられ、わずかな手がかりを頼りに落とし主を探し始める。(amazon内容紹介)

小池真理子著「月夜の森の梟」

予約している本がなかなか貸し出し可能にならないので、夜ベッドの中で電子書籍を楽しんでいます。 朝日新聞で連載され大好評だったエッセイの書籍化です。圧倒的共感を呼んだと朝日新聞出版noteで知りました。 まず藤田さんの死に寄せて2020年2月19日掲載されたエッセイで シンプルな言葉によって、死別の悲しさが迷うことなく伝わりました。 さらに 日々が流れ周りに平気なふりをしていても、愛し生活を共にした日々は忘れるはずはありませんが、亡くした人との思い出はいつしか違ってき

冲方丁著「月と日の后」

連日の寒さと天候が目まぐるしく変わるのに、身体がなかなかついていきません。そんな中NHKBS4Kで「剣樹抄」がドラマ化されているのを知り、再放送から観始めて、今では本放送を楽しみにしています。 その原作者冲方丁さんの新作が図書館にあって、それを借りて読み始めたら止まらず、昨日のうちに読み終えてしまいました。 雑誌「歴史街道」の連載されていたこともあって、445頁の長編で紙の本だとかなりの重さを感じます。 中宮彰子といえば、学生時代学習した日本史で、藤原道長の娘で摂関政

木爾チレン著「みんな蛍を殺したかった」

今朝から地震が相次いでいます。お住まいの地域はご無事でしょうか? こちらも少し揺れました。今後もいつ何時起こるかわかりません。気を引き締めたいと改めて感じています。 さて私はブクログというwebのブックサービスを利用していて、先日の通信で、未来屋書店の書店員さんによる未来屋書店小説大賞の候補作が発表されていました。 10作品のうち5作品は既に読み終えていますが、未読作品で図書館で貸し出し可能だったこの作品から読みました。 著者は「女による女のためのR-18文学賞」優秀賞