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読書備忘録

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2019年11月の記事一覧

被差別と戦争責任そして龍(河童)伝説へ

今日は1日実母を病院に連れて行ったり、補聴器調整やらショッピングにと付き合い、久しぶりの長時間運転に疲れている私です。 それでも予約していた本が少しづつ貸し出し可能になったとの連絡があったので、今夜はこちらを読み終えました。 昭和29年、夏。複雑に蛇行する夷隅川水系に、次々と奇妙な水死体が浮かんだ。3体目発見の報せを受けた科学雑誌「稀譚月報」の記者・中禅寺敦子は、薔薇十字探偵社の益田が調査中の模造宝石事件との関連を探るべく現地に向かった。第一発見者の女学生・呉美由紀、妖怪

人を救う共感から生まれる愛

冷たい雨の月曜日です。新しい週の始まりをいかがお過ごしでしょうか? やっと本を1冊読むことができるようになりました。今回は韓国で30万部突破し、13か国で翻訳が決定した作品です。 扁桃体が人より小さく、怒りや恐怖を感じることができない十六歳の高校生、ユンジェ。そんな彼は、十五歳の誕生日に、目の前で祖母と母が通り魔に襲われたときも、ただ黙ってその光景を見つめているだけだった。母は、感情がわからない息子に「喜」「怒」「哀」「楽」「愛」「悪」「欲」を丸暗記されることで、なんとか

新感覚の医学書を読む

相互フォローさせていただいているカタツムリさんからご紹介いただいた、新感覚の医学の本を読み終えました。 今日はその本をご紹介します。 突然の酷い腹痛を繰り返す「捨て猫のような眼」をした若者。かつて暴走族・ブラックパンサーのメンバーだった彼は、その粗暴な風貌と振る舞いから周辺の病院からブラックリストに入れられてしまう。多くの医師や看護師はその腹痛自体が嘘で、「仮病」ではないかと訝しんでいた。そんな中、他院から半ば押し付けられるようにして、彼は「私」の外来を訪れる。総合内科医

小川洋子ワールドそして今日は皮膚の日

今日はなんとか外に出ることができました。が、今度は夫が風邪やら不整脈やら甲状腺ホルモンやらと病院に通うことになりました。 夫婦で元気溌剌とはなかなかいかないものです。 さて、やっと小川洋子氏の「小箱」を読み終えました。著者は好きな作家の一人です。 私の住む家は元幼稚園で、何もかもが小ぶりにできている。 講堂、給食室、保健室、人々の気持ちを慰める“安寧のための筆記室"もある。 私は郷土史資料館の学芸員であったバリトンさんの恋人から来る小さな文字の手紙を解読している。 従姉

ミステリーの感想はむずしい

昨日借りてきた湊かなえ氏の9月に出版された新刊を読み終えました。 新人脚本家の甲斐千尋は、新進気鋭の映画監督長谷部香から、新作の相談を受けた。『笹塚町一家殺害事件』引きこもりの男性が高校生の妹を自宅で刺殺後、放火して両親も死に至らしめた。15年前に起きた、判決も確定しているこの事件を手がけたいという。笹塚町は千尋の生まれ故郷だった。この事件を、香は何故撮りたいのか。千尋はどう向き合うのか。“真実”とは、“救い”とは、そして、“表現する”ということは。絶望の深淵を見た人々の祈

いつもありがとう!また明日

今日もブログにお越しいただき、ありがとうございます。 昨日は久しぶりに夫と遠出をしてきました。さらに大きな買い物もして、私は大満足です。 さて出かける前の晩に読み終えた群ようこ氏の作品をご紹介します。 ヤヨイ、タカユキ、ユリコ、カツオ、マスコ。子供時代の一時期を共に過ごした同級生5人は、還暦を過ぎて再会した。それぞれの人生は、思い通りにならないことの方が多かったかもしれない。でも、「また明日」といい合える友がいて、これからも毎日は続いていく。東京オリンピック、アポロ