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20年目のご挨拶|Bar myStyle|

住宅街の片隅で、ひっそりとオープンした我が儘わがままなバーが、まもなく20年になろうとしている。

「3年続けば。。。」と言われる業界で「よくも続いた」としか言いようがない。

道沿いに広がる桜並木が気に入っただけで、この場所を選んだ。夜ともなれば暗闇に包まれる住宅街。

「用がなければ歩かない道です」

オープン当初にご来店くださった女性客のおっしゃった言葉が、いまでも耳から離れない。

五十路に入り、自慢の体力にも衰えを感じるようになった。

生涯現役を貫こうと決めていたので、力技ちからわざだけでは先細りが目に見えている。

ならば次は。

店を開いた理由わけは、そんなところでしかない。

ただひとつだけ、身の丈に合った店にすることだけは決めていた。

知らないこと、出来ないこと、嫌なことは店に持ち込まない。何たって自分の店なのだから。

我が儘この上ないことだが、それが間尺に合わなかったなら、いまは別のことをしていただろう。

【恋は、始まるまでが素晴らしい】

私の好きな言葉である。

始まるまでは心をときめかすのが恋であっても、始まってしまえば切なさや淋しさを連れてくる。
そして、舌先に残ったザラツキは恋が終わったあとも、中々消えてはくれない。
それでも恋することをやめない人が、私は好きだ。

【my Style】 は、私の人生で最後の恋なのだろう。

始まって20年近く続いている恋。

ザラツキどころか辛酸しんさんをなめながらも、いまだにめる気にはなれない。

ワイルドを目指したつもりが、気がつけば、どことなくアンニュイさが漂う店になってしまった。
それでも、私には欠くことのできない存在であることに間違いない。

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